奇跡に穢れし凍てつき星
呪詛師・重呪春太。弱者を甚振り殺すのを愉しみ、現在の欲望を満たすために数分先のことすら考えない浅慮な男。裏梅は宿儺復活という大願を果たすため、彼のような明らかに格下の術士の手すら借りて暗躍していた。
「貴方はこのまま“帳“の外でスーツの人間を狩り続けてください」
計画に1番厄介な五条悟が封印され、羂索の目論見も進行している。全ては順調に進んでいる。その筈だった。
「......」
重面は、裏梅をじっと見つめていた。蛇が獲物を狙うような粘ついた視線で。
「どうされました?」
「んー、いやーねー、これから先、黒スーツってきっとこいつみたいなおっさんばっかだよなぁと思ってさ」
足元で転がる血濡れの伊知地を軽く小突きながら、重面はわざとらしくため息を吐く。
「ただぁ、雑魚を虐めるのは好きだしぃ?実際、興奮しちゃうんだよねぇ。見てよこれ」
重面は己のオーバーオールの下腹部を指差し、その盛り上がりを見せつける。
「せっかく可愛い子がいるんだしぃ?スッキリさせてもらうまで動きたくないかなぁ、なんて♩」
重面の言葉に、裏梅は笑顔の裏でピキリと青筋を立てる。
今、このカスはなんと言った?私に、その汚物に触れろと?
重面は裏梅を女の子だと思い見下しているが、その実力差まで把握していない。
重面がせいぜい二級術士相当だとしたら、裏梅は一級術士の上澄も上澄の領域。
術式のみならず身体能力・経験値・呪力量。その全てが裏梅に大きく分があり、1万回戦えば1万回裏梅が圧勝する。それほどまでに彼らの間には格差がある。即ち、重面の命をどうするかは常に裏梅が握っていると言っても過言ではない。
だが、重面の命をどうこうできるという選択肢があるからこそ、重面の術式が活きる。
重面の術式は奇跡を起こすこと。その術式は彼の命に関わる場面にて勝手に発動し命を繋ぐ。
ここで裏梅に舐めた態度を取っている時点で重面は死の淵に置かれているも同然。少し敵意を持って息を吐きかければそれだけで死ぬ。故に、術式効果により、裏梅の重面への思考が誘導され、彼に無害な形になるように反映される。
裏梅の悲願を達成するためには高専術士の補助監督共を排除していくのは必須。正直、自分でやれば早いのだが、高専連中に自分の存在を知られたくはない。ならばさっさとこいつを満足させて働かせよう。
「仕方ありませんね」
「やったぁ♩ありがとねー裏梅ちゃあん。とりまちゅーしよちゅー」
「かしこまりました」
唇を突き出してくる重面に、裏梅は内心で唾を吐きながらその口を塞ぐ。舌を絡ませながら、彼の身体に触れる。
「ん……あむ……ッ」
裏梅の冷たい手が重面の胸板を撫で回せば、その度に重面が興奮していくのがわかる。
「んぷぅ……ぷはぁ……裏梅ちゃんってキス上手いねぇ。おかげで俺のも更におっきくなっちゃったよぉ」
「では、次は私が脱がせましょう」
「え、いいの?俺こういうシチュエーションやってみたかったんだよねぇ。なんか奉仕してもらってる感じがして興奮するっしょ」
「恐縮です」
裏梅はしゃがみこみ、オーバーオールから重面のものを取り出す。
ボロンと現れたソレに裏梅は僅かに目を見開いた。
「予想よりも随分と大きいですね」
「えー、そう?いやー、なんか裏梅ちゃんに褒められると嬉しいねぇ。じゃあ俺のちんちん気持ちよくしちゃってよぉ」
(クズが...)
裏梅は内心で毒を吐きながら、重面のモノをゆっくりと上下に擦り始める。
裏梅の低めの体温が手を通じて重面の剛直にも伝わってくる。
「んッ……ふッ……」
裏梅の拙い刺激が逆に重面にとっては新鮮であり、徐々にその硬さを増させていく。
「はぁ……はぁ……裏梅ちゃん上手いね」
「恐縮です」
微笑みと共に返事をする裏梅だが、内心では憤りを募らせていた。
(クソが!なんでこんなクズのものを触らなければいけないんだ!)
心の中で悪態を吐きつつも、裏梅は手による奉仕を続けていく。
(クソッ!とっととイケ!)
