大雪が降った日
「………うわぁ」
あたしは窓の外に広がる光景にに顔を引き攣らせた。
対し、子供達は目を輝かせて大興奮。
昨夜から降り出した雪は朝になっても止む事なく、都内を一面の銀世界へと変えてしまった。
あたしも子供の頃は雪が積もるとはしゃいでいたけど、大人になった今は余計な作業を増やされて溜息をついている。
旦那は雪の影響で電車が計画運休したため昨日はトレセンに宿泊、今朝、同じくトレセンに残っていたトレーナーや教師、寮住まいのウマ娘達と一緒に雪掻きすることになったと嘆きの連絡が来た。
ただ、午後には電車の運行が再開するそうだから、今日は帰ってこれるそうだ。
きっと体が冷え切ってしまっているだろうから、今夜の晩御飯は鍋にしよう。
(野菜はあるけど肉と魚が無いな…近くのスーパーは閉まってるだろうし…)
申し訳ないけど、旦那に帰ってくる時に店が開いていたら晩飯の材料を買ってきてくれるよう連絡をした。
もし買えなかったら余ってる餅を入れよう。
「ママぁ!おそとであそびたいー!」
「あそぶー!!」
「あーハイハイ、ちゃんとあったかい格好に着替えてからなー」
右腕を娘に振り回され、息子が左足を掴んで動かそうとしてくる。
あたしは子供達をいなして、娘を片手で担ぎ上げ、左足に息子を引っ付けながら寝室へと向かった。
〜〜〜⏰〜〜〜
娘と息子にニットの長袖とズボン、厚手の靴下を履かせたらダウンジャケットを着させ、お義母さんが編んでくれたマフラーと手袋と、息子には帽子、娘には耳カバーを着けさせる。
「もうおそとでていい?」
「ああ、遊ぶなら道路じゃなくて庭にしろよ?あと靴は長靴でな!」
「「はーい!」」
子供達は一度玄関に向かって行って、直ぐに長靴を持ってリビングの方はと走って行った。
あたしも玄関先の雪掻きをするために着替えて、娘とお揃いのマフラーと耳カバーを付けた。
手袋もあるんだけど、スコップで汚してしまうのが申し訳ないから軍手を二重で付ける。
『昔は息子にもマフラーを編んであげてたんだけど、思春期に入った途端恥ずかしいからいらねー!って突き返してきてねぇ』
正月に義実家へ行った時に聞いた旦那の昔話。
お義母さんが泣き真似をしながら話したせいもあってか、それを聞いた子供達は旦那に怒り、旦那はウン年越しに謝らされていた。
その直ぐ後に息子が…。
『ばあちゃんのつくったマフラーほしい!』
と、おねだりして、大喜びしたお義母さんが子供達だけじゃなく、あたしや旦那の分も作ってくれたって訳だ。
素人作とは思えないくらい編み目が揃っていて、すごく温かい。
「……よし!やるかぁ!」
気合いを入れて、あたしは帰ってくる旦那のために雪掻きに向かった。
その後、近所の人達と協力して家の前の道路を露出させ、子供達は雪合戦や雪だるまを作ったりと雪を堪能していた。
夜は息子とお揃いのマフラーと手袋をしっかり付けた旦那が、肉と魚をたんまり買ってきてくれたおかげで豪勢な鍋ができ、鍋をつつきながら庭にいる4体の雪だるまを眺めていた。
終わり