戦極舞 ネオ風都編
風が種子と怪物(インベス)を運び込んでくる。
「いただきます」
そしてその怪物は今現在、彼に殺され食べられている。硬い殻をものともせず喰らい尽くしていく姿は獣のようで落ち着かない気分にさせられる。
「…そんなに見つめてどうしたんだ、舞。…研究用に生け取りにした方が良かったか? 今から食べる分を回してやろうか?舞のためなら…」
「ああ、いや…大丈夫! …研究用の分は足りてるから」
「? 変な舞」
彼が再び食事に没頭していく。
あっという間に怪物は彼に平らげられ、私と彼以外この場にはいなくなっていた。
「ご馳走様」
「…あっ、ああ…。…もう食べたんだね」
「…ねえ舞」
「何、たか…」
ハッとして口を噤む。違う。彼はそんな名前じゃない。似てるけど違う。だって彼は──。
「僕はなんでも良いけど舞は舞さんのままだよ。それだけは忘れないでくれ」
「……うん」
ちぐはくだ。私も彼も。
「…僕達は、一体何に成り果ててしまったんだろうね……」
「舞…?」
「なんでもないよ。早く拠点に帰ろう?」
「ああ」
彼と一緒に拠点の方へ歩いていくとふつふつと疑問が浮かんでくる。目を覚ましてからずっと抱え込んでいる疑問。でも、それを口にしたら何もかもが終わってしまうような気がする。それでも疑問は何度も浮かび上がってくる。
舞は舞のまま。
「(ほんとうにそうかなあ)」