裏梅の内心を嘲笑うかのように、重面はニヤニヤと笑いながら彼女を見下ろし続ける。
「あー、そろそろイキそう」
「……かしこまりました」
裏梅が手の動きを早め、ラストスパートに入る。
しゅっしゅっしゅっ
しゅっ。
裏梅の手が往復する度に、重面の先走りが染み出し、その手を濡らしていく。
「ッ……あぁ!」
どぷり、と吐き出された白濁液が、裏梅の顔を汚していく。
(最悪だ……)
べっとりと顔についた重面の精子を見て、裏梅は顔を顰める。
「いやー、気持ち良かったよ。ありがとね」
「……いえ、お力になれたなら幸いです」
裏梅がティッシュで顔を拭っている間も重面はニヤニヤと笑っていた。
「では、改めてスーツの術士たちをーーー」
「えー、まだ満足してないよぉ」
その言葉にピキリ、と裏梅の額に青筋が張りかけるが、どうにか怒りを抑え込む。
(このクズが……なぜ私がこんなことを...)
「では、次は何をすればいいのですか?」
「そりゃここまで来たらこれしかないっしょ!」
重面は裏梅に飛びつき、そのまま地面に押し倒す。
「重面様...?」
「ここまできて本番なしとかそりゃないって。裏梅ちゃんのおまんこ借りるからね〜」
鼻息荒く、裏梅の着物に手をかける重面。そんな彼を裏梅は冷めた目で見ていた。着物を剥かれたところで挿入されるはずもない。だって
「さーて、裏梅ちゃんのあそこは...え?」
裏梅は『男』なのだから。
「え?なにこれ?男?」
混乱する重面。無理もないだろう、今の今まで奉仕していた相手が実は同性だったというのだから。
「なんだよも〜。男なら男って言ってよぉ」
「失礼、聞かれなかったものですから」
(よし。ようやく終われるか)
裏梅が乱れた着物を直そうとしたその時だった。
「...あー、待って。でも裏梅くんがかわいいのは変わらないかぁ...ん〜」
重面は少し考えた後、よし決めた!と己の手で鼓を打った。
「裏梅くんさぁ、俺のちんちん舐めてくれない?」
「え?」
重面の言葉に裏梅は固まる。何を言っているんだこいつは。
「いやー、正直ちょっと萎えちゃったしさぁ、裏梅くんの口で勃たせてくれないかなぁって」
(貴様が勝手に萎えただけだろうが!)
裏梅は内心を悟られないように笑顔を作るが、その目は笑っていない。
「……かしこまりました」
重面のモノにそっと手を伸ばす。先程よりも明らかに小さくなっているソレに触れながら、再び奉仕を始める裏梅だった。
「ん……ちゅ……れろ……」
裏梅の奉仕に、萎えていたはずのモノは少しずつ硬さを取り戻していく。
「んん……あむ……んッ」
(さっさとイけ!)
裏梅は内心悪態を吐きながらも、必死に奉仕を続ける。早く終わらせたい一心だった。
「あー、裏梅くん上手だね〜。もしかしてこういうの好きなんじゃないのぉ?」
「いえ、そんなことは」
(あるわけないだろうがクズが!!)
毒を内心で吐き出しつつも、つぅ、と裏梅の舌は丁寧に肉棒に奉仕している。雑に扱うよりも正確に性感帯を突く方が早く終わるからだ。
「んッ……あむ……ちゅる……」
裏梅は舌先でチロチロと亀頭を舐めたり、カリ首を甘噛みしたりする。裏梅の舌が亀頭に触れる度に、重面のモノはビクビクと反応を示す。
いいペースだと思ったその矢先。
ぐっ
重面の掌が裏梅の頭を掴み。強引に喉奥まで突き入れる。
「んッ!?んん!!」
(こ、こいつ……!)
突然のことに目を見開く裏梅だが、重面は気にせず腰を振る。
ぐぽっ!ずぽっ!ずぷぷっ!!
(やめろッ!苦しい!!)
呼吸すらままならない状況で必死に抵抗するが、重面の手は離れない。それどころか更に強く押さえ込んでくる。
じゅぼっ!じゅるっ!ぢゅるるるっっ!! まるでオナホのように乱暴に扱われる裏梅。喉奥を突かれる度に吐き気が込み上げてくる。
(クソッ!このクズが!!)
必死に怒りを抑えつけ、裏梅は奉仕を続ける。ここで暴れても疲れるだけであり、その後の仕事にも支障が出るからだ。
「これこれ!こういうかわいい子の顔が歪むのが1番股間に来るんだよ!」重面は優越感に浸りながらも、更に激しく裏梅の喉奥を犯し続ける。
(貴様……!後で必ず殺してやる……!)
殺意を込めて睨みつけるが、彼は全く意に介さない。むしろその反応すら興奮材料にしているようだ。
(早く……終われッ!!)
「イクよ裏梅くん!ちゃんと飲んでね!!」
どぷぅっと大量に吐き出された白濁液を、裏梅は全て受け止め胃に収めていく。だが量が多いため口の端から僅かに溢れ出てしまった。
(ようやく終わったか……)
喉奥に流し込まれながらも脱力する裏梅。しかしーーー
ドチュンッ
「!!?」
重面は、再び裏梅の頭を掴み自身のものを咥えさせる。
(こ、こいつまだやるのか!?)
