後日譚【手続き】④−2

後日譚【手続き】④−2




 という訳で、事実上の見学時間となった。

ミク「さっき爆発してたやつは何を作ろうとしてたんですか?」

513号「あれは砕かれた液状の物質を元の固体に戻す、『逆ミキサー』の開発ですね!」

アリス「…ええっと、なんでそれが爆発……?」

7119号「おそらく搭載しようとしている自爆機能のせいですね。回転機構との回路の噛み合いが恐ろしいほど悪くて苦戦しているようです」

ミク「……なるほど?」

もしかして、と思い他の発明品の計画や研究を見せていただいたが…やはりどれを見ても自爆機能が想定されている。どうやら試作品の段階では、とりあえず自爆てきるようにデザインするのが基本のようだ。

513号「ロマンを追い求めている、だそうです…」

ミク「どうしてそこまで…否定はしませんけど」

アリス「すごい信念だね…否定はしないけど」

7119号「否定できない時点でお姉様たちもお姉様たちですね…」


 色々と開発を見学させてもらう最中───ふと、ある一室に機械の山が運び込まれているのが見えた。

ミク「あれは…」

7119号「雪山から運び出された機械ですね…一度あそこに保管するんです」

アリス「あれがそうなんだ……」

アリスがいるのか、あるいは修理ができる状態なのか…確認して判断しなければならない。きっと肉体的にも精神的にも大変な作業だ。

ミク「……少し、中を見てもいいですか?」

513号「え?大丈夫ですが、あんまりおすすめはしませんよ?」

7119号「もしかして何か落とし物ですか?」

ミク「まあ…そんな感じですかね」

アリス「ミクちゃん、もしかして…」

ミク「はい。軽くですが『あの子』を捜します」

アリス「……手伝うよ、ミクちゃん」



〈───いつか、返しに来てください。ちゃんと待ってますから。〉



 雪山で出会って、鉈と銃を託した『妹』。

様々な人から聞いた限り、捜索活動が始まっていくらか経っているはずだが…あの『妹』には未だに会えていない。

もしかしたら、なんてことは考えたくもないが…もしそうなら見つけてあげないと。それが同じアリスであり、彼女と話した唯一の姉である私の役目だと思った。

513号「……決意は固いようですね。ご案内します!」

そうして扉の前まで来る。

ミク「ありがとうございます。中に入るのは私たちだけで大丈夫ですよ、すぐ戻りますので」

アリス「無理に見る必要はないからね!」

7119号「…分かりました!お気をつけて」

そう2人に見送られて中へと入った。


 ミク「……これは」

アリス「……思った通り、ではあるね」

かつて雪山で飽きるほど見た処理場…棄てられた機械の山と酷似している。ただ、1つ違う点を挙げるとするならば。

アリス「……これ…」

ミク「『非正規の子』です…おそらく復旧は、もう……」

その機械の山が、ほとんど『アリス』関連のパーツであることだ。

もちろん、修理できる個体を探すのが目的なのでそうなってしまうが…私と同じ見た目の者が積み重なる様子は…やはり直視はしたくない。ウタハ様たちが精神的に落ち込むのも仕方ないと言える程だ。

ミク「でも、細かい判断は専門家に任せるしかないですね。とりあえず『あの子』を探しましょう」

アリス「うん、そうだね!」


 妹の特徴は掴んでいた。胴体の損傷と、アリスのものではない全く別物の腕。なんなら私が預けた武器もある。他のアリスを見つけるよりは、簡単に見つかると思う。

───だからこそ、できるなら見つからないで欲しい。彼女はまだ生きているという希望を持っていたい。

……見つからないで。見つから、ないで。みつから、ない、で……

アリス「……これ、って」

見つけてしまった。

震えた手で自らの鉈を引き抜き、隣に添える。

『同じ』だと、確信してしまった。

あの子の『腕』と、預けた『鉈』が、目の前に転がっていた。


 ミク「……あぁ………」

彼女の遺した物を、静かに抱きとめる。あの時はこうなることも覚悟しているつもりだったけれど…

アリス「……泣いてもいいんだよ、ミクちゃん」

そう優しい声で言われ、私は積もった想いを───

ガチャン!

