"太陽の戦士"と"孔雀姫"
アラバスタ民※本編から数十年後の世界という設定です。ルビビの長男とかが出てきます。
「なあお前、"太陽の戦士ホルス"はもう観たか?最高だったろ?」
「ああ、特に人々の声援を受けながら"糸の魔王"を倒すシーンは圧巻だったな」
「私は"孔雀姫"も良かったと思うな。身分違いの大恋愛…憧れちゃうわね〜」
「"お前の声はちゃんと、おれに聞こえてる"って台詞がまたいいのよね〜」
「そういや館内でなんか妙なことを言ってたお客さんがいたけど、誰だったんだろうな…」
某Bさん(ここのシーンちょっと演出がくどすぎるべ….ここはもっとスパっと終わるからこそカッコいいと思うのに、やはり当事者として監修を)
某Hさん(内容は中々に悪くない…のじゃが、タイトルを"蛇姫"にした方がもっとヒットしたと思うのじゃが!)
「さあな。そういやその二つの映画、なんでも噂によると、この国の女王陛下と王配殿下がモデルになったって話らしいぜ」
「まさかそんないくらなんでも出来すぎだろ……んでも王配殿下は昔"海賊王"って呼ばれてたらしいし、色々冒険しててもおかしくないよな」
「女王陛下といえば、近々こ即位20年の節目として、王位を王太子殿下にお譲りするって話よね」
「まだお若いのに……ひょっとしてご病気とかかしら?」
「いやあ…実は王配殿下とゆっくりしたいだけだったりして」
「ないとは言い切れないな…あの御二方だし」
一方そのころのアルバーナ王宮
「母上…父上……本当によろしいのですか?」
「話題の映画のこと?まぁまさか昔貴方達に聞かせたお話がここまで広まるとは思わなかったけど、皆が楽しんでいるならいいんじゃないかしら」
「おかげでアラバスタの新しい産業が増えたし、観光客も増えたしいいんじゃねえか?今更無粋な真似はしねぇよ」
「そうですか……って違いますよ!!おれに王位を譲るって話です!まだ荷が重いですよ!」
「大丈夫よ。コーザをはじめ優れた大臣は何人も控えているし、代替わりしてもあなたを支える体制は整えてあるわ」
「武官にもおれが直々に鍛えた奴らやペル殿の息子達がいるからな。お前の仲間達もウチに仕官してくれるって言ってただろ?」
「ハァ…姉上がいきなり「私、海賊女王になる!」とか言ってウチを出て行ってからおれにお鉢が回ってきて、自分で言うのもなんですけど本当に苦労したんですよ?お二人に恥じない振る舞いをしようとなんでも必死にやって、一年間身一つで冒険に出る羽目になって、妹と弟達の面倒も見て…」
「でも、辛いことばかりじゃなかっただろ?お前について来てくれる仲間ができて、彼女さんと出会ったのも1年間の冒険があったからじゃねえか」
「……そうですけど、やはりまだ早すぎますよ。お二人ともまだ40を超えたばかりではありませんか!」
「いつおじいさまのようなことになるかわからないし、急に即位して大変だったから後継者に関しては早いうちにはっきりしておきたかったのよ。キリもいいしね」
「そんなこと言って、父上とゆっくりしたかっただけなんじゃないんですかこの万年新婚夫婦が」
「……てへ⭐︎」
「てへじゃないですよもう…「ネフェルタリ家には十代のうちに冒険せよとの家訓がある」とか勘違いされたらどうするんですか。妹達もウズウズしてるんですよ?本当にまずい事態になったら遠慮なく頼りますよ?いいんですね?」
「おう!そん時はドンと任せとけ!なんたっておれ達は、お前達の親だもんな」
「いつでも駆けつけてあげるから、この国と国民の皆のこと、よろしく頼むわね?新国王陛下」
「…………承知いたしました!女王陛下」