幸せの疲労
ぽめらにあん※全年齢柱マダ
※全てが捏造
※続きでR18展開にしてもらってもOK
※捏造(大事なことなので)
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ここ数日、慣れぬ交渉をしていた。友と手を取り興した“木ノ葉隠れの里”として、ある程度の自治権を火の国から得るための交渉だった。
千手一族をまとめることとも、うちはを始めとする他の一族との和平とも、毛色の異なる話し合いで今まで感じたことのなかった形の疲労があった。
優れた弟のお陰もあって、希望の八割程度を大名たちに認めさせることができた。残りの二割を妥協するか、引き続き交渉するかは、一旦里に持ち帰って考えることにした。
「兄者よ、明日は十時でよいか」
まだ日も出ている午後四時。普段の扉間であれば「ここからここまでの書類を片付けてから夕食にしよう」と言う頃合だが、流石に疲れたのか今日は解散をさせてくれるようだ。
「まあ……そうだな、里の皆への報告もしたい」
オレの返答を確かめた後、弟は帰路についた。
「自分の家があるだろうが」
自然と足が向かったのは、自分の家ではなく、友の住む家だった。玄関ではなく、庭先へ向かうと、その家の主がちょうど布団を取り込んでいた。
「帰ったぞー」
「だからここはお前の家じゃないだろ」
「オレたちの里に帰ってきた」
里に帰ってきた、で思い出したように
「あー、長い外交旅だったな。お疲れ様」
と労いの言葉をくれた。
友は縁側を指し、
「そこ座っとけ。茶でも淹れてやろう」
と家の奥へ消えた。
家の主から振る舞われたのは、ぬるく適温の玉露と里で一番高級な羊羹だった。
「こ……これは……!いいのか?」
「オレ一人では食べきれんから困っていた。残りはお前が持って帰って弟にも分けてやれ」
「しかし……」
「戦を知らぬ大名相手に話をすることがどれほど骨が折れることか、オレにだって想像はできる。その苦労に対して、だ」
不器用な友は、どうやら労ってくれているらしい。しかし、オレは貪欲な男だ。
出された物をしっかり平らげ、礼を言う。茶のおかわりを聞かれたが断った。
「ひとつ、我儘を聞いてくれるか?マダラ」
縁側に腰掛けるマダラの腿に、己の頭を預ける。いわゆる膝枕の状態だ。
「なぁ、こんなので癒されるのか?柱間」
「もちろんだ!」
「天下の火影サマがこんな姿……」
「お前にしか見せん」
見上げると、マダラと目があった。
「うるせ、あっち見とけ」
顔をグイと乱暴に外へ向けられた。
「ひどいぞ……こんなに疲れたオレに……乱暴を……」
「ら、乱暴はしてないだろ」
「も少し優しくしてほしい……」
困った、というため息が聞こえた。と思ったら、頭を優しく撫でられた。
まだ何かあるのではと思い、じっとしていると、撫でる手つき以上に優しい子守唄が聞こえてきた。
母上に歌われ、弟たちに歌ってきた千手の子守唄とは違う、うちはの子守唄。その唄のリズムに合わせて、肩をトントンと触られる。
唄が終わる。
「こんなんじゃお前は眠らないだろうが……。……柱間?」
思わず涙が一筋流れ、マダラの膝を濡らしてしまう。
ああ、
「幸せだ……」
「……ん」