導入書き捨て

導入書き捨て


因習村、人間の景虎が神の子として恐れられてるパターンもありだと思う(それはそれとして八華様が崇められてるのも好き)

村長の家が代々毘沙門天信仰(並びにその加護を受けていたり化身とされていた上杉謙信信仰)してたんだけどその信仰が捻れて現人神を産む(作る)ことに固執した結果、自分たちに制御出来ない景虎を恐れて幽閉する村人達…みたいな




自慢の愛車がエンストした。

軽快に風を切るように走っていた車は、突然身震いするように震えたと思えば尾を引くように速度を緩めた。日帰り弾丸旅行の帰り道で、土産のアイスが溶けないようにと近道をしようと思ったのが晴信の運の尽きだったか。二度ほどエンジンをかけ直そうとしたが、どうにも効果はないようだった。


「パハーーー…」


ため息を吐きたくなるのをタバコの煙で誤魔化して、さてどうするかと空を見上げた。

スマホで地図検索をしても、立ち往生した場所は国道や街から離れた田舎───というよりはもはや山。コンビニすら5km圏内にないとは、都市生まれ都市育ちの晴信としては『どうしよう』の一言であった。携帯充電器はあれど、電波が不安定で電話をしてもノイズが酷く使えそうにない。それでも10分ほどかけて何とかレッカーを頼んだが、どうにも近くで土砂崩れがあったらしくそれが片付くまでは手配も厳しいとのこと。不幸中の幸いはエンストしたのが直射日光を遮る林の中だったことと、旅行帰りということで食料や飲み物が無くはないことくらいだろうか。家で待つ家族にこのことを伝えると、弟からは心配と「いざという時は迎えに行く」との頼もしい言葉を、姉と妹からは「前世の行いが悪かったんじゃないの?」という心配してるんだかよくわからない声を貰った。別にこの旅行は家族のために決めたわけじゃなく俺が温泉目当てで決行した旅行だが、土産に流行りのアイスが欲しいだの泥パックが気になるだの温泉まんじゅう食べたいだのと言って、アイスが溶ける前に早く帰ってきてと帰るのを急かしてきたのは姉と妹だ。もうちょっと俺に優しくしてくれてもいいだろと、心がくさくさして小石を蹴りたくなる。どうせ今日は帰れないだろうし、土産のアイスとまんじゅうは全部俺が食おう。土産は泥パックだけだ。

車から降りてじっとりとした暑さの中で現実逃避(タバコ休憩)をしていた晴信は、さてどうするかと改めて周りを見る。木、木、木、木、木…と、白い何か。一瞬布団の不法投棄かと思ったが、近づくとそれは人間だった。自分よりは年下の女だ。


「なあ、ここの近くのコンビニ──」


と、声をかけた晴信は違和感を覚えた。近づくまでは気が付かなかったが女の様子が尋常とは違うのだ。木に寄りかかって昼寝でもしているのかと思って大きめの声で話しかけたが、少しばかりこちらに顔を向けただけで返事がない。


「大丈夫か?…おい、しっかりしろ!」


真っ赤な顔。痙攣する手足。着ている着物がじっとりと濡れるほどに流れる汗。どう見ても熱中症だ。着ている着物は上等だが、こんな暑い日にこの装いは罰ゲームのようなものでしかない。

常ならばこんなことはしないが緊急事態だ。晴信は女の着物の合わせ目を緩めると、横抱きにしてまだクーラーの余韻のある車内に運び込んだ。


(中略)


「つめたーーーい!食べるのが止まりません!これはなんですか?食べるとこう、胸が、ふわっとします!」


「落ち着け。これはアイスだ。回復したとはいえ頭痛かったんだろ、かぶりつきで食べるとまた頭痛くなるぞ」


「だいじょーぶですよ!雪みたいに冷たいのに、もっと柔らかくて、あ、う、んんんんんんん!?」


「おい」


何時間か介抱して回復した女───景虎は、暑苦しい着物からTシャツに着替えてアイスを頬張っていた。Tシャツは信繁への土産だったが、未使用の衣服などそれ以外持ち合わせていなかったのだから仕方ない。アイスも溶けてしまっては土産にならないし、1人で食べ切れる量ではなかったから塩分糖分補給も兼ねて食べさせるのに異論は無い。が、回復してから元気いっぱい好奇心旺盛に落ち着きの無くなった景虎に、晴信はテンポを崩されてタジタジだった。

