手折る
1人の独白その花を手折ってしまおう。
誰にも取られないように。
その茎を捻ってしまおう。
綺麗なままでいさせたいから。
その花弁を食んでしまおう。
飲み込めば自分のもの、そうだろう。
その蜜を吸い取ってしまおう。
それは確かに、甘いはず。
その葉を毟ってしまおう。
多すぎるそれは邪魔じゃない?
ほら、手折ってしまおうか。
その人の心も、体も、何もかも。
手折って手元に置いておけば、
誰にも取られない。
誰にも触られない。
誰にも見られない。
ただ自分だけが見れて、触れて、取って。
自分だけのものになる。
だから、手折ってしまおうか。