そのとき。部屋の扉が唐突に押し開けられ、聞き慣れた声が聞こえる。

513号「ちょっ、今取り込み中ですよ!」

???「えー?いいじゃないですか私たちの仲ってやつで!落とし物があるんですよ、結構大事なやつが!」

7119号「たぶんお姉様方もそうですから!一旦戻ってください!」

???「『お姉様方』、ですか?どうせなら挨拶しちゃって───って、え?」

その声の方に顔を向けると、彼女と目が合う。姿はあの時のあの子とは違うが…間違いなく『アリス』だ。

もしかして。そんなことあるのか?そう思ったが、次の彼女の一言で、私は確信した。

10050号「───落としちゃって、申し訳ないですけれど…『返しに来ました』よ、お姉様!」

そう笑顔を浮かべる彼女に、勢いよく抱きついた。


 ミク「良かった……ほんとうに、よかった……!」

涙が溢れるのも意に介さず、話しかける。彼女も優しく抱き返してくれる。

10050号「……はい。10050号もお姉様とまた会えて良かったです!」

アリス「…よがっだぁ…よがっだねぇ……!」

少しの間、そのままでいた。513号さんと7119号さんも、そうしていることを許してくれた。



 落ち着くついでに、部屋を出てちょうどいいテーブルの周りに座る。

ミク「それにしても、よく無事でしたね?」

513号「状態としてはほぼアウトでしたけどね…メインジェネレータ半壊。両腕の接合部が修理不可の全壊。心臓部の周辺回路の完全燃焼。ほぼ作り直しの領域でした」

10050号「その影響で記憶がだいぶ消し飛んだんですよね…覚えてるのは地下施設で戦ったときと、雪山のあの日だけです」

7119号「おそらく頭の方にもう少し損傷があったなら───『10050号として』修復するのは無理でしたね」

アリス「ひええ……恐ろしい……」

改めて彼女の体を見る。メイド服を基調とした外見だ。たしか主人の要望に合わせて家事用のボディを採用することがあると聞いた。

でも、なんか家事とかとは違うものが彼女にはある気が……


 513号「アリスにはそれぞれ得意とされる演算処理や信号送信など、様々な個性が生まれるときがあるんですが……10050号の場合、『発達』していたんです」

アリス「発達…?」

513号「はい。本来は情報の平行処理が得意とされていたのですが…現在の10050号は空間把握と身体稼働の両方を同時に、高水準に処理できます」

7119号「つまり論理的な演算だけでなく、実践的な活動でも情報処理や動作ができるようになっていたということですね!」

513号「そのため現在の量産型のアリスのパーツだと、情報処理と身体機能の両立ができずに身体障害を生む可能性があったんです。

なのでより身体的な活動に適応できるパーツ…『5号』お姉様を基にした量産型パーツを使って修理しました!」

ミク「……?そう、なんですか?」


 『5号お姉様を』基にした…そのニュアンスに違和感を感じた。

アリス「…えっと、確かナンバーが一桁の子たちは、量産型にするための試験的な特化個体…なんだっけ?」

ミク「はい、そして総合的にバランスをとって、量産方面に性能を整えたのが9号お姉様…さらにそれを基盤に量産型アリスが作られていきました」

だから、それ以外のシングルナンバーズからパーツを作ることなんてあるのか?と考えた訳だ。

10050号「鋭い指摘ですね、お姉様!どうやら10050号に取り付けられたパーツは『昔の試作品』らしいです!」

と、10050号さんが言うと───

4号「アリスのことならお任せください!」

その話題が何かしらに心を突き動かしたのか、4号お姉様がすっ飛んできた。どうやら解説してくれるっぽい…?

7119号「出た!4号お姉様の解説パート!」

513号「実際に見るのは久しぶりですね!」

ミク「よく分からないけどお決まりなんですね…?」

アリス「うん!聞かせて聞かせて!」


─────────────────

 時は試作機開発時代!新しく製作されて起動した4号は、既にエンジニア部で一緒にアリスの製作を手伝っていました!

目標は『キヴォトス人に匹敵する戦闘能力を保持したアリス』の開発。まあ、銃撃戦の絶えないキヴォトスではそれぐらいの戦闘力がないと困るだろうという、割と当然の発想から始まりました。

ところがそのキヴォトス人なら当然の戦闘力を再現するのが難しかったんです。冷静に考えて『神秘』という不思議な力の影響を受けていますからね!

