大切なもの

大切なもの

一二一



※閲覧注意!

※リョナ・拷問描写あります

※スレ内で書かれたネタを使用しています。

※監禁されて初期〜数ヶ月くらいイメージで書きました。まだ少し反抗する気概がある頃。

※性的な陵辱を仄めかすような描写があります。






「忘れ物を思い出した。少しの間そのままで待ってろよロー」


ドフラミンゴはそう言い残して、部屋から出て行った。それを見送って、ローは詰めていた息を吐く。ドフラミンゴと同じ空間にいるだけで緊張するようになってしまったのはいつからだっただろう。そばにいるだけで身体が強張り萎縮して、肌を触れられるたびに反射的に身体が跳ねるようになったのは。

あれほど殺したいと願っていた相手に、どんどん逆らえなくなっていくのを自覚していくのが嫌だった。そう思ってしまったが故に、こんな辱めを受ける羽目になったのだから笑えない話だった。


ローは今、天井から吊るされた糸によって両腕を拘束されていた。そう、両腕だ。三日ほど前から、切断された断面部分に糸人形と同じ要領で作られた擬似的な義手を付けられていた。

自分の意思では動かずドフラミンゴの意思でだけ動く右腕。それが煩わしくて、昨晩少し反抗的な態度を取っただけでドフラミンゴの機嫌は悪くなった。


朝目覚めた瞬間にドフラミンゴに鳥籠から引き摺り出されて、背中を露出させた服に着替えさせられた。足には太腿まで覆うヒールの高いロングブーツ。特殊な素材で作られているのか硬くて稼働範囲が狭く、膝を曲げることはほぼ出来なくなった。そのまま無理矢理引っ張られていった先で、踏み台に乗せられる。

ヒールの高い靴を履かされ台の上に立つことにすら四苦八苦していたローの両手首にドフラミンゴの糸が巻き付いた。それは意思を持つように真っ直ぐ天井へと伸びていき、ピンと伸びていく。台の先に前屈みにならないと落ちてしまう。


「な、に……!?」

「いい感じだな……角度は、このくらいか」

「ウッ!」

「しっかり踏ん張れよ?そうしないと落ちちまうからな」


ドフラミンゴの手でローの両腕は顔の前に、上半身は腰の高さまで曲げられた体勢で固定された。

まるで腰を、尻を突き出すような体勢に思わず羞恥でドフラミンゴを睨む。そのローの目線でさえ嬉しそうに眺める姿すら苛立たしかった。


「フッフッフッ……いい格好だなぁロー。おれの名を呼んで一言謝れば、今すぐ解放してやってもいいが?」

「誰が…!」

「まぁ気が変わったらいつでも言え。そこから降ろしてやる」


話しながら剥き出しの背中に触れられて、ローの身体が反射的に跳ねた。そしてドフラミンゴの指が、肌に触れながら移動する。広背筋の辺りから徐々に下がり、突き出した尻のところまで、まるで愛撫しているかのような手つきでゆっくりと。


「……ッ!…ふ……」

「…期待してるとこ悪いが、今日のはそういうのじゃあない。お仕置き、だからな?」

「……………ッ!!」


一体誰が何を期待しているというのか。そう思っても口には出せない。太腿を撫で上げる手の感触に耐えるように俯いて歯を食い縛る。

陵辱されるようになって暫く経つが、身体を暴かれ触れられるのと同じくらい、言葉で責めてくるのが嫌だった。一体どこを触っているのか、どういう反応なのか。事細かの報告してはローの反応を楽しんだ。耳を塞ぎたくても片腕しかない今の状態ではそれすらできない。

嫌でも奴の声や自分のあられもない声を聞いていないといけなくて、ローを追い詰めた。本当に悪趣味な男だと思う。今だって、拘束したローの身体を触りながら上機嫌に笑っている。これ以上何をしてくるのだろう。


そう思っていたら、冒頭の台詞だった。奴の言う“お仕置き”で一体何をされるのか、何を使われるのか。このまま戻ってこないでほしいという気持ちと、こんな屈辱的な姿を誰かに見られたらどうしようという気持ちがローを苦しめる。

