善性

善性

落星の人

これは呪術師が使う帳とやらか

落星は考えていた。この状況の突破法を

客観的に見ると何かしらの企みに気づき、その対策を考えているように見えるが実際の落星の考えはこうだ

(えぇー?俺、ついに呪術師に認知されちゃった?

今ロックオンされてる感じ?)

バカである。

落星は、帳の活用方法が呪霊を閉じ込めるだけだと思っている。

一応彼の名誉のために言っておくが現在、この渋谷にいる呪霊は自分だけだと考えている落星がこの思考に行き着くのに無理はない。

だとしても帳の範囲が広すぎる違和感には気づいていないが。

(確か今、呪術師側に五条悟とか言う無茶苦茶に強い奴がいるらしい俺の相手となるとしたら、そいつぐらいだろうなぁ)

だが落星はバカのくせに自分の強さをハッキリと認識していた。

間違いなく最強に近いが最強ではない

そう認識していた。

(と、なると最強の五条悟が来るだろうし帳壊して逃げるしかないか)

彼は自然と人間を巻き込まない方針で逃げる方法を考えていた。

実際、人間を巻き込んでまで逃げようとしたら落星は祓われていただろう。

こんなのでも落星は座学10なのである。

この場で自身のスタンスに合わせた最善を選んでゆく。

(確か帳には基だっけ?そんなものがあって、それを破壊したら出れるんだっけ?)

方針は決まって後は行動に移すのみ

『あれ?出れるじゃん』

実は、この帳は呪霊の出入りは制限されていないのである

なので落星は普通に出入りできる。

本日二度目の、バカである。

(え?俺を閉じ込めることが目的じゃない?じゃあ何で帳を?)

落星は困惑していた。

そして落星は再び帳の内側に戻る。

「ここから先どこにも行けない!」

「ここから出して!」

「助けて!」

(そっちかい)

どうやらこの帳は人の出入りを禁じるものだったらしい

(となると呪詛師?または火山頭みたいな人間嫌ってそうな知性の高い呪霊どっちかの仕業だな)

落星は死を目にするのが嫌いだ。

正確には人間や、知性の高い呪霊の死を見るのが嫌いだ。

(放っておいたら大惨事になりそうだし、見捨てたら気分が悪くなるし助けてやるか。)

そんな呪霊らしからぬ落星は、将来的な惨状を回避するために動き出した。


五条悟現着まで後、30分

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