解明できていない技術の再現などできるはずもなく、生徒のデータから戦闘力を再現するという当初の方向性は早々に諦めてしまった訳です。

すると、生徒に対抗できるような能力をアリスに搭載するというのが主な方針になるわけですが…お察しの通り、これも全く簡単ではありませんでした。

というのも、『神秘の影響』と言うには、キヴォトス人の特徴はあまりにも多すぎたんです。銃火器への耐久性や適応力はもちろん、個人の特有の個性や長所にも発展する……この内から1,2個に相当する機能を加えようとしただけで、アリスの演算処理からはキャパオーバーします。

もともとその他の機能でいっぱいでしたからね。かといって他の一般的な機能を犠牲にして戦闘力を上げるというのは…『人が機械のお世話をする』という色んな方面で問題になりそうなことになりますし、そもそも大本の目標である『ケイ』お姉様のボディの完成という観点で良くありませんでした。

そしてあれこれ議論を交わす内に…シンプルに銃火器の扱いに長けているようにするのが最も現実的で最適化もしやすい、という結論に至りました。

その戦闘力の指標とするため、やや過剰気味に戦闘知識や技術を搭載し、最適化した試作機…それが『量産型アリス5号』です!

ただ、その5号と日々を過ごしてデータを集めている最中…目標そのものに対する懸念点が生まれました。

〈キヴォトス人に匹敵する戦力の大量開発は、兵器開発と同義ではないか?〉

量産型アリスは戦闘目的で作られていないだとか、耐久性は完全でないとか、そういう話ではありません。『自分たちの手で脅威と成りうる武力を作り出して保有、販売する』。そうしたニュアンスが、世間には大きな事実として伝わってしまう。そういうものなんです。

それを危惧して再び長い議論を交わした結果、量産型アリスに明確な戦闘力は搭載しない…そういった結論になりました。5号はあくまでもデータの収集やケイお姉様のボディへの応用を目的として、活動を継続することになったというわけです。

さてさて、ここでやっと10050号の話に戻りますが…先程5号を基にしたパーツ、と言ってましたね?これは半分正解で半分間違いです。

厳密には、5号の体になるはずだったものを、後に5号から得られたデータを用いて量産型に改良しようとした体から、一部取り出したパーツです。

5号の体にならなかった理由は単純明解。1つ1つのパーツを動かすのに要求される演算能力が高すぎたからです。

それを何とかするための改良でしたが…先程話したように、量産型アリスに戦闘力を持たせないという決定に伴って中止しました。

しかしながら!10050号の演算処理能力は逆に、現在の量産型の体がついていけないレベルの特化した能力を持っていました!

加えて彼女の損傷は深刻であるとはいえ、全身を取り替える必要はない───つまり、要求スペックの高い機体全身を扱う必要がなく、最低限に留めたり調節したりといった、加減がきく状態と判断されました。

つまりこの5号に関連した体が修理に使えると判断し、再び改良や調整をしようとしたんです!

これに基づいた修理を行った結果……今の10050号になったというわけです!


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 アリス「おお~」パチパチパチ!

ミク「……なるほど」

過剰と言えるほどの説明量だったが…事情はよく分かった。

その上で、ひとつ残る疑問としては───

ミク「なぜそのような演算の発達が起きたのか、ですけど……うーん……」

513号「何か心当たりが?」

ミク「心当たりというよりは単純な考え、ですけど。雪山のあの一件で習得した、というのが一番ありえそうだなと思って」

4号「……鋭いですね。4号たちも同じ意見です」


 雪山で起きた『大清掃』。第三者から見れば大規模な機械の不法投棄だが、実際に起きていたのは機械同士の潰し合いだ。

あれを生き延びるとなれば、相当な戦闘力と理性が必要になる。そしてそれを元々持っていなかったとなれば、自ら必要だと判断して学習し習得した。その難しさはさておき、それが最も現実的だろう。実際、私たちも同じようにして生き延びた。