驚愕する裏梅のことなど気にもとめず、重面は再びピストン運動を始める。先程よりも激しく喉奥を突かれる度に吐き気が込み上げてくる。
「あぁ〜、気持ちいいね〜裏梅くん」
ドチュンッ!どちゅんっ!ゴリュッ!グチュッ!!
「んん……んぶぅ……」
(苦しい……!もう無理だ……!)
口内を蹂躙される苦痛に顔を歪める裏梅。そんな表情を興奮材料にし、重面の肉棒は二度出したとは思えぬほどに硬さを取り戻す。
「うん。これくらいでいいかな」
重面は裏梅に咥えさせたまま、イラマチオを止めて、代わりに命じる。
「今度は俺は何もしないからさ、手を使わずに口だけでやってみてよ」
「……ッ」
(このクズが!!)
あまりの屈辱的な命令に裏梅の目に怒りの色が浮かぶ。だが、ここで反抗すれば面倒なだけ。何より長引かせればこの先にも支障が出る。
(クソッ!仕方ない……)
心の中で悪態を吐きながら、重面のものを握り奉仕を再開する裏梅だった。
「ん……ちゅ……んん……」
裏梅は口を使って奉仕を続けている。彼の口の中では肉棒がピクピクと震え、その度に苦味のある汁が吐き出される。
(さっさとイケこのクズが……!)
心の中で罵倒を続けながらも奉仕を続ける裏梅だったが、重面のモノは一向に衰える気配がない。
「もっと激しくしてほしいなぁ〜」
「ーーーッ!」
裏梅は怒りのままに口を窄め、全力で吸い付く。
ぢゅるるるっっ♡
吸引の勢いと唾液が混じり、いっそ下品な跡を奏で始める。
「お、いい感じに崩れてきたね〜」
唇を伸ばし肉棒を包み込んだまま前後に顔を動かすその様はまさにひょっとこ。無様にも思える姿だが、裏梅の美貌がその醜さを中和していた。
じゅっぽ♡ぐっぽっ♡ぶっぽぉ♡♡♡ 下品な音を立てながら一心不乱に奉仕を続ける裏梅。そんな姿を見て重面は愉しそうに笑う。
「いいよいいよ〜。とっても気持ちいいよぉ〜」
「んぶっ……ちゅっ……」
(うるさい黙れッ!)
口をすぼめ、バキュームのように吸いながら、口全体を使って刺激を与え続ける。
(クソッ!早くイケッ!!)
「んん……んぶぅ……」裏梅はラストスパートをかける。
ぐっぽ♡ぢゅぞっ♡ずぷっ♡ずぷぷっ♡♡♡ 裏梅の口は重面のモノを根元まで飲み込み、喉奥で締め上げる。それと同時に、舌を竿に絡みつかせながら必死に刺激を与えていく。
(さっさとイけぇ!)
その裏梅の願いが通じたのか。
「あぁ出るよ裏梅くん!全部飲んでね!!」
びゅるるるっっ!!どぴゅぅぅううぅぅっっっ♡♡♡♡♡
放たれた精は再び裏梅の口内を蹂躙しつくしていく。
(まずい!)
苦味に顔を歪めながらも、吐き出されたものを必死に嚥下する。
「ふぅ……気持ちよかったよぉ」
重面は満足そうに裏梅の口から自分のモノを抜く。そして、裏梅が咳き込むのを見届け、ようやく重面は股間をしまった。
「いやぁ〜、やっぱ男だからか、気持ちいいところわかってくれてるねぇ。それじゃお陰でスッキリしたことだしスーツ狩り行ってきまーす」
スキップでも踏みそうなほど軽い足取りで重面は去っていく。
重面は気づかない。
裏梅に手で奉仕させ、イラマチオさせ、ノーハンドひょっとこフェラをさせ。
ゾウと蟻ほどの実力差がある裏梅相手にあれほどの無礼を働いても見逃されたのは、己の術式で貯めてきた奇跡のお陰であることに。
これから先、補助監督を殺していく中で、使い切った奇跡は小銭を拾ったり好きなアクセサリーを拾ったりしてチャージできる。しかし、その間に起こる命の危機については保証されていない。
「...チッ」
去っていく重面の背中を殺意を込めて睨みつけ、口内にへばりつく粘液を唾と共に吐き捨て、苛立ちのあまり、倒れる伊知地の生死確認を怠ったまま裏梅もまた去り。
程なくして、朦朧とした意識でありながらも致命傷ではなかった伊知地から、下手人を聞いた男が重面の後を追う。
七海健人。重面にとっての死神が動き始める。