距離が近い。子供のように無邪気。言動が旧知の仲のように気安い。そして、季節感のない服装やアイスを知らない言動から感じる景虎と晴信の常識のズレ。もう回復したのだから放って置けばいい話なのだが、どこか危なっかしくて目を離せなかった。


「大騒ぎできるくらい回復したんならさっさと帰れ。まさか行き倒れてたわけじゃないよな?」


「まさか。村が何やら忙しそうだったので、暇になって探検してただけです。まさかこんなに暑くなるとは…」


「気をつけろよ。家族が心配するだろ」


「大丈夫ですって。あ!そうだ晴信、家に帰る目処が立っていないんでしょう?私の村にしばらく居ましょうよ」


考えていたことではあった。日陰とはいえ真夏。土砂崩れで塞がった道路がいつ復旧するかも分からない今、コンビニで日中を過し晩を車中で越す当初の予定は無謀といえた。何より、コンビニまで5km以上あるのが面倒くさい。

しかし、その面倒臭さを凌駕する嫌な予感が村に滞在するという選択肢からは感じられるのだ。常識が通じないような、下手をすると戻れなくなるような。


「いや、提案はありがたいが遠慮しておこう。あまり車から離れたくないし、何より今村は祭りの準備で忙しいんだろ?俺は家に帰れるまでコンビニと車を往復して過ごすことにする。まあ、コンビニに行けば食べ物も飲み物も買えるだろうし、スマホの充電も出来るだろうからな」


「んー、晴信の言う『こんびに』って、商店みたいなもののことですよね?私の知る限りですけど、ここから歩いて行ける場所にある商店って、私の村にあるところだけですよ?」


「...…嘘だろ」


「嘘じゃありませんよ。ささ、そういうわけですから村に行きましょう!村の外の人なんて久しぶりに見ました。もうすぐお祭りもありますし、準備が間に合ったらお祭り見てってください」


景虎が話しながら指さした方向をマップで調べたら、確かにコンビニのある方向と同じだった。晴信はそっとこめかみを揉みながら、知己の居ないアウェーの村で世話になることへの不安を解きほぐそうとした。

別に怖い訳では無い。武田の男は負けないし、怖気付いたりしないのだ。


「そういえば、俺の事を村にしばらく置くとか誰にも相談せずに決めているがいいのか?1度話を通すべきだと思うが」


「心配ありませんよ!これは受けた恩に報いる行為。『義』の為なんですから。みんな納得してくれます」


何故だろう。晴信は景虎の口から出た「義のため」という言葉が、どうしようもなく理解できなかった。



この後村に行ってものすごい好待遇を受けたり、村長の奥さんだけものすごい形相でこっち睨みつけてて村から早く出たくて仕方がない晴信。神子としての景虎があまりにも無機質でお前はそういうヤツじゃ無いだろ!ってキレて前世の記憶取り戻したり、(無意識に今度こそはと)母の願う毘沙門天の化身として振舞ったのに自分を受け入れることは無かった母への申し訳なさや己の毘沙門天ムーブにキレる晴信に前世の記憶取り戻した景虎が村の祭りや儀式をめちゃくちゃにしたり、代々の神子が堕ち神のようなものになってて2人で戦ったり色々して因習村は爆散するし川中島コンビはGet Wildしつつ因習村を去るし、景虎は武田家に居候して晴信は叫ぶ






武田晴信:記憶なし(だった)。23歳でピカピカの新社会人。父親の会社に入社したあと初のボーナスで日帰り弾丸温泉旅行をしたら、何故か車がエンストしてしまい因習村に1週間ほど泊まることになる。村長の家の奥さんはめっちゃ敵意を向けてくるのに、村人や村長はやたらと親切に接してくるので不信感を抱いていた。その警戒心のおかげで、因習村脱出と前世の記憶を取り戻す。


長尾景虎:記憶うっすらぼんやり(だった)。14歳だが村から出たことがなく、義務教育も受けていない。無表情だとすごい大人びて見える。熱中症だったところを晴信に助けられ、その後お返しに懐刀を渡した。ちなみに食べたのは「塩アイス」。懐刀は因習村脱出に大いに貢献した。因習村脱出後は施設に引き取られたが、何故か気がついたら武田家にいる。「来るな!!!」「お姉さま方からの許しは出ていますよ?」「は?????」


