御巫わかづまえっち
子供の頃から天才だ、次期オオヒメ様だと散々持て囃されてきた。
全てはあの日に依り代としての才覚を示してしまったから。
幼い私にはその意味がよく分かっていなかった。ただ、お父様もお母様も、兄様も、婆様も、いつの間にか私の事を家族だと見なくなったことだけはよく分かった。
かくあれかし、とオオヒメ様に相応しい作法を連日叩きこまれた。
褒めてもらえるハレが羨ましかった。
自由に振舞えるニニが妬ましかった。
それでも、私は努力を続けた。
続ければいつか、皆が、家族が私のことを見てくれると、そう思って。
だが現実は残酷で、転げ落ちるのはあっという間だった。
ある日、私以上の才覚を持つという子が現れた。
あれよあれよという間に私は御巫候補から外され、家の中でお荷物扱いされるに至った。
はっきりと覚えていないが、心無い言葉を沢山浴びたのだと思う。
村の者ではなく、家族から。
ここにきてようやく気がついた。この人達は私の事なんてどうでもよくて、依り代になる御巫を家から排出することこそが重要だったのだと。
いつしか私は努力することも辞め、腐って腐って、腐り切っていた。
時が過ぎた頃、私の元に結婚話がやってきた。体のいい厄介払いだと思った。
私は何の興味も湧かず、かといって希望もなく、ただ諾々とその話を受けた。
気がついたら嫁入り先の家で将来の夫と顔を合わせていた。
目の前の男の子が夫になる人物らしいことだけは分かった。
十四歳と言っていた。
同い年だね、と彼に言われてようやく私は自分が十四になっていたことを認識できた。
顔ははっきり分からない。見ても認識できないのだ。顔のパーツ一つ一つは分かるが、全体となるとからっきし。私の脳内で作られた像は得体の知れないのっぺらぼうのようになってしまう。
だからというわけではないが、何の感慨も湧かなかった。
顔なんて、体つきなんてどうでもよかった。
優しいか、厳格かなんてどうでもよかった。
どうせ、私の人生の主役は私ではない。誰かを引き立たせる脇役でしかないのだから。
今までは家の脇役だったものが、この人の人生の脇役に代わるだけ。
そう思っていた。
◇
流れる風が全身に叩きつけられている。
アクセルを回すと大きな音を上げてバイクは加速して風はより一層強くなる。風景が流れる速度も上がっていく。
産まれたばかりの子供は御義母様が見て下さってくれている。
「私がこの子を見ているから貴方はお行きなさい」と快く送り出してくれた。
せめて何かお土産でも買って帰らなくては。
『ほら見てください、あそこあそこ。よさげなケーキショップがありますよ。フゥリ一休みしましょう!』
「オオヒメ様、今急いでるのわかってますよね?」
『いいじゃないですか、ちょっとくらい』
「駄目です」
サイドバックには旦那様の忘れ物が入っている。
このまま寄り道せずにいけば間に合うはずだ。
だというのに——。
『ほらフゥリ、あっちにキッチンカーがありますよ。何か食べていきましょうよ』
この食い意地の張った神様はあれがいい、これがいいとひっきりなしに脳内へ語り掛けてくる。
大体、余計なカロリーを摂ってしまっては体型維持が大変ではないか。
出産で崩れた体型がようやく戻ってきたというのに。
だるんだるんの身体など旦那様には絶対見られたくない。
『だいたいフゥリは食べなさすぎるんですよ。細すぎて危ないって医者にも言われたでしょう。ぽっちゃりどころかガリガリ一歩手前ですよ。それに男性というのは少しくらい肉付きがいいほうが好みなんです。だからほら、あそこのあんみつなんて美味しいって評判らしいですよ』
「えっ、お肉ついたら旦那様喜んでくれるの? 抱き心地がいいとかそういうのなのかな。じゃあ食べに行きましょう。あ、でもこれ届け終わったらですからね」
『さっすがフゥリ! なら急ぎましょう。あんみつが待っていますよ』
珍しくオオヒメ様からいい情報が出てきた。
それに御義母様へのお土産にも丁度良さそうだ。
帰り道に通りすぎないようにしないと、なんて思っていると白い軽に抜かされた。
