悪夢
超生存特化術師ああ、これは夢か
それは一瞬で理解できた
時間が戻るわけないのだから
ここは奈良のホテルの個室だ
「どうした明寿?考え事か?」
死んだはずの友人、次郎が聞いてきた
「いや、何でもないよトランプすんの?」
僕は質問に対してこう返した
いつもの定型文だ
「あっそ、ババ抜きでいい?」
その後しばらく次郎、翔太、黎人、誠也、僕、この5人でババ抜きを楽しんでいた。
「そろそろ消灯時間か」
「あーもう1日経つのかよーはえー」
ダラダラ喋りながら布団を準備し
布団に包まる。
目を瞑り少し待つ。
「起きろ!起きろ!明寿!」
ああ、もう時間か
「火事だぞ!速く逃げなきゃ…ガッ!?」
誠也の腹を刃が貫き、血反吐を吐く
「なん…だ…?」
その刃を持つのは不気味な同級生
暗谷 信、この放火の犯人にして未来の呪詛師
「1、2、3、4、5、うん!多い!狩り甲斐がありそうだ!」
この時の僕には、この言葉の意味を理解できなかった。
「 お前、何が目的だ!! 」
口が勝手に動きいつもの言葉を叫ぶ
刺された誠也を見て、他の3人は恐怖で体を動かせず、口も動いてない様子だった
「何って?遊びだけど?」
暗谷は悪びれる様子もなく笑いながら言った。
「 お前ええええええええ!!! 」
そして体が勝手に動き暗谷に飛び掛かった。
「おお、速い速い」
暗谷はそれを容易く避け手に持っていた刀で僕を刺す
そして僕は痛みで悶え倒れ伏した
「 威勢だけは良かったねぇ!無駄だったけど」
そして暗谷は僕を何度も刺す
僕は痛みから気絶した
「 はぁはぁ… 」
燃え盛るホテルの中を駆ける
「 誰か!居ませんか! 」
何処を見ても死骸、死骸、死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸死骸
誰一人として生き残りはいなかった
そしてとうとうホテルの玄関までたどり着き、再び暗谷に遭遇した
「あれ?まだ生きてたんだ」
「しぶといね」
僕と目が合った暗谷はそう言った
暗谷は血に塗れており周囲には大量の死骸があった。
「ああ、もう来たのか」
「運が良かったね」
そう言った暗谷は姿を消した。
そこで場面は暗転し多くの人が現れる
『…』
次郎は僕を睨みつけ
『ふざけるな!お前だけ生き残って!』
翔太は僕を罵倒する
『何で俺らを助けてくれなかったんだよ』
黎人も僕を罵倒する
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い』
誠也は自身が味わった痛みを叫ぶ
多くの人が僕に恨み言を言い続ける
そこで目が覚めた
うん、みんなわかってるよ
ちゃんと苦しんで死ぬ
けど、その前に暗谷を殺さないと
そしたらできる限り苦しんでから死ぬよ
あ、顔洗わなきゃ