影浦静と研究資料
天気の良い。◯月◯日の朝。認証チェック完了。XXランクの情報のアクセス許可、侵入を許可しますという機械音が鳴り響いた。
影浦静は、神装巫女の研究員であり、特殊な情報を手に入れることもできる立場だ。そんな彼女は許可を得て入った後、片手にスマホで14窓の配信を見つつ、並行思考で資料を見ていた。
「まずは、この資料が特徴的と言えるわ。ドイツは特殊なことに成功しているみたいね。神装巫女ミリアム・ウェーバー、対象神はザミエル。これはつまり、物語も対象に出来るということになる」ザミエルというのは、オペラ、魔弾の射手に出てくる悪魔であり、神話出典でも、民話出典でもない。けれどたしかにその資料には、成功例として載っていた。これは、つまり座が創作のものでも生まれ他にあるか、想像、物語を現実にしその上で神装巫女化出来る何かが作られている可能性が高い。前者であれど後者であれど、巫女の可能性は高まる上に性格面等での相性も合わせやすい。物語というのは、人格、いや神格がわかってるケースが多いのだから。安定して成功することができたのならばそれはきっと、神装巫女の新たな強みになる。強く、知名度のあり信仰、推しとなっている物語は多いがゆえに。「こちらも研究しがいがありそうね 候補となりえる物語は選別しておかないと」
それから次の資料に目を通す。「次はこれね。フェニックスと大口真神のの人柱。」資料を、片目で見る。名前の部分は塗りつぶされているが、重要な情報は読み取ることが出来る。「フェニックスは、死すことの不可能な植物状態の身体に、原因はシンクロ率ようは相性が良すぎたこと。フェニックスが離れなくなっているのもそのためであろうと推測されるわ。大口真神は、シンクロ率が高く性格面の一致が原因の一つ。憎しみに巫女になりたいという願いね」そこまで読むと私は、巫女になりたくても、なれなかった自分と重ねていた。それでも続きを読み、更に独り言をつぶやく。「暴走時の力も通常巫女と同様かそれ以上、研究員の犠牲さらには、他の巫女により倒され死亡か………ただ、他の巫女も苦労はしていたのは確実。人殺しになりたくない、仮に人でなくなった化け物に成り果てたものであっても、というのを置いておいても確実となると………力事態はかなり成功とも取れるわ」涙を流しかけ、こらえる。辛さと引き換えに改めて得た情報はかなり大きい。失敗例は他にも様々あるが、そうじて相性が良すぎるケースがゆえの暴走ケースも多い、そう改めて感じた。失敗でも、相性が、才能がなさすぎるがゆえのものならば降りてくることもないために、事故も起きづらい。
「今日はこれで最後にしましょう、違法薬と神装巫女」信仰集めの薬。その違法版の摘出と、違法的な組織の巫女の神装巫女の話だ。「薬の材料がまずありえないわ………人そのものとか………他の巫女の一部とか。理論上は可能かもしれないけれど……有り得て良いはずが」それはない、感情が否定する。そう思うのが当然なほどカニバリズム的方法だった。他者の信仰を食べれば、自らのものになる。ある種の竜のやっていることと同じことをその、違法薬はしている。信じがたいものだが、読み進める。「悪性の神や悪性の神的存在であれば、その手段に手をを貸すということ、なによりその薬を作ったのが反巫女組織なのが驚きね。一時龍の敵を仲間にするとしても、最終的には龍の敵を減らすのが目的と証言。捕まった巫女も含めほぼ捕まったものは全員その趣旨の証言を残していると………」正直信じたくないが、この研究室にある資料ということは本当のこと。巫女同士で争っている場合ではないと思うのに辛い。違法薬とはいえ、信仰を高める成功例である。情報は希少であり、別の方法、理論で試せないかとも私は考える。その後ザミエルの資料や人柱資料、違法薬の今まで見た資料をしまい、部屋を出た。この情報を活かし、新たな神装巫女の力を引き出すために。そして、同じ過ちを繰り返さないために。巫女になれず、けれど巫女に憧れた私が、巫女を手助けし、新たなる巫女を見出すために。