キッショ、何で分かっちゃうかな
「獄門疆、開門」
ホーム内の改造人間を狩り尽くした夏油の目の前に忌み物と称された、中央にある一つ目が特徴的な呪物が開かれる。
夏油は嫌な予感を感じそこから離れようとするがその声が呼び止める。
「や、糸目さん」
「……は?」
「久しぶりだね!」
(偽者…?変身の術式か?…いや…本物…!)
その時、夏油の脳内に思い出される黒川蘇我との半日にも及ぶ激闘と、その最期。
そして索に嵌まる。
夏油の脳内時間が一分を切り、獄門疆に囚われてしまう。
「ダメでしょ?糸目さん。殺し合いの最中に考え事なんて」
(力が入らない…呪力もだ……詰み、か…)
「…それで、君は誰なんだ?」
「あれ?忘れちゃったの?蘇我ちゃんだよ、黒川蘇我。あんな戦いをしたってのに…悲しいな~」
「確かに、体も呪力も所作もあの時見た黒川蘇我だ。…でも、私の本能がそれを否定している!お前はいったい誰なんだ!」
「キッショ、何で分かっちゃうかな」
頭の縫合糸を引き抜き頭を取り外す。そして蘇我の偽者はその口の付いた脳を露わにする。
「そういう術式でね。脳を入れ替えれば肉体を転々とできるんだ。あ、もちろん肉体の術式も使えるよ!」
「彼女の術式とこの状況が欲しくてさ。君が彼女の望み通り『普通の死』にしてくれたお陰で簡単に遺体を手に入れられたよ~!ま、そう言うわけでね?最後まで五条悟と迷ったんだけど君には封印されて貰うよ。心配しなくても封印は…そうだな…1000年くらいかな?そのくらいしたら解くよ」
「それじゃあね。新しい世界でまた会おう」
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「!?傑の呪力が…消えた…!?」