夜の補習授業
夜の街を二人しずしずと歩く。隣に立つ教え子の頭は、自分より低い位置にある。昔よりまた少し大きくなったけれど、それでも自分に届いていないその身長に愛らしさを感じ、ふふっ、と笑いが漏れる。当の本人はというと、何故自分が笑われているのか分からない、といった様子で、昔と変わらないような瞳をこちらに向けてくる。
夜の繁華街を抜け、自分達の棲む部屋へと帰る。と、けーが“先生”とウチを呼ぶのが聞こえ、ふっとウチは後ろを振り向いた。するとけーは後ろ手でドアを閉めると、私を抱き寄せそっと持ち上げた。「えらい、力が強うなったな」昔を思い出して、しみじみと呟く。なんだかさっきから昔を思い出してばかりだ。自分が老けたのを感じてウチは少し落ち込んだ。
「先生、このままベッド、行っていいですか」
「……ええで」
されるがままベッドに連れ込まれたウチは、その勢いのままぽいぽいと素っ裸に剥かれていく………何故か靴下を除いて。
「…なんで靴下だけ置いとくねん、変態か」
「俺が変態かどうかなんて、先生が一番知ってるじゃないですか」
久しぶりに聞いた、けーの俺呼びと敬語。それだけで不思議と、目の前のけーが学生時代の可愛らしいガキンチョに見えてくるから不思議だ。
「はぁ……まあええわ。ほらアンタも服脱ぎ。砂原センセープレゼンツ、夜のワンマン補習授業始めたるわ♡」
ハッキリ言って、この姿を取り戻したウチに負ける気はなかった。いつもはアイツの丁寧で気色悪いほどねちっこい前戯に簡単に体力を奪われ、抵抗する事もできないまま本番に突入してされるがまま蹂躙されてしまうのがオチだったが、今日のウチはなんてったってあの頃のバカ体力が完璧に戻っている。今回はあのねちっこい攻撃を死ぬ気で耐え切り、後はウチの身体能力で血反吐吐くまで絞りきってやる。そういう算段だった。
そして、そのウチの作戦はだいたい成功だった。おおよそ計算通りだった。………ただ一つの計算外、アイツの体力を除いて。
「先生、触りますね」
言うが早いか、さっそく太くごつごつした指がウチの割れ目にそっと触れる。にちゅ、と水っぽい音が鳴り、その太い指はあっという間にウチのナカに飲み込まれてしまった。
「うわっ、もうグチョグチョじゃないですか…いくら何でも期待し過ぎじゃありません?」
言うなバカ。
「教え子に触られるの想像して濡らすなんてとんだ変態ですね、人のこと言えませんよ?……ってまあ、それはいつもの事か」
クソ、余裕かましやがって。調子に乗ってきたのか、ウチのナカをゆっくりゆっくり掻き回しながらノリノリで言葉責めを続けてくる。愚か者め!!アイツは“瀬戸ミガリ”としかヤったことがないから、ウチのバカ体力の本気を知らないのだ。すぐに返り討ちに合わせてやる、「大阪最悪の暴虐神」と名高いウチに好き勝手言うたことを後悔させてやるわ!その一心でけーのねちっこい攻撃を耐え続ける。再び姿を現したその太い指は、ウチの体液でネバネバの糸を引きてらてらと光っていた。
「見てくださいよ先生、こんなに糸引いてる。指抜くときだってきゅうきゅう締め付けてきて…そんなに離してほしくないんですか?大阪最悪の暴虐神ってのは、意外と寂しがり屋さんなんですね」
ハゲてしまえ。
「……っ、もう十分やろ、はよしいや」
「駄目ですよ、まだお預けです」
そう言いながら、ウチの股ぐらについた突起物にアイツは思い切り口をつける。舌でちろちろと転がしながら、半笑いでこちらを眺めてくる。焦らすように周りを舐めたり息を吹きかけたりしながら、ふと思いついたように本体を舌で弄る。アイツの十八番だ。
「はんっ、そんなんでウチをイカせられると思うなや、どんだけアンタのソレやられてきたと思っとんね…ん゛っ゛!!???」
と、いきなりガリッと音を立ててウチの弱点に噛み付いてくる。突然の知らない衝撃に、脳がピリピリと痺れる。痛いのに気持ちいい。意味が分からない、なにこれ、こんなのしらない…っ!
