実はこんな前置きがあったり
長くなるからカットしたしゅる、とネクタイを緩める音に脹相は身体を跳ねさせ、恐る恐ると言ったふうに見上げてくる。
「協力してくれ」と自分から言ってきた割に、その目には行為に対する怯えが見える気がする。
「……大丈夫か?」
そう声をかけると、
「問題無い……」
と「大いに問題があります」といった風情で返してきた。
「無理をするな」
「無理などしていない……早くしてくれ。俺達がやらなければ悠仁が巻き込まれる。それだけは避けなければ」
小刻みに震える身体は恐怖によるものなのか、毒を媚薬に変えられてしまった血によるものなのか、判別がつかないまま脹相の身体に手を伸ばす。
「ぁっ、ふぅ…っ、ん、んっ」
軽く腕を撫でただけだというのに、脹相の口から出た声は間違いなく嬌声と呼べるもので。
じわじわと崩れた呪印から血が滲んで、それから立ち昇るふわりと鼻腔を擽る甘い香りに、ジリジリと理性が灼かれる感覚がする。
これは、まずい。
自分の声に驚き口を抑える脹相の瞳は、蕩けていて既に怯えや恐怖などは見て取れなかった。
脹相がゆっくりと瞬きをする。
自分の口を抑えていた手を俺の首の後ろに回し、蕩けて潤んだ瞳を合わせられる。
「日車…熱い……」
「脹─」
「ん…っ、ふ、んんっ」
熱い吐息が口元にかかったと思えば脹相に口付けられていた。
鼻にかかった甘い声を漏らしながらたどたどしく口に吸い付いてくる様子に、ついに理性が灼き切れた。