幕間のおはなし
お誘い〜約束の日が来る前までの話
未満ですが一応ピニャアオのはず
興味のある方だけどうぞ
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「あのっ……今度一緒にムクロジに行きませんか!た、助けて貰ったお礼、と言う事で……」
「うん、いいよ」
アオイが勇気を振り絞り口にしたお誘いを、ピーニャは快く受ける事にした。
理由は単純。断れば世話焼きなしたっぱの1人から手厳しい言葉が飛んでくるのが目に見えているから。
だがそれだけではない。
初めて対峙した時、マジボスの最後を見届けた時、STCを訪ねてきた時……ピーニャが知っている少女の姿は、ほとんどがポケモンバトルをしている時のものばかりだ。後はアジトの一角でピクニックをしている程度の姿しか知らない。
ポケモンバトルをしていないただの少女の時のアオイがどんな表情を見せるのか、どんな言葉を紡ぐのか。ピーニャは知りたかった。
知的好奇心がそうさせたのか、はたまた別の感情が働いたのか。それは本人にも分からない。
「転入生ちゃんきっと気合い入れてオシャレして来ますよ!ボスもカッコよく決めなきゃ!」
そう件の世話焼きに言われたものの、ファッションなんてさっぱり分からないピーニャは困り果てていた。しかし言い分がもっともなのも確かである。無垢な少女の隣に改造制服を着た不良がいれば、嫌でも周囲の視線を集めてしまうだろう。
そこで縋りついたのは同じボスの肩書をもつ友人達。シュウメイとオルティガだった。
「ふむ、ピーニャ殿のスタイルならやはり脚部はスッキリさせた方が……」
「ムクロジってセルクルタウンだろ?あんまりギラギラだと虫ポケモンが寄ってきちゃうから避けたいよな……そうだピーニャ、キャップは被って行くの?」
「え?どうしようかな……」
「目印になるやもしれぬ。被って行った方が良いであろう」
「うーん、それなら色はやっぱりこっち?」
「店員殿、すまぬが試着は何点までであろうか」
「制限は設けておりませんのでごゆっくりお考えくださいませ」
「感謝致す……ではまず彼にこちらとこちらを」
「店員さん、そっちが終わったらこれもそいつに試着させていい?」
「ちょっ……多くない?」
「かしこまりました」
「いいんだ……」
ああでもないこうでもないと、服飾に造詣が深い2人の着せ替え人形となる。
「うーむこれなら先ほどのものと合わせた方が良いか……すまぬが今一度着てみて貰えぬだろうか」
「服が終わったらシューズも合わせにいくぞ」
「え……マジ?」
ピーニャが疲れを見せ始めた頃にようやく納得するコーディネートが完成したのだった。
◆
─同時刻、コサジタウンのとある家
「ネモ、本当にいいの?」
「私が着るにはもう小さいから、遠慮しないで!」
アオイはネモのクローゼットを前にしてあんぐりと口を開けていた。
外出用だろうか、色とりどりのワンピースが何着もかけられている。
「この辺りがあんまり着てないやつだったかな……あ!こっちもアオイに似合いそう!」
1着ずつ取り出しながら、ネモは楽しそうにアオイに服を充てがう。
「なんでネモがそんなに張り切ってるの……?」
「え?だってデートするんでしょ?」
「で、デートじゃないよ!」
したいけど……と小声で溢しアオイは俯いてしまう。
「……じゃあ、デートじゃないって事で!」
ネモはイタズラっ子のように笑う。
そのままクローゼットへと視線を移し、アオイに似合いそうな服を選ぼうと指を滑らせた。
「っ!!!アオイこれ着てみて!」
元気な声と共にネモが取り出したのは、白いワンピースだった。所々にあるレースや胸元で輝く飾りボタンが品の良さを際立てている。ネモの勢いに押され、アオイは慌てて差し出されたそれに着替えた。
「……ど、どうかな?」
変な所が無いかとアオイはくるくる回ってみせる。
「かわいい……」
ネモはそんな彼女を前にして、ただその一言を発する事しかできなかった。これなら誰であろうと見惚れてしまうだろう。何ならボタンとペパーを呼び出して証人にしてもいい。
「変じゃない?」
「全然変じゃない!よし、着ていく服はそれで決まりにしよ!」
「う、うん!ありがとうネモ!」
「どういたしまして!」
約束の日は間近に迫っている。