ローが連れてこられたこの場所はいつもの教育部屋ではなかった。この城にいるドフラミンゴの部下達が日常的に使う一室だ。つまり今のこの瞬間にも誰かが入ってくるかもしれない。恐怖でしかなかった。


そして暫くして、部屋の扉が開かれた。体感では何十分にも感じられた時間だったが、それも漸く終わる。何か荷物を抱えたドフラミンゴが戻ってきたのだ。


「少々数があったから時間が掛かったが、ほら」

「…え?」


ドサドサとローの顔の真下にぶち撒けられる。それは、見慣れたクルー達の遺品だった。サングラス、帽子、眼鏡、仮面。見ただけで誰の物かすぐさま理解できた。遺灰で作られたダイヤのアクセサリーや、ベポの毛皮にガラスもある。


「なん、で……」

「もちろん“お仕置き”のためだ。おれが指定した時間のいっぱいまでお前が耐えられれば、コレらは無事のまま。耐えきれずにそこから落ちたら……コレがどうなるかわかるよなァ?」


今履かされいるブーツを思い出す。重く、硬い素材でできたそれ。そんなので重力に従って踏んで仕舞えば脆い物は即座に破壊されてしまうのは確実だった。

絶対に落ちるわけにはいかない。こんな靴で立ち続けるのはキツいが出来ないわけじゃない、ドフラミンゴの指定する時間の限り耐えれば問題ないのだから。ローが心の中でそう決意している時だった

バチン、という不快な音が耳のすぐ横で響いた。思わず音の聞こえた方を向けば、そこには鞭を持ったドフラミンゴの大きな手があった。


「な、…鞭……!?」

「どうしてそんな服を着せたか不思議だっただろう? このためだ。鞭が肌に直接当たるように。傷がよく、見えるように……フッフッフ!そんな絶望的な顔をするなロー。いい声で啼いてくれ」





「……ぐっ、…ん゛っ、……あ゛あッ!!」


部屋中にローの苦悶の声が響く。

振われた鞭が当たるたびに、声なんて聞かせたくないのに口から抑えられない声が漏れ出てしまう。開いた傷口から血がボタボタと流れ出す。ただでさえ背中には治り切っていないナイフによる傷や火傷があるというのに、ローの背中にはミミズ腫れや裂傷がいくつも増えていく。

その様子を、ドフラミンゴは少し離れた位置で鑑賞していた。鞭打ちを糸で作り出した自身の分身にさせて、優雅にワイングラスを傾けているのだと思うと腹立たしくて仕方ない。だが今のローに出来るのはただこの鞭打ちが早く終わってくれと願うことだけだ。

まるで生まれたての子鹿のように全身が震え、縛られ体重を掛けすぎた手首は鬱血して既に感覚がなくなってきた。ローの身体はとっくの昔に限界を迎えている。


だがどんなに痛みで崩れ落ちそうになっても、ローは落ちるわけにはいかなかった。床には、愛しいクルー達の遺品が敷き詰められているから。自らの脚で踏み潰して破壊したくなんてない。それでも、血や涙で汚してしまうのは申し訳なくて、心の中で何度も謝った。不甲斐ない船長ですまない、こんな方法でしか守れなくてすまないと。

クルー達がその場にいれば、物なんかより自分の身を大事にしてくれとローに言っただろう。だが、ローにとってはたとえ物であってもこの世に唯一残る彼らとの繋がりだった。それを無くすくらいなら自らの体が傷付く方法を選ぶに決まっている。


「中々粘ったなロー?ここまで耐えるとは正直思ってなかった」

「ハァ…ッハァ………ッ!」


その台詞と共にずっと続いていた鞭打ちは止まった。ようやく途切れた行為に、もう時間が来たのかと期待した。だが目の前に設置された時計を見れば、ドフラミンゴの指定した時間はまだ30分近く残っている事に気付く絶望しそうになる。

どうして止めた? 何をされる?


