女の戦い 閑話
ところ変わって先生達が待機する観戦室
「うっわ〜、野薔薇のやつ容赦無いねー見てるだけの僕も玉ヒュンしちゃったよ。ま、実際に食らったことは無いんけどさ」
「下品な事言うのやめなさいよ五条。というかあんたの姪でしょ梓って。もうちょい心配するとか無いわけ?」
五条の若干シモの入ったトークに苦言を呈しつつ先程乙女にあるまじき急所攻撃を食らって悶絶してる最中の梓を気に掛ける歌姫。
「うーん、まあ流石にあの一撃には同情するけどそれ以外は不用意に近付いたり色々判断ミスってるのが原因だからねぇ、それに」
「それに?」
「……いや、なんでもないよ。こればっかりは梓当人が自力でなんとかしなきゃいけない問題だからね」
ヘラヘラしたかと思ったら不意に神妙な顔をする五条にさしもの歌姫も何か感じるものがあったのかそれ以上の追求は控えた。
そのタイミングでモニターの中の戦況がようやく動き出す。
「へえ、五条君の姪だっけ?彼女、中々ガッツがあるじゃないか」
冥冥が呟くその画面には、明らかに致命的なダメージを抱えたままの股座によって動きに精細を欠きながら、野薔薇の苛烈な反撃に怯えを見せつつそれでも耐えて諦めない梓の姿があった。
「ははっ冥さん中々見る目があるねぇ。梓は色々足りない物はあるけど、それでもそれを自覚して自分の弱さを越えようとしてるからね、まだまだ伸びるよあの子は」
自分の受け持つ生徒の野薔薇の気迫と執念に恐怖を見せつつも、それを越えようと普段の弱気を隠す為の余裕を見せるような生意気な態度を投げ捨てみっともなさすらある姿でも構わず足掻く姪の梓を五条は嬉しそうに見ていた。