混乱するウチをよそに、アイツは舐めたり焦らしたりを繰り返している。そしてたまに噛む。全てがアイツのペースで進んでいる。負けてられるか、その一心でひたすらに耐え続ける。死ぬ気で耐え続ける。
やっと気が済んだようで、そっとウチの股から口を離す。ウチはというと、耐えるのに必死で涙に唾液に鼻水に…と顔面がぐしゃぐしゃになっていた。
「先生、全然イってくれませんね。俺に負けたくなくて頑張ってイクの耐えてたんですね、凄いですね」
そう言いながら、顔中ぐしゃぐしゃのウチを抱き寄せて撫でてくる。そして
「せっかくですし、先生も舐めてくださいよ」
ウチのターンが回ってきた!ウチは思い切り奥までそのバカでかい竿を奥まで口に含む。そのまま前後に激しく動く。最初から全力、ソッコーで搾り取る!じゅるるる、ぐっぽぐっぽ、ぐぷぷっ。激しい水音をたてながら、前後に前後に繰り返し頭を動かす。裏側をつぅっ、と舐められるのに弱いのをウチは知っている。
「っ…ヤバ、舌…なっっがくて……口……気持ち良すぎる…!!」
どくどくと激しく脈を打ち、ぐいぐいと精液が昇ってきているのを舌で感じる。
そこでウチは、ぱっと咥えていたモノを口から出した。
「…ドコで出すのがマナーか教えたよな?」
「っす………えっと、もう準備万端みたいですし…挿れますね」
激しく動くと出してしまいそうなのか、ゆっくりゆっくりと、牛歩の如き速度でウチの膣にソイツのイチモツが挿入される。
「んっ…くっ、ふぅ……っ」
そのゆっくりとした挿入に、ウチは思わず声を漏らす。
「はよ……せえや……チンタラしおって…」
辛うじて返した軽口も
「……じゃあ先生が自分で動いて挿れればいいじゃないですか」
と軽く一蹴される。先程のひどくねちっこい前戯で敏感になった身体は、吐息だけでも快楽の電気信号を流して脳を痺れさせるようになっていた。ウチが敏感になってて動けない事を分かっておきながら、平気でそんなことを言う。クソ、このまま負けてられるか、これじゃいつもの二の舞いじゃないか、動け体、動け動け動け!!!
「ナメんなぁ…っ!!」
念じた勢いのまま、ぶっとく仕上がったソレを思い切り自分の奥までねじ込み子宮口とちんこの先端でキスをする。と、いきなりノータイムでナカに精液がどくどくと流し込まれた。まずは1勝、そう思っていたが……どくどく、どくどく。どくどく、どくどく。……止まらない。いつもより数倍量が多い。
「ちょちょちょちょ、多い多い!!多いって!!!」
エロ漫画でしか見ないような量がごいごいと無遠慮に流し込まれて、ウチの腹は開始数秒ですこしぽっこりと浮き上がるほど満タンになってしまった。
「はーっ…はーっ……どんだけ溜めとってん、アホちゃうか……」
そうやって声をかけ、一度抜こうとするものの、今の一撃で完全にタガが外れてしまったのかアイツはいきなり抜かずの二連戦目を始めた。前後に動くたびに、溢れだした精液がぐちゅぐちゅと音を立て泡立って溢れ出して来る。いつもの優しい責めとは打って変わって獣の性交のような激しい責めに、ウチの身体はきゅんきゅんと嬌声をあげていた。
負けじと押し返し馬乗りになり、ウチもごいごいと激しく上下運動を繰り返す。
ぐちゅぐちゅ、ぱんぱん、びゅるるっ♡ぐちゅぐちゅ、ぱんぱん、びゅるるっ♡ぐちゅぐちゅ、ぱんぱん、びゅるるっ♡ぐちゅぐちゅ、ぱんぱん、びゅるるっ♡ぐちゅぐちゅ、ぱんぱん、びゅるるっ♡
もう何回連続で出したかも忘れ、ウチはまるで赤ん坊でもいるみたいになった腹で仰向けに寝転がる。指一本も動かせないほど疲弊してしまっていた。そして……それはアイツも同じだった。ぜぇぜぇと肩で息をしながら、ウチの真横で同じく仰向けになっていた。構図だけ見ればヤンキー漫画のよくある川原でのワンシーンだが、それにしては笑えるぐらいイカ臭かった。ウチはゆっくり腕を伸ばして、頭を抱き寄せキスをした。舌をねじ込み、何度も何度も舐(ねぶ)るように唾液を交換した。にゅちにゅちという水音だけが部屋に響く。恍惚と悦楽だけが脳を支配する。
…………気が済んだウチは、ぷはっ、と口を離して、そのまま糸が切れたように眠りに落ちた。そしてそれは、アイツも同じだった。
夜の補習授業は、結局引き分けで終わった。