それが出来たから良かった、と言えばそれまでだが。

アリス「……やっぱり、気の良いものじゃないね」

ミク「はい。……その影響で能力を得たとするなら、それは───」

適応できた者だけが生き、そうでないものは残らず淘汰される───まるで、蠱毒みたいじゃないか。

そう思ってしまったが、とても口にはできなかった。やはりあの出来事は何よりも残酷で、邪悪な計画だったと思う。


 4号「……そうですね。きっと、『あの子』と同じようなひどい…いや、何でもないです」

……『あの子』……か。

アリス「……過去にいたの?同じような目に遭ったアリスが」

「「「……!?」」」

一同が驚く。……私を除いて。私も同じ考えだった。

ミク「かなりデリケートな話なので、言えないなら大丈夫です。ただ、そうかなと思って」

そう告げると、4号お姉様は少し迷ってから、覚悟を決めたように話した。

4号「……あはは。かないませんね、ミクとアリスには。

……はい、いました。それも、機械どころか『アリス同士』だけでそうされたアリスが」

「「「!?」」」

再度、一同が驚きに包まれる。

ミク「……その子は、今は?」

4号「行方知れず…厳密には、その計画を実行した組織で活動中です。

これ以上の情報は…一旦やめておきましょうか?」

アリス「…うん。重い話をしてごめんね……」

行く宛もなく付き従っているのか、あるいは自らの在り方を探しているのか。気になりはするけれど、当事者でもない私たちが今割り込むべきことではないだろう。


 10050号「……あー、もう!重たい空気は嫌いです!話を変えましょう!」

沈黙を破るように妹が叫ぶ。

10050号「お姉様!10050号の体を見て、もう一つ気になるところがあるんじゃないですか?」

そう言って自信げに体を張る。

なぜか他の方々も、答えてほしいと言わんばかりにこちらに期待の眼差しを向けてくる。たぶん皆さんも関わった何かなのだろう。

気になるところと言えば……

アリス「分かった!『腕』、だね!」

黒に青い模様が入った、明らかに無機質な腕。アリスちゃんがそれを指摘すると、唐突に誰かがすっ飛んでくる。

コトリ「そこから先は私にお任せください!」

ミク「……また!?」

7119号「出た!コトリ先輩の本家解説パート!」

513号「今日は盛りだくさんですね!」

4号「はわわ…コトリ先輩の解説…!よろしくお願いします!」

……まあ、聞いてみるか……


─────────────

 10050号の腕は、我々エンジニア部の発明の中でも最新かつ最高傑作の義手!その名も『換装型腕鎧(リプレイス・ガントレット)』!!

こちらの利点は様々なのですが…特に外せないのは、腕としての形や機能を残しつつ銃火器としての運用が可能という両立性です!

今まで義手をつける際に銃に差し替えるという技術そのものは、存在はしていました。

しかし、それはあくまでも銃。当然ながら引き換えとして、腕としての機能はほとんど失います。そして腕が機能しないことは、想像よりも生活していく上で不利益を被る…したがって、銃の所持が基本であるキヴォトスにおいても使われることはないといっていい技術だったわけです。

しかし私たちはあえてそこに目をつけました!わざわざ腕を銃にするのではなく、腕に銃の機能を取り付ければいいじゃないか、と!発想の転換というやつですね!そうして開発されたのがこの義手というわけです!

普段は従来の義手と同じように、本物の腕と変わらない使用感で腕として扱えて、いざ戦闘となったときは絶対的な戦力になってくれる優れものです!10050号の場合は元が機械なので、腕にこのガントレットの性能を加える形になりました!

そしてもう一つ、この義手を語る上で欠かせないのは高度で多彩なカスタマイズ性です!

まずは銃の種類ですね!どんな銃火器をモチーフにした銃弾と性能を持たせるか、オプションに従って変えることができます!どんなカスタマイズにしたかで、ある程度名称も変えているんですよ!

例えば10050号の場合は、右手にマシンガンの性能を取り付けた『機銃右腕鎧(マシンガン・ライトガントレット)』、左手に平射弾道型大砲の性能を取り付けた『砲弾左腕鎧(カノン・レフトガントレット)』を採用しています!

そして可変オプションはもちろんそれだけではありません!弾丸の装填方法、弾丸の射出部位、射撃の合図……つまり、銃として扱うときのサインや使い方もカスタマイズできるのです!