晴信の姉妹:記憶あり。前世で嫁入り先に攻め入ってくれたのを覚えていて思い出しただけでも怒りで目の前が赤くなるが、記憶のない今世の晴信に当たっても何も解決しないのを理解しているので使いっ走りにしたり我儘を言って困らせたりして、どうしようのない気持ちを消化している。今世で姉を姉として頼り慕い、妹を妹として愛し甘やかす晴信を見て、「こいつ、こういうとこあるから嫌いになれないんだよな」「それはそれとして利のための切り替えがスパッとしてて嫌なんだよな」と思ってる。エンストして帰れないと電話が来た時、まあ晴信ならあっさり帰ってくるでしょと心配してなかった。村から帰ってきて記憶が戻った晴信をぶん殴ってやっとスッキリするし、ケジメをつけられて気持ちの整理ができる。それはそれとして、それ(連れてる女の子)越後の軍神じゃない!?晴信の反応がおもしれーので、景虎の武田家滞在を許した。


晴信の父親:記憶なし。晴信より弟の方が気に入ってる。エンストした時に弟や姉妹のそばにいたが、電話に出なかった。あいつ(晴信)は山の中に放り出しても勝手に帰ってくるだろと気にしてないそぶりをしていたが、晴信が帰ってくるまで貧乏ゆすりは増えたし酒の数が増えた。


晴信の弟:記憶なし。頼れるし人気者の兄なのに、(本人はそんな気が一切ないが)騒動によく巻き込まれているので支えなきゃ…と思ってる。晴信からエンストの連絡が来た時は、まあ兄なら無事に帰ってくると思いつつ、兄が騒動に巻き込まれる予感がして迎えに行くべきか悩んだ。良い弟。



因習村ならわし

神の子を作る。神の子は村を平和にし、豊かにする。

信仰に身を捧げる一族を村の頭(かしら)とし、これを神子(みこ)の一族とする。神子の一族は神の子が生まれるまで儀式を繰り返し、村民はそれを支える。

1.神子の一族は長子を毘沙門天の化身とし、おしるし(精通/初潮)が訪れたら3年以内に村の外の人間と子を成す。子を成すまでの一連の流れを、儀式とする。

2. 余所人は健康で赤以外を纏う、裕福そうな者を選ぶ。村では約束を守らせ、武器となるものは持たせない。約束を破った際は、相応の罰を受けてもらう。(村民が欲しがれば歩けなくした上で下賜。不要なら殺す)

3.神子の一族は子を成す際に白を身にまとい、余所者には赤を着せる。この時、役目を終えた余所人には秘密を守ってもらう。(殺す)

4.生まれた子供がより毘沙門天に近づけるように、村人は信仰と努力を弛まず続ける。



代々の神子(堕ち神)

村に繁栄と平和を齎すことが出来なかった代々の神子(みこ)は神の子では無いので、死ぬまでは大切にされるが死んだあとは神のなり損ないとしてぞんざいな扱いをされる。村に尽くしたのに、己の責務を全うして眠りについたのに、なぜ蔑ろにされるのか。なぜ誰も惜しんで悼んではくれないのか。生前は神子として(現人神かもしれない存在として)村人から信仰を受けているので、少しずつ歴代神子達の無念は積み重なり、その怨念は弱いながらも神としての形を成し、やがて堕ち神となった。(怨念が神子たちの死体置き場に溜まる→死んだ直後でまだ信仰を受けている神子が怨念の溜まり場に新たに投げ込まれる→怨念は積み重なり神子の微弱な信仰が穢れる→繰り返される→堕ち神誕生)みたいな感じ。

謙信は毘沙門天の加護があると信じ神性も獲得していた存在で、信玄はそんな謙信相手に戦仕掛けて暴れていたので、どちらも相手が神であろうと怯むはずがなく堕ち神は容易く吹き飛ばされてしまった。


(2人は儀式ぶっ壊してるので男女的なあれそれせずに因習村脱出してるつもりで書いていましたが、してたとしたらそれはそれでヤバそうで面白そうですね)

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