巫護座◇オンステージ!〜にわか雨の悪竜と、四神巫女の初LIVE!〜2
巫護座◇オンステージ!〜にわか雨の悪竜と、四神巫女の初LIVE!〜2
「……にわか雨の悪竜?」
「そうです。」
ダンスのレッスンの後、わたし達のダンスの師匠である「みのりママ」から、衝撃の?事実が伝えられました。
「にわか雨の悪竜。ここ最近頻発するにわか雨の原因です。危険度は『丁』……まあ現代風に言えば『Eランク』といったところでしょうか。駆け出しの貴女達に相応しい相手と言えるでしょう」
「もちろん油断はできません。負ければずぶ濡れどころでは済みませんよ」
「『儀式』はローカル局の放送が入ります。まず間違いなく大雨の中の『儀式』になるでしょうから観客に期待はできません。よってどこまで『信仰』が集められるかは未知数です」
「本番は1週間後、気合いで乗り切りなさい」
みのりママは、脅すような発破をかけるような感じで話を締められました。
ついに来た!
わたし達の初ライブ!
「ここ最近のにわか雨って竜さんのせいだったんですね〜」
「1週間後かあ、ドキドキしてきた!」
「レッスンの成果が試されるってわけだなー!」
「舞踊と歌唱だけでなく『剣武』も大事になりそうだけど」
「「「うえ」」」
『剣武』。実際に刀を振り回して竜と戦う時の話です。みゆき以外は、3人ともちょっと苦手なんです。
京都の「皇座(すめらざ)」にいらっしゃる「巫女」さまなら剣武なしの歌と踊りだけで大悪龍すら鎮められるんですけど……わたし達はそんなに力がないから、どうしても「舞」だけじゃなくて「武」が必要になってくるんです。
ちゃんとこっちのレッスンもやってるんですけど、やっぱり歌とダンスの方が好きですね。
さて、「本番」の日付が決まったので、私たちのレッスンもさらに苛烈に……じゃなかった、実践的になってきました。
腕を、脚を、もっと強く伸ばして!
音楽に合わせたステップはもっと正確に!力強く!
ボーカルは全身を使って響くように、届けるように!
剣武は舞の所作を取り入れつつ、相手から目を逸らさずに速く深く切り込む!
普段の勉強もあるし、毎日へとへとになりながら、みんなそれぞれ自分の家に帰るのでした。