惚れた弱みは握られて。
恋人として一緒に暮らし始めてはまだ日が浅い。大きく、甘えたな犬のように自身の体を抱え込む葵に心がとくとく音を放つ。何となくまだむず痒く、頭を撫でてやることしか出来ないがそれでも触れてくれるだけで嬉しいという顔に俺は弱い。
今日も嬉しそうな顔をして抱きついてくる葵を慈愛の手付きで優しく撫でる。テレビを付けているが、明日の天気についての情報しか流れておらず、依然二人の視線は絡み合ったままだ。
「葵、」
「どうした?」
「すまない、呼んでみたかっただけだ」
「…本当に可愛いやつだな」
面食らったような顔がすぐに綻んで指先を絡ませる。
「仕方ないだろう。その、す、好きなんだから」
「そうだな、だからそんなむすくれるなって」
頬に擦り寄る指先が昨夜の情事を思い出させる。
この指が、体を愛おしむように撫でる感覚を思い出してしまった。顔に熱が溜まり始める。
それを汲み取ったのか少し悪い顔をした葵が後頭部に手を回す。
優しい手付きなので振り払おうとすれば出来るのだが自分は惚れた人を拒否できるほど上手くできてはいない。
これが、惚れた弱みって言うものか。
そこに入り込む葵は中々にいじわるだ。