強引なのはダメだと思います!
戦闘によるダメージ。霊基の損傷を伴う宝具の最大開放。なんとか消滅は免れたものの、仮初の身体に魔力が満ちるまで数日の医務室生活だ。
「サーヴァントだって血を流し過ぎれば動けなくなる。限界を超えれば座に還る。……全くもう、無謀にも程があるぞ!」
「百も承知だ。あの場面で宝具を発動させなかったら、全員やられていた」
「む、それは、そうだけどさあ……」
マスターがほぼ無傷の五体満足で帰還できたのは晴信が独断で宝具を開放してくれたおかげ。サーヴァント達の消耗が抑えられたのも、晴信が殿を務めてくれたから。
────でも。
「晴信が自分を大切にしてくれないと困るんだよ。主に僕が」
第一印象は決して良いものではない。
しかし何だかんだでお付き合いを始め、食卓を共にし、同じ布団で朝を迎える仲となってから、晴信はすっかり心の内側に入り込んでいる。カルデアの生活には必要不可欠だ。
「そうか…………晋作、少し屈め」
「、な」
晴信の求めに応じて身体を折り曲げる。
───少しかさついている温かいものが、頬にそっと触れ、離れていった。
「は、晴信……今、力技で誤魔化そうとしたな!?」
「さあ?」