恐怖を抱えたまま

恐怖を抱えたまま


つう、と汗が少年のこめかみを伝いました。ぐいと乱雑に拭い、少年は前を見つめます。

バサギリやドレディアと同様、光が出ており直視するのは難しいけれど、絶えず吹き出る汗が何度も邪魔をするけれど、内にこもった熱が頭をぼうっとさせるけれど。

進化し、キングになり、そうして荒ぶったガーディ……いえ、ウインディを、少年は見つめました。

 

こわい、と思います。

おそろしい、と思います。

やりたくない、と思います。

がちがちと歯の根は合わないし、膝は笑ってしまっているし、心臓はいつも以上に暴れているし。

 

いやだなあ、と何度も思うけれど。

それでも、期待されているし。命令、でもあるし。何より、苦しんだまま、なんていやなので。やっぱり、痛い事とか酷い事は、少年は嫌いなので。

 

少年には、恐怖を呑み下すなんてできないけれど。感情と共に、シズメダマを構えてウインディと対峙していました。


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