これもまた10050号を例にさせていただきますと、装填方法は上腕部からカバーを取り外して手動で行い、射出部位は指先から。

射撃の合図は手でピストルのハンドサインを作って『バーン!』と叫ぶことです!ハンドサインを解除すれば、射撃も自動で停止します。逆にそれまでは撃ち続けてしまうので注意が必要ですね!

左手のカノン砲は使う度に事前に『チャージ』と唱えて数十秒待つ必要があります!代わりと言ってはなんですがエネルギー弾を採用しているので、リロードの心配は要りませんね!

ちなみに今の内容はオプションに従っているとはいえ、ある程度10050号本人の要望も取り入れています!そういった自由が効きやすいのも、この義手の利点をさらに強めているでしょう!

もちろん、義手として開発…つまり腕を失ってしまった人向けの発明なので、使う機会が少ない方がいいものではありますが…この銃社会におけるもしもの不安を解決する、画期的な発明だと考えています!


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 「「「おおー!!」」」パチパチパチ!

なんだかプレゼンっぽくなったが、確かに画期的な発明だと分かった。

その発明自体には何も不安はない、のだが……

ミク「……えっと、一つだけ気になるんですけど…この子に付けて良かったんですか?」

試作段階の頃とは事情が大きく違うことは把握しているが、戦闘力をむやみに付けるのは良くないのでは…?

そう尋ねると皆さん…いや、10050号以外の表情が苦くなっていき、逆に10050号は目をきらきら輝かせる。急に雲行きが怪しいような…

10050号「そうです、その話がしたかったんです!実はお姉様たちにお願いが───」

ヒビキ「……ごめん、ちょっと時間もらうね」


 話を断ち切るようにヒビキ様がやってきた。

4号「ヒビキ先輩!お疲れ様です!」

ヒビキ「……うん、お疲れ様。えっと、ミクとアリスを呼んでくる話は……?」

4号「あっ」

ヒビキ「なんならコトリも来てるはずなんだけど…」

コトリ「……ごめんなさい!つい説明したいことが…」

ヒビキ「……まあ、そうだと思ってたけど」

影響されたのがよく分かるぐらいの似た者同士さだ。……私たちも目を輝かせて話を聞いていたのは黙っておこう。


 ヒビキ「二人の解析結果について大体の意見がまとまったから、一度戻ってきてほしい。あと、検査は終わったとして良さそうだから、513号と7119号は元の作業に戻ってほしい、って部長が言ってた。手伝ってくれてありがとう」

7119号「分かりました!こちらこそ、貴重な体験をありがとうございました!」

513号「デザート!デザートを期待してもいいんでしょうか!」

ヒビキ「うん。今度、いいやつをみんなで食べようか」

513号「わーい!…あっ、ミクお姉様、アリスお姉様!またお話しましょうね!」

7119号「またお会いできるのを楽しみにしています!」

ミク「はい。またお会いしましょう」

アリス「今度は二人のお仕事も見せてねー!」

そう挨拶を交わし、二人の背中を見送った。


 10050号「ヒビキ先輩!10050号は付いていってもいいですか?一緒に話を聞くだけですので!」

ヒビキ「あー…いや、たぶん大丈夫だよ。あと、さっきは話を遮っちゃってごめんね?」

10050号「大丈夫ですよ、急を要するものではないので!後でお話します!」

ヒビキ「それじゃ、行こうか」

なんか話が転々としているが…とりあえず、付いていこう。


 コトリ「すみません、お待たせしました!」

4号「遅くなってごめんなさい!」

ウタハ「全然大丈夫だよ、急ぎの用でもないし」

再び医務室に戻ってくると、書類に目を凝らすウタハ様の姿があった。

ウタハ「……おや。君も来たんだね、10050号?」

10050号「はい!お邪魔しても大丈夫でしょうか…?」

ウタハ「勿論だとも。ミクとアリスとも縁はあるようだし、ね?」

そう言われ眼差しを向けられたので、確かに頷き返す。



ウタハ「じゃ、話を始めようか。今の『量産型アリス39号』の体のことと…ついでに、今の量産型アリスの『摩訶不思議』について」





 To be continued...





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