とんでもないスピードでギリギリを攻めるなんて危ない運転だな、と冷や冷やしているとオオヒメ様が底冷えするような声で言った。
『は? なんですかあの車。軽の癖に私を抜かすなんて無礼にも程がありますよ。フゥリ、アクセル全開になさい。今すぐ抜き返してやるのです。身体も貸しなさい。分からせてやりますよ』
「え、ちょっと! ダメですって! 危ないですから!」
肉体のコントロールを奪われそうになりつつも、なんとか目的地まで無事に到着できた。
忘れ物を渡すと旦那様は「ありがとうフゥリ、助かったよ」と腰に手を回して抱きしめながら頬に軽く口づけをしてくれた。飛び跳ねたい気持ちとにやにやが止まらない。それらを我慢しつつ私も頬にキスをすると、旦那様は「愛してるよ。また後で」と言って離れてた。
駆けて行った旦那様は友人と思しき人物たちに揶揄われているようだった。
名残惜しいしもっと一緒に居たかったけれど、私もその場を後にした。
来客用駐車場で振り返ると校舎が目に映った。
ひょっとしたら私もここに通って旦那様と同級生になれたのかな、などと思った。
学校に通いたくなかったかといえば、間違いなく通いたかった。
友人を作って勉強や部活に励んだりして、旦那様と一緒にいちゃつきながら下校して。
憧れなかったといえば嘘になる。
でも、今はそれより大事なことがある。
昔と違って好きなこと、興味のあることにだって幾らでも手を出そうと思えば手を出せる。
御義父様も御義母様も旦那様も皆許してくれる。
このバイクだってそうだ。
今の私にはできないことなんてないのだから。
嫁入りから三年。いい家族に巡り合えたと思う。
バイクに跨ってヘルメットを被るとオオヒメ様が話しかけてきた。
『あんみつ忘れないで下さいね』
本当にこの神様は。
◇
昼間のあれが引き金になったのだろう、久々にそういう雰囲気になった。
念入りに身体は洗った。
子供は御義母様、御義父様と一緒に寝ている。恥ずかしいけど理解があって助かっている。
身に着けている薄緑色のネグリジェは身体のラインを微かに透けさせている。
旦那様と一緒に買いに行ったもので、初めて着る。
細い腕。くびれた腰。然程肉付きが良いとは言えないのは自覚している。
出産の影響かカップサイズが一つ上がった。
元々が小さいので口が裂けても大きいとはいえないのは悲しいが。
乳輪は色素が沈着して少し黒ずんでいる。
欠点は色々と出てくるが旦那様はそれを含めて愛してくれるから、これでいい。
部屋に向かっているとオオヒメ様が話しかけてきた。
『もうちょっと派手なのにしませんか? ほら前見に行ったクロッチ部分の布地がないやつとか、透けて見えるやつとか。結構いいと思いますよ。今度買いに行きましょう?』
「旦那様はこれがいいって言ってくれたんです」
『分かってませんねぇ。そう言いつつもエロエロな格好をすれば飛びついてくるのが男って生き物なんですよ? ましてや性欲に満ち溢れている十代を舐めないで下さいよ。フゥリみたいな美人が相手なら抜かず朝までくらい楽勝なんですからね。きっとフゥリが気絶してもやめてくれないですよ』
「それはそれでイイというか——いやいや旦那様にいっぱい愛されるのは本望ですけれど、負担になったら元も子もないですよ。やっぱりナシです」
『あら残念』
あれは隠すところ全然隠してないし、いくらそういう場でもちょっと恥ずかしすぎる。
ただ、こういう時のオオヒメ様のアドバイスは大体的中するので無碍にするのも勿体ない。
今度こっそり買ってきてびっくりさせるのもいいかもしれない。
寝室の扉を開くとそこには最愛の旦那様がいた。
顔から火が出そうになるのを堪えて近づいて、旦那様の胸に身体を預けた。
とくんとくんと心音が耳に響いて心地いい。
「この前一緒に選んだやつだね。着てくれたんだ、嬉しいな」
「どうですか、似合ってますか」
「似合ってるよフゥリ。凄くかわいい」
『似合っているのは同意ですけど、やっぱりもっと露出していたほうが』
(オオヒメ様は黙ってて下さい)
「どうしたのフゥリ」
「ううん、なんでもないです。それよりあなた」
