悩むこともたのしみにして

悩むこともたのしみにして


※αキラ×Ωホ
※無理矢理未遂
※ラット表現(お薬あり)
※前作「さようならは許させず」のif



淡い月明かりのような髪が意識の端で藻掻いている。

―――だれだ?ああ、おれの。

かすかな血の匂い。それ以上に鼻腔をくすぐる匂いが好ましい。

―――もっと。もっとだ。

うなじを覆う手が邪魔だ。力いっぱい腕を掴む。抵抗するのならそのまま折れてしまえばいい。

―――かみつけばもうおれのもの。



「降魔の相」



衝撃。
横っ腹をおもいきり巨大な裏拳で殴られる。
勢いそのままに壁に激突し、ただでさえ粗末な隠れ家に瓦礫を増やした。


「き、さまっ!!とうとう猿になり下がったか!!!」


擦れどこか震えながらも本気の怒声。
開けてくる視界にはそこかしこに擦り傷を作り血をにじませたΩ。


―――ほーきんす?


「聞こえてねえのかっ。頭を冷やせ!」

「……いや、いまのは効いた。頭なら冷えてる」

「……貴様、薬を飲み忘れたのか」

「いや、飲んだんだが。今度から量を増やす」

「そうしろ」


剣を構えたままゆっくりと間合いをはかるのに苦笑する。
まるで警戒する猫のようだ。


「わるかった。いずれ詫びはする」

「……二度目はないぞ」

「わかってる。本当にすまない」


背を向けて歩き出す。
手当はさせてくれないだろう。
こちらとしてもこのまま一緒にいたらまた襲いそうだ。
しばし感じた視線はそのうち消え、次にあった時にはまた気に食わない同盟相手に戻っていた。



―――そして、怪物が降ってくる。



****



どこもかしこもぶっ壊れた鬼ヶ島。
戦いの後、倒れ伏す月明かりと朝焼け。


借りがあるのはひとりだがこの際だ。
貸しを作るのも悪くない。


「ム。さすがにデカブツふたりはきついな。……おいっ誰かいるか!患者だ!!

「今行きます!!」

「おまえらくたばるんじゃねえぞ。腕まで持ってきてやったんだからな」


ワノ国に夜明けが訪れ、海賊たちも進んでいく。
運命はどこに向かうのか。


「くそっ。あー噛みてえ!!」


運命がどこに向かおうとぶち破るのが海賊だ。
だが、運命を受け入れるのも一興かもしれない。


Report Page