後日、怪植物に奪われる
ちょっとホラーかもしれません。
ワンクッション
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井白「いやー。やっぱりとよよしの森近くは涼しい…夜更けだし誰もいないし……」
「拾い物はあるかもしれないけどね」
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「…やあ、こんな所でどうしたんです? 道に迷いましたか?」
「こんな所じゃなんだし、連れて行ってあげましょう」
「ほら、このリアカーに乗せていってあげますよ」
「行く所、無いんでしょ?」
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「名前を伺っても宜しいですか?」
「へえ、凄い名前だったんですね。まるで王様みたいだ」
「…ふんふん…それは、お気の毒に」
「まあ、でも何もかも気にしなくて良いでしょう。御子息に託したのなら」
「どこへ行くか? ここじゃない場所……ふざけているのか? いや滅相もない。そんな怒らなくたって良いじゃないですか。カリカリしないで。ああ暴れられても困りますよ」
「人間如き…如きって言われましてもねえ…」
「……うん。おや、消え(ねむ)るんですね。随分と摩耗していたみたいですから」
「おやすみなさい」
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井白「さて、残ってしまったやつはどうしようかな」
「……おや。また見つけてしまったなあ。へっくち。…デカい虫みたいだけど人間だったみたいだ。放っておくわけにもいないし、また連れていってあげますか」
「三島…何? 思い出せない? 寝起きだから記憶が吹き飛んでしまわれた?」
「無理に思い出さなくても別に良いと思いますよ。徒労に終わるだけですよ」
「それに思い出した所で、貴方は」
「ああ、また消え(ねむ)る」
「こんなに暗いし、リアカーは揺籠みたいに揺れてるし」
「そりゃあ、消え(ねむ)たくなりますよね」
「おやすみなさい」
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井白「おっ。コイン見っけ」
「……なんだ、日本の貨幣じゃないな。大昔に使われていたやつかな。…しかしヒビだらけだな」
「………家に飾るか。クワガタのデザインがお洒落だし」
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杏「おかえり…で合っていたか、黒子」
井白「合ってるよ。ただいまです」
「……おい。黒子、その大量の積荷はなんだ? 大量の硝子と…蟲…?」
「拾い物(人ならざるものの御遺体)」
「傷んでるからある程度は綺麗にしてみようかと」
「綺麗にして、その後は?」
「……ここのやり方で弔ってあげた方が良いんでしょうけどねえ」