そのままベッドへと二人で倒れ込んで、旦那様に組み敷かれる体勢になる。
あなた、と呼びかけるとフゥリ、と呼び返された。
お互いの顔が近づいて、視界が愛しい人の顔で埋め尽くされていく。
目を閉じて唇を重ねると口の中に旦那様の舌が入ってきたので、いらっしゃいと自分の舌を絡める。
「んむぅ、はぁ、ぷはぁ、んちゅ♡」
蛇のように絡み合った舌が動く度に水音がしてお腹の奥が疼く。
「ちゅ、ちゅぱ、あなたぁ♡すき、すきぃ♡んぅ」
歯茎をなぞられて、耐えられなくなった私は舌の動きを止めてしまった。
唇を軽く甘噛みされると、もう自分で動くことなど考えられない。ただ只管に旦那様が与えてくれる快感を受け入れるだけになってしまっている。
硬いごつごつとした手がネグリジェの隙間から侵入してきて、乳房の形を変えていく。
乳房を握りしめられるのが気持ち良くてたまらない。
流し込まれる唾液を受け入れ飲み込んでいると、突然唇が離れた。
「ぷはぁ、はぁ、はぁ、あ、なたぁ♡」
「フゥリ大丈夫?」
「らいひょうふ、れふぅ♡もっひょぉ♡」
呂律が回っていない。頬は熱をもっている。頭も蕩け始めて、深く考えられなくなっている。
四肢は力なくベッドに投げ出されていた。
『あらあらフゥリったら、キスだけでそんなどろどろになっちゃって。かわいいですよ』
聞き慣れた声が響いてきて、すっと頭が冷えた。
『なんですかフゥリ。かわいいからかわいいと言っているんですよ。私がかわいいって言ってるんだから男なんてもう興奮しっぱなしに決まってるじゃないですか。さあ、がばっと襲ってしまいなさい』
(煩い。ムードが台無しです。ちょっと黙っててもらえますかオオヒメ様)
『しょうがないですね、ちゃんと襲うんですよフゥリ』
誰が襲うというのだ。
どちらかというと旦那様にぐちゃぐちゃにされるほうが——。
「フゥリ、本当に大丈夫? 何か飲み物でも持ってこようか?」
「ううん、大丈夫、大丈夫です」
頭を振ると、旦那様が心配そうにこちらを覗き込んできた。
ゆっくりと上半身を起こして、ベッドに腰をかけていた旦那様にしな垂れかかる。
部活で鍛えている胸板は硬く、伝わってくる体温は愛しさを増幅させてくれる。
胸の真ん中を人差し指で弄りながら、旦那様の顔を見上げる。
「ねえ、あなた。どうしたいですか?」
『乳首です、乳首を攻めなさい! 舌で転がすんですよ! きっと悦んでくれますよ!』
オオヒメ様は無視するに限る。指示通りにするにしても、一体何の根拠があるというのだ。
そうだな、と旦那様は暫く考え込んでから口を開いた。
「今日は俺がフゥリを鳴かせたい、かな」
「今日はではなく、今日もの間違いですよね」
いつだって私は旦那様に鳴かされる側なのだから。
ネグリジェを脱いでショーツ一枚になり、旦那様の手をおっぱいへと誘導する。
それが合図となって旦那様から全身への口付けが始まった。
首筋に。腋に。二の腕に。お臍に。
まるで自分のものだと言わんばかりに桃色の花を咲かせていく。
「んつ♡擽ったいです♡」
手は執拗に胸を揉んでいる。
浮かんでくる母乳で掌がしっとりと濡れていく。
内腿に唇が落とされて、キスマークが付けられる。
「やぁん、そこだと明日スカート履けないです♡」
「いやだった?」
「そうじゃないですけど、ひぃっ♡」
おっぱいに吸い付かれて思わず悲鳴を上げてしまった。
ちゅうちゅうと母乳を吸い上げるその姿はまるで赤ん坊のようで、自然と手が動いて頭を撫でていた。
「フゥリのおっぱいおいしいよ」
「もう。母乳はあの子のためのものなのに。欲しがり屋さんですね」
『いいですよフゥリそのままそのまま。もっと甘やかしなさい』
言われた通りにもう一度撫でると旦那様は気持ちよさそうに目を瞑った。
何度も、何度も撫でる。
大きな赤ちゃんをあやしているような気分で穏やかな気持ちになれる。
吸い方が少しえっちなのは玉に瑕だが。
「どうですか、あなた。おなか一杯になりましたか?」
旦那様はこくりと小さく頷いた。
「それはよかったです。あの子の分まで飲み干してしまいそうな勢いだったから、ちょっと心配で」
