女の戦い
「私は!「釘崎野薔薇」なんだよ!!」
そう啖呵を切ると同時に術式を発動させて西宮の箒のコントロールを奪う釘崎。
射程圏内に入ったのを見計らって懐からピコピコハンマーを取り出そうとするが、
「うっわぁ、あんだけ挑発しまくって落とされちゃう桃ちゃん先輩ダッサぁ…」
と、突如として響き渡る第三者の声、そしてまさに殴りかかろうとしていた釘崎と西宮の間を縫うように和げられたクナイが小規模に弾けた。
「チッ、新手!?」
「あっコラ五条!?あんた事前に私がピンチになる前に助けに入れって言われてたでしょ!?」
閃光で一瞬視界が眩むも咄嗟に顔を腕でカバーしていた釘崎は瞬時に切り替えて闖入者を睨む。
ひょっこり出てきたのは灰色の髪をサイドテールに結んだナニやらキャピキャピした感じの改造制服に身を包んだ女だった。
そして、今しがた戦った西宮の発言からどうやら本来であれば墜落の前に奇襲されてたかもしれないらしいが…
「いや私だって助けに入ろうとはしましたよ?でも桃ちゃん先輩余裕かましてたのに一瞬で逆転されちゃうから無理無理いやー流石桃ちゃん先輩ですわぁ」
「あーもうほんっとうに可愛くない!!」
ギャーギャー騒ぐ西宮はとりあえず捨て置いて釘崎は突然現れた五条に向き直る。彼女と西宮の言い争いから推測して本来なら助けに入るところをわざとスルーしたと結論を出し、仲間割れしているなら好都合と攻撃の機を伺うが…
「あ、そういえばそこのヤンキーブスさっき面白い事言ってましたね?」
「あ゛ぁ゛?」
突然の罵倒にキレる釘崎。
それを前にする五条の顔も何故か感情が消え失せている。
「女がどうとか男がどうとか知ったこっちゃない?強くあろうとする私が大好き?
…ハッ、戯言ですね。本当の理不尽も不幸も知らない甘ちゃんだから言えるペラッペラの」
「…んだよテメェもメンドくせぇ女がどうこう言うクチか?京都の女はこんなんしかいないのか?」
「あぁ、私はそこの桃ちゃん先輩と違ってそんな糞メンドイなんちゃらにはサラッサラ興味無いんで」
「オイコラ五条!!」
「…ただ」
静かに五条は構える。殺意を持って。敵意を携えて。
「真依ちゃん先輩の事何も知らずに侮辱したテメェは私がズタズタにして辱めて泣かせてやる」