「このまま何もせず震えるお前を眺めるのも楽しそうだが……そうだな」


真横でドフラミンゴの言葉を代弁する糸人形の様子は、ローからは見えない。だがロクな事ではないだろう、と考えた瞬間だった。

いつの間に近付いてきていたのか。座っていた筈のドフラミンゴがローの身体に覆い被さったかと思えば、剥き出しの背中にあたたかいナニカが触れる感触がした。


「ヒッ…!な、なん……うァッ!?」


柔らかくてザラザラとしたソレはローの背中を這っていく。これは、“舌”だ。ドフラミンゴの舌が、傷口から流れ落ちる血を舐めとっている。肌に触れる生暖かい息すら気持ち悪くて鳥肌が立つのを止められない。

わざと傷口に沿ってねっとりと陰湿に。傷を抉るように這う舌の感触がする。それと同時に、ブーツに覆われていない太腿をまるで情事の最中かのように撫で上げられた。


「……い゛ッ…グ、ぁ…んんっ!!」


ガクガクと足が震える。舌で傷に触れられる痛みと、指で柔らかく肌を撫で上げられることで感じてしまう快感。どちらか片方だけならまだマシだったろうに、それが同時に襲ってくるのに耐えらない。

左手を握り締めて、なんとか苦痛から逃れようとすれば作り物の右手がその邪魔をした。バラバラと指が動き掌さえ刺激する。そんなじわじわと嬲るような行為に、ローの理性は溶けていった。


「…ドフ、ラ…ミ、ンゴ…っ!」

「どうした? ロー」


まるで縋るように名を呼べば、舐めるのを止めて肌の近くに顔を近寄せたままドフラミンゴは答えた。背中にかかる吐息すら刺激になって苦しめる。決して屈したくないと思っていた筈なのに、ローの僅かに残る理性とは真逆の言葉が口から飛び出していた。


「あやま、る……謝、る…から! これ、いじょ…うは…!!」

「謝る…だけじゃねェだろう?」


嗤いながら、更にローの傷口を抉ってくる。

もっと直接的に言えとドフラミンゴは言っているのだ。本当なら、言いたくなんてない。だが苦痛から解放されるにはもうこれしかなかった。ローは血が出るほど唇を噛み締めたあと、精一杯頭を下げて口からその言葉を絞り出した。


「反抗して…すみま、せん…でした…ッ。だから、早く…降ろして……!」

「フッフッフッ……やっと言えたなァ。だが、その言葉だけじゃあ足りねェよ」

「!? は、話が違ッ………あ゛あ゛ああああ!!」


今まで舌が這っていた背中に突如として強烈な痛みが襲ってくる。冷たくて硬い感触。これは知っている。何度も味わった痛みだった。背中のジョリーロジャーを、斜めに分断するようにナイフで傷をいれられているのだ。

ドフラミンゴのシンボルのように斜めにゆっくりとナイフが動く。旗揚げする時に決めた自分たちだけのマーク。誇りのジョリーロジャー。それが傷付けられるたびに、どうしようもない無力感に苛まれた。

治るたびに、治るたびに傷を入れられる。そして鏡を使って毎回も見せつけられた。何度も何度も何度も、もうお前は海賊ですらないのだと思い知らされた。


嬌声にも、悲鳴にも似たローの叫び声が部屋中に響き渡る。これ以上はもう、耐えられなかった。身体中から力が抜けていく。前のめりになっていくのを、止められない。

それを見ていたドフラミンゴが手を動かせば、ローの両腕を吊る糸がピンと張ってその身体を僅かに浮かび上がらせる。硬いブーツが、地面にちゃんと着くように。

自らの脚で遺品を破壊した感触を感じながら、ローの意識は遠退いていった。














※この後はオモチャ化してるチョッパーに治療されてまた鳥籠に戻される。

※奇跡的に遺灰ダイヤは踏まれずに無事だった。IFミンゴは壊れたら良かったのに、と残念に思ってる。

※ローが謝ったのに降ろすのを拒否した理由は「ドフラミンゴ」と呼んだから。「ドフィ」と呼んでいたら約束通り降ろしてた。IFミンゴは面倒くさい男。

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