「流石にそこまではしないよ。それより」
軽い触れ合うようなキスをされた。ほんのりと心なしか甘いような口づけ。一番好きなキス。
唇が離れると同時に全身にビリビリとした快感が走った。
視線を下に向けると太くごつごつとした指がショーツの上から敏感な場所を撫でていた。
「ひゃっ♡いきなりなんて、駄目ですっ♡」
ショーツの隙間から指が入り込んでくる。
既にぐっしょりと濡れているそこは驚く程簡単に異物を受け入れた。
「やぁっ、やっ、ひぃっ!」
浅いところをくちゅくちゅと音を立てて弄られる。
これだけで頭が白く塗りつぶされそう。
そうでもしないとすぐに押し上げられてしまいそうで、必死に旦那様にしがみつく。
私の弱いところなんて旦那様は百も承知だから、無駄な抵抗とは分かってはいるけれど。
目には涙が溜まって視界が歪んでいる。
あと少し、というところで指の動きが止まった。
なんでと困惑していると旦那様が軽く触れるだけのキスをしてくれた。
「なんでやめちゃうんですか?」
「フゥリだって指でなんて嫌でしょ」
「私、あなたにならなんでも——あっ♡」
旦那様の手がお尻に添えられた。
数回揉むように手を動かされたので、返事をするようにお尻を動かした。
「脱いでくれる?」
「はい♡」
立ち上がってショーツに指をかけようとしたところで、ふと思いついた。
「あなた、前からと後ろからどっちがいいですか」
『後ろ後ろ! 絶対後ろからです! お尻を振りながら女陰を見せつけて! そうすればイチコロですよ!』
旦那様に聞いたはずが何故かオオヒメ様が乗ってきた。
呆れながらも旦那様を見ると何やら考え込んでいる様だったので、くるりと一回転して身体を見せつけてみると、食い入るように見てくれた。
「そうだね、今日は後ろからがいいな」
「わかりました」
旦那様に背を向けてお尻を突き出しながらショーツに指を掛ける。
(ところでオオヒメ様)
『はい、なんでしょうか、アドバイスなら任せて下さいね。大丈夫です私もこう見えて男性の扱いなら——』
(そろそろ黙っててくれませんか。あと見ないで下さい)
『え、ひょっとして本気で嫌がってます?』
(はい。そもそも出羽亀されて気分いいわけないでしょうが)
『そんなぁ。折角かわいい私のフゥリが頑張ってるところなのにぃぃ。しくしく』
それっきりオオヒメ様は黙ってしまった。
これでいい。旦那様と二人っきりだ。
ゆっくりとショーツを下ろす。
アソコから興奮の証がクロッチに糸となって伸びていたが、ぷつりと切れた。
脱いだショーツはびしょびしょに濡れていた。
ベッドにうつ伏せになってお尻だけ高く掲げると、両手でアソコを開いて見せつけた。
既に一人産んでいる恥ずかしいところ。
同い年の女の子よりは圧倒的に使い込んでいるであろうアソコを。
腰をがっちりと掴まれ、硬くなったモノがゆっくりと入ってきた。
「はぁぁっ、はいって、くるぅ♡」
肉を掻き分けて侵入してくるソレはいとも容易く最奥まで辿り着いた。
つい一年前まであの子がいた大事なところをぐりぐりと押して攻めてくる。
まるで自分も入れろと言わんばかりの動きに思わず悲鳴が漏れてしまう。
「きゃっ、ひぃっ♡ぐりぐりしちゃダメぇ♡弱いですからぁっ♡」
腰を掴んでいた手が離されて旦那様が覆い被さってきた。
胸を揉まれて、首筋に吸い付かれる。
「だめです♡くび、キスマークついちゃう♡おそとでれなくなっちゃう♡」
「いいよ、明日はゆっくり休んでいても」
「ああっ♡あな、たぁっ♡」
とん、と強く奥を突かれて、身体が反応する。
さっき寸止めされたせいでもう限界だ。
「らめっ、らめれすぅ♡あなたぁ♡そこ♡おくらめぇ♡」
「フゥリっ、もうイくの?」
「はひぃ♡あなたので、わたしもう♡」
ピストン運動が始まってどんどん頭が白く塗りつぶされていく。
もうなにされているかもよくわからない。
ただ只管に気持ちよくて、それしかわからなくなっている。
「らめらめらめぇっ! あなた、すき、すきぃ♡きもちよくてらめになるぅ♡」
