小僧無様かるたで遊ぼ!〜導入

小僧無様かるたで遊ぼ!〜導入




※伏黒完全巻き込まれ大事故

※裏梅もいるよ

※細えことは気にせず読んでね




「契闊」




「覚えているか?」


低く、甘ったるく、冷酷な声に我に返る。


「面白いものが見れると言ったろう、小僧」

「…………伏黒??」


小指の感覚がない。

ないのにズキズキと痛んで、理解したくない現実を教えてくる。


瞬く暇もなく、伏黒でないモノは虎杖の懐まで近寄り——




手にポン、とカードの束を乗せてきた。


「小僧無様かるたをやるぞ小僧」

「てめえ宿儺じゃねえか!!伏黒返せ宿ッ儺あああ"あ"あ"!!!」



「伏黒恵は小僧とは違い、その気になればすぐ自我を塗り潰せる器だ。現に、手足の制御は奪っている」


喋っているのは宿儺だ。だが先ほどのように伏黒の口で話しているわけではない。

虎杖の中にいた時のように、頬にもう一つの口を出して話しかけている。

幸いと言っていいのか、現状、伏黒の意識は明瞭なようだ。虎杖と共に固唾を飲み、頬に浮かぶ宿儺を睨みつけている。

手足については、宿儺が言うとおりで、思うように動かないらしい。正座の姿勢を強制されている。虎杖もまた、伏黒を人質に取られた手前、距離をとって斜向かいに座っていた。


「こうやって話してるってことは、取引する余地があるってことでいいんだな」

「察しは悪くないな、伏黒恵。縛りの内容は簡単だ。俺の手製のかるたをやれ」


伏黒がポカンと呆けている。そりゃそうだ、呪いの王に殺されそうになったかと思えばかるた、なんて言われて。

虎杖は宿儺のアホな思いつきに慣れてしまっているのでそこは疑問に思わなかったが、かるたで遊ぶだけかーよかったーとはならない。嫌な予感しかしない。


「伏黒を巻き込むな。いつも通り俺がやればいいだろ」

「なんだ。やりたいのか」

「話逸らすんじゃねえよ」

「そう急くな。小僧にもやらせることはある。読み札はすでに渡したろう。オマエは読み手をやれ」


一つ読んでみろ。宿儺に促されて束の一番上をめくってみる。


「わんわん、イかせてくださいわん、ちんち……ッなんだこれ!」


何も考えず素直に読み上げてしまったが、よくよく黙読すれば酷い内容だった。

『【わ】んわん♡イかせてくださいわん♡ちんちんするから♡発情ちんちんイかせてほしいわん♡わふっ♡おぉーん♡』

他の札も似たようなもので、はしたない言葉の羅列と、ご丁寧に語尾にハートマークがついている。まるでエロ漫画のセリフのような。

最悪なのは、これがエロ漫画のセリフなどではないと虎杖自身よく知っているということだ。


ハッとして伏黒を見る。途中までだから意味わからなかったよな?大丈夫だよな?という期待を込めて。


「虎杖…」


その引いてる目は察してるっぽい!!


「受肉したとき宿儺は言ってた、小僧無様かるた、とかなんとか。もしかして心当たりあんのか…?」


しかも座学10の観察眼でいらんことまで気づいてるっぽい!


「違ッ!違う!ダメだ伏黒、忘れてくれ、本当にダメっ」

「宿儺様」

「おっ」


いつの間にか白髪の麗人が、伏黒の横に膝をついていた。宿儺の目は上機嫌にそちらを向く。


「小僧の無様かるたをやる。絵札の用意をしろ」

「既に持参しております。少々並べるまでお時間をいただくことになりますが」

「相変わらず痒いところに手が届く」

「……(超嬉しがりながら素早く絵札を並べ始める)」

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"並べんのやめてええええええええ」


虎杖は絶叫するが、止めることはできない。伏黒の命がかかっているという理性が安易な行動を許さなかった。

ただただ全身を襲う羞恥の熱を抱きしめ丸まって悶絶することしかできなかった。


床に並べられる虎杖の顔写真の数々。

泣いていたり、鼻水を垂らしていたり、歯を食いしばっていたり。しかしどれを見ても一目瞭然なのが、その蕩け切った表情だ。

頭のいい伏黒は察してしまっただろう。友達だからこそ打ち明けられず、ずっと隠してきた、宿儺に施されてきた破廉恥な仕打ちの数々を。


「改めて言う。これは縛りだ。伏黒恵、裏梅とこの小僧無様かるたで勝負をしろ。お前たちが勝てば再度呪物化して小僧の体に戻ってやろう」


青空に宿儺のゲラゲラという笑い声が高らかに響き渡った。


ちなみに伏黒の魂折る策略じゃなくてただただエロかるたやるだけなので津美紀がいるタイミングじゃないよ!

あと天使がいたら遊んでる場合じゃなくなるから華もいないよ!




前編につづく


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