嫌々セッR18

嫌々セッR18


※無理やり描写


無人の寮部屋へと辿りつけば、東堂は暴れ疲れ始めていた脹相をベッドへと押し倒した。掃除されていなかったのか、軋むマットから舞った埃で咳き込む脹相の身体をうつ伏せに転がした後に両手首を腰に巻いていた布で縛り上げ動きを封じる。何をされるのか察しが着いた脹相は、何とか振り返って強く東堂を睨み付けた──が、すぐに驚きにその目を見開く。東堂は、両目から涙を止めどなく流していた。


「残念だよ、脹相……。今のお前の気持ちが俺を否定するならばそれは仕方がないと思っていた。だが、愛し合った時間まで否定されるのは耐えられん。お前の身体は嘘をつかないと思ってわざわざ聞いたのに、お前は俺の優しさを踏みにじったんだ…。」

「ずっと訳の分からないことを言ってる自覚はあるか?気味の悪い……今すぐこれを解け、そしてひとりで京都に帰れ!」

「脹相、俺は認めた相手を無下にする男じゃない。最大まで譲歩はしてやった。お前が呪霊の術式によりそんな態度をとっていることも分かっている。……だが、俺は気が長い方ではなくてな。それ以上その顔と声で俺を突き放してみろ。俺は何をしでかすかわからんぞ。」


全く話が通じない東堂に、脹相はついに口を噤んだ。

赤燐躍動を発動して逃げてやっても良かったが、人を傷付ける縛りに抵触するかもしれないと思うとそれも難しい。東堂がそれをわかってるのか、分かってないのかは脹相には知る由もなかったが、もし分かっていなかったとして「嫌よ嫌よも好きのうち」と捉えられるのは癪だった。


「最低な男だ、無理矢理する趣味があるなんて知らなかった。お前の評価は地の底だぞ。」

「……二度も俺の優しさを踏みにじるなんてな…余程酷い目にあいたいらしい。」


しまった、と脹相は思った。遠回しに本気で嫌がっていることを伝えたのに完全に逆効果になってしまったと理解した。あっという間に服を脱がされ、晒された臀部を撫でる大きな掌に鳥肌が立つ。罵倒するため口を開けばその咥内に太い指を突っ込まれて舌を挟まれ言葉を取り上げられた。


「……脹相、頼むから…元に戻ってくれ。でないと、本当に俺はお前を…、」


心底辛そうな声で途切れ途切れに言葉を紡ぐ東堂に、脹相は眉を寄せて泣きたいのは自分の方だと心の中で悪態を着いた。



「ん゛っ、ぅ゛ッ、〜〜ッ♡」

「はっ……どうした、脹相。演技なら、しなくていいんだぞ、気持ちよくないんだろう?…その割に、お前の中は俺の指を美味そうに締め付けているが…」

「ぷはっ……あ゛っ、気持ち、悪い、ことばかり言うなッ……ぁあっ!」

「……まだ足りないらしいな。」


常日頃持ち歩いているらしい個包装のローションを潤滑剤に、東堂は脹相の肛孔を指で普段よりもねちっこく刺激していた。気持ちよくなりたくないと願う脹相の気持ちとは裏腹に何度も抱かれた身体は快楽を拾って脳へと届けていく。脹相が悪態を吐く度に、東堂はその舌を捕まえて言葉を奪った。多少強めに噛み付いて指に歯型を残してみても、まるで気にしていない様子だった。


「ん゛んっ……、は、っ……♡」

「お前が元に戻るまで、やめないからな。」


脹相が振り返ると、東堂の鋭い目付きと目が合った。怒っていることが肌で感じられるほどの顔つきに、喉をごくりと上下させる。東堂はふやけた指を引き抜いて、ポケットから取りだしたハンカチを拡げて中心に結び目を作ってからそれを猿轡代わりに脹相に噛ませた。両手を空けたということは、今とは違う責め方をされることだと理解した脹相が焦りから暴れようとする。それを白い背中をグッとシーツに押し付けることで抑えた東堂が、脹相の耳元で囁いた。


「愛してる、脹相…お前が誰のものか、誰の恋人か……ゆっくりでいい、思い出してくれ。」


聞きようによっては優しい言葉だが、脹相にとっては「今からお前を酷い目に合わせる」という宣告にしか聞こえなかった。

身体を起こした東堂が既に勃ちあがった自身を脹相の肛孔へと擦り付ける。脹相は噛まされたハンカチを噛んで数秒後に襲い来るであろう衝撃に備えたが、それも無駄な事だった。

どちゅん、と一気に奥まで突き上げられて脹相の瞳が瞼へぐるりとひっくり返り、それと同時に上半身が崩れ落ちる。東堂はそんな脹相の様子を見下ろしながら、細い腰を掴み何度も引いては寄せてを繰り返した。


「ぉ゛っ…♡あ゛、ッ、ぐぅ……ッ♡」

「イってるな…、良かった、お前の身体まで俺を拒絶していたら、いよいよっ…、俺は…、正気じゃなくなる、ところだった……!」


既に正気なんて失っているだろう、と遠くになりかけた意識の中で脹相は考えたが、止むことの無い律動にそのまま視界はブラックアウトした。



揺さぶられている。何に?布の擦れる音と安いベッドが軋む音がうるさく響いている。

ぼんやりとした意識が輪郭を取り戻した瞬間、脹相は身体を襲う強い快楽と現状への疑問符で脳を埋め尽くされた。


「ッ…!?♡っぇ、あ゛っ……!?♡は、〜〜〜っ♡……っ??」

「……起きた、か…、」


掠れて息を荒くした東堂の声が後頭部側から聞こえて、抱かれていることを理解する。しかし脹相は、自分がどうしてこんな状況になっているのかまるで分からなかった。


─おかしい、森にいたはず、ここはどこだ?家じゃない、ホテルでも無さそうだ、じゃあどこだ?なぜ俺は抱かれている?なぜ、手を縛られて?この口に嵌められてるものは?何が起きてる?