「かわいいよフゥリ、愛してる」
耳元で囁かれてぞくぞくと背筋が震えた。
「らめぇ! あいしてるって、いっちゃらめ! ささやいちゃらめなのぉ! みみきもちよくなっちゃう! おかしくなるぅ!」
「イっていいよ、フゥリ、フゥリ! 愛してる、ずっと愛してる。大好きだよ」
「イくっ! イくイくイくぅ♡らめぇぇぇぇぇっ♡♡♡♡」
最後の壁は容易く決壊して、絶頂へと押し上げられた。
お腹の中で熱いものが弾けて、奥一杯に広がっていく。
その感覚でまた絶頂に達して、目の前が真っ白になった。
身体はびくびくと細かに痙攣しいる。
ぼやけた視界の中で隣に旦那様が仰向けになっているのが見えた。
痙攣が収まってきたので、ゆっくりと上半身を起こして四つん這いになって、旦那様の両脚の間に私の身体を納める。
旦那様の子種と私の蜜に塗れた少しだけ頭を垂れた男性器が目の前にあった。
「汚れちゃいましたね。綺麗にさせて下さい」
そう言って男性器を咥えると、みるみるうちに大きく、硬くなっていった。
咥えきれなくなって一度口の外へ出す。
目を奪われるほどの大きさで、見ているだけでどきどきしてくる。
これがさっきまで自分の膣内に入っていたとは。
ゆっくりと舌を這わせていく。
陰嚢から陰茎、亀頭へ、ゆっくりと舐め残しがないように。
口の中には生臭さと苦さが広がっていくが、愛する人の味だと思うとそれすら愛おしく思える。
尿道を親指で押して中の分も残らず吸い出す。
ちろちろと蛇のように鈴口や亀頭の割れ目を舌で舐めていると男性器が一際大きくなった。
「フゥリ、もう」
苦しそうな声だった。
「私の口にいっぱい出してください。あなたの子種を飲ませて下さい」
亀頭にキスをして口を目一杯開くと、すかさず口内目掛けて大量の子種が発射された。
むわりとした雄の匂いが鼻腔に、口内に広がっていく。
射精が終わったのを見計らって、鈴口に口をつけて再び尿道の残りを吸い出した。
口の中は子種でいっぱいだ。
喉を鳴らして子種を飲み込むが、量が多くて一回では飲み切れず、二度目の嚥下でようやく全て飲み干せた。
証拠として口を開けて舌を見せると、旦那様は頭を撫でてくれた。
「全部飲めたんだね」
「えへへ、私うまくできましたか?」
「ああ、もうすっかり上手だ。沢山練習したんだね。偉いよフゥリ、頑張り屋さんだ」
褒められてにやつきが止まらないまま、旦那様の横に寝っ転がって腕枕をしてもらった。
甘える猫のように頬を擦りつける。
この瞬間が一番幸せに感じる。
「ところでさ、フゥリにお願いしたいことがあるんだけど。エッチなことじゃないよ」
「なんですか?」
旦那様が私にお願いというのも、久しぶりな気がする。
頼られているよう少しうきうきしてしまう。
「オオヒメ様なんだけどさ、時々フゥリの身体で誘惑してくるんだよね」
「えっ」
「狐耳が生えるから流石に気がつくけど。フゥリの身体でああいうことされると、結構我慢も難しいというか」
「ちょっと待ってくださいね」
寝耳に水だ。
人の身体で何しているのだ、あの神様は。
(オオヒメ様、オオヒメ様。聞こえていますか?)
『ぐーすかぴーですよ』
(寝たふりしないで下さい! なんで私の身体を勝手に!)
『し、仕方ないじゃないですか。だって、寝てる間にフゥリに触ろうと悶々としてるんですよ。相手してあげないと可哀想じゃないですか』
(本当のところはどうなんですか)
『偶には私も男を愉しみたいです。私は見てるだけでフゥリばっかり気持ちよくなるのはずるいですよ』
(頻度はどれくらいですか)
『週に三、四回というところでしょうか』
(道理で疲れが取れない訳ですよ! いつまで私に憑いてるんですか! 村の方に戻って下さいよ!)
『あら、私を取り込んだのはあなたですよ、フゥリ。オオヒメノチカラハワタシガイタダク、なんて自暴自棄なことするから悪いんですよ。しかし、あの時の小娘が随分と幸せそうになったものです。私も嬉しいですよ。さあ、諦めて仲良くやっていきましょうね』
自分が原因なだけに言い返そうにも言い返せず、悶々としながら私は旦那様に頭を押し付けた。