愛知結界 ➖①
11月7日
視界に死滅回遊の結界を捉えながら、足取りを緩める事のない一人の術師が居た
『おやめください福九郎様!まだ全容も分かっていません!何より当主の危機なのですよ!!』
「そういう腑抜けだから甚爾君一人にボコられたんじゃねえのか」
『…!……!』
「オマエらが目の敵にしてる悟さんなら一人で全部潜って終わらせてた。ちょっとは見習って滅私奉公に努めてみたらどうだ?直哉にもさあ、自分より下と分かってる奴の上に立つ事より強そうな奴叩きのめす方がずっと楽しいって伝えといてくれや」
「あ、もう結界目の前だから切るぞ」
「よお、俺はコガネ!」「この結界の中では死滅回遊って殺し合いのゲームが開催中だ」「一度足を踏み入れたらお前も泳者!!」「それでもお前は結界に入るのかい!?」
「ああ、それで良い」
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パッ「転送か!」
驚愕と同時に新たな泳者の参入に気付いた初心者狩りが着地を狙い戦闘体制を整える
「?不意打ちの意味ねえじゃねえか」
術式によって生み出された綿が福九郎を中心に球状に広がる。
それが何かを認識出来ず、大きさのみを認識した泳者が真っ先に取る行動は逃走、あくまで陽動程度に考えていた福九郎はその稚拙さに一瞬思考が止まるが自分に背を向ける泳者を認識して即座に綿を最大まで広げ、捕縛する。
「一瞬ここに来んのは失敗したと思ったが、冷静に考えればお前から強い奴の話を聞けば良いな。別の奴探すのも面倒だからすぐ話してくれよ?」
死滅回遊泳者 禪院福九郎