脹相には術式による洗脳を受けてからの記憶がなかった。故に、東堂が何故こんなことをしているかも理解が出来ずにいた。制止しようにも、腕も口も塞がれている状況では何もできない。唾液で湿った布を噛み締めて、思考をする余裕を得ようと何とか意識を手繰り寄せるも、力めば力むほど東堂の陰茎を締め付けてしまい快楽は膨らむばかりだった。


「ッ、ふ、っ〜〜〜♡ぁ゛っ、え゛…ッ♡ぉ゛ッ……♡」

「なんだ…、また、俺を否定する気か、脹相……っ。」


ひときわ強く突き上げられて、脹相の背中はぐんと反った。

─また?否定?なんのことだ?なぜ、葵は怒っている?

声の低さから東堂が怒っていることはすぐに理解できた。それでも脹相は、東堂が何を言ってるのか分からなかった。せめて、言葉さえ伝えられればと思うのに、東堂は脹相に喋らせることを許さなかった。


「ぅう゛ッ、ふ……ッ、は、あおいッ……♡」

「はっ、とろとろだな…、これでもまだ、気持ちよくないと、演技だと言い張るか?」

「っ……?♡い゛っ、へ、はっ……♡♡ 」

「何を言ってるか、まるで分からんな…!」


ぐりっと前立腺を押し込まれ、脹相は腰をガクガクと跳ねさせてから半勃ちの陰茎からプシャッと潮を噴いた。拳を強く握りしめているせいで、掌には爪の跡が残ってしまっている。普段の東堂ならば「そんなに強く握るな、痛いだろう、悪かった、すぐ解くから」と言って慌てる様子を見せながら解いてくれるはずなのに、背後にいる東堂は全くそんな気遣いを見せてくれることは無かった。優しい東堂はそこに居なくて、別人に抱かれている錯覚すらある。それが無性に恐ろしいような、寂しいような、自分でもよく分からない感情に襲われて脹相はついにはボロッと泣き出してしまった。

身体を震わせ「ひ、ぐっ、」と息を吸う音を聞いて、さすがに東堂も脹相が泣き出したことに気付いたようだった。慌てて動きを止めると、身を乗り出して脹相の顎を掴み軽く振り返らせる。やはり泣いていることを確認してから、東堂は猿轡を解いた。


「…な、んで、泣くんだ、お前が…、お前が、悪いんだろう…。」

「ふっ……ぅ、っ、……おれが、何か、したなら、謝るから……ッ、……そんな、ふうに、抱かないで、くれ…。」

「……、……お前、もしかして、元に戻ったのか…?」

「っ……?何を言ってるんだ……?」


きょとんと眉を下げて見上げてくる脹相に、東堂は感極まれりといった様子で脹相の背中を抱きしめた。ずる、と鼻をすする音が聞こえて東堂が泣いていることを知るも、脹相からすればなぜ東堂が泣いているのかなんて全く理解できるわけもなかった。身体をくっつけたまま器用に脹相の手首にまきつけた布を解いた東堂は、そのままゆっくり、ずろろと腰を引き抜いてからまたぱちゅんと音を立てて突き上げる。先程とは打って変わって優しい動きに、脹相は胸が熱いものでいっぱいになるのを感じた。


「ぁ、っ……ん、ッ♡ふ、っ…、ぅあっ、あっ…♡」

「はっ……脹相……、愛してる…、お前は……?」

「ぅ、んっ♡あっ、おれもっ…♡愛してるっ……♡♡」

「っ、ぐぅ、うっ……、」

「ぁ、あっ…♡なん、で、泣くんだっ…?よし、よし……♡」


甘い声に混じった愛していると言う言葉を聞くなり泣き出した東堂が、穴という穴から体液を流して首筋のあたりにすり寄ってくるのを脹相は嫌な顔をひとつせずに受け入れた。手が届かない代わりに頬を額へと擦りつければ、身体を抱く両腕に力が入り更に甘えるように身を寄せてくる東堂が─なぜこうなったのか理由は全く分からないとして─愛しかった。


「好゛き、だっ……、愛゛してる゛、脹相っ……。」

「俺、もっ……、ん、ぁあ゛ッ…♡」


同時に達して、荒い呼吸を整えながら東堂は冷静さをすぐに取り戻しつつある脳で目の前の男にどうやってことの成り行きを説明するかをぼんやりと考えた。同時に脹相も、自分の身に何が起きたのか、そしてここはどこなのかを説明してもらわなければと考えていた。

Report Page