夏が終わっても
22世代(個人的)牡馬クラシック組※🖼🌓🖼、🎾🐬描写あり
🖼️「やっぱりイクイの家でっけー!!」
8月ももう終わり。せっかくだし皆で遊ぼうよ、ってジオが言ったから。いっぱいの花火を持ってきた。
✌️「___おいジオとイクイ、まだそんなに暗くないし花火は………って、イクイ浴衣かよ!?」
気合い入りすぎだろ〜、とラフな格好をしたビクターは茶化すように言った。
🌓「んー、でも僕家ではいつも浴衣とかだから。いつも通りだよ」
✌️「………まぁ、こんだけの豪邸だったらそうか。だってオレ庭にこんなにでっかい池と鯉ある家見たことねぇもん。パレスの家だってこんなにデカくねぇぞ?」
ビクターが指差す先には何十匹もいる錦鯉の群れ。それでもまだゆとりのある池。錦鯉たちはお父さんが趣味で育てていて、夕陽の光を浴びて輝いて見えた。
🖼️「………てかさー、ドウデュースとベルーガ全然来なくね?もしかして迷ってる?」
✌️「いやいや、ドウデュースはともかくベルーガは迷わねぇだろ!どうせドウデュースが道草でも食ってるんじゃねーの?」
たしかに、2人ともなかなか来ない。「今どこ?」とL◯NEを送ろうとした時、門の向こうに2人の姿が見えた。
🎾「遅れてごめんねー!ちょっと途中美味しそうなお店があってついつい脚が止まっちゃって〜」
✌️🖼️「「いや、本当に道草食ってたのかよ!!」」
パタパタと音を立てて2人が走ってきた。
🌓「………あ、2人とも」
目に入ったのは、2人の服装。
✌️「___えっ、お前らも浴衣!?ベルーガはともかくドウデュースも!?」
🎾「失礼な〜ボクだって着るよ〜てか、これ甚平だよ?」
✌️「そういうことを聞いてるわけじゃないんだよな………←」
🖼️「もういっそのことオレらで私服同盟組もうぜビクター←」
🌓(なんか馬鹿なこと言ってるな………←)
ふと、ベルーガが変に静かなことに気がついた。ずっと脚元を気にしているみたいで、じっと見ている。
🌓「………どうかした?ベルーガ」
小声で聞いてみると、ちょっとだけ悲しそうに呟く。
🐬「………俺初めて下駄履いたんだけどさ、靴擦れしてんだよね」
🌓「………あ、結構痛そうだね」
思いっきり皮が剥けていて、血も出てる。ワイワイしている3人に気づかれないよう、こっそり応急処置用の箱を持ってきた。
🌓「もしかして、これで遅くなったの?」
🐬「うん………ごめん」
🌓「大丈夫だよ、まだ時間はあるし………」
そこで、1つ気になったことがあった。
🌓「………さっきさ、ドウデュースは道草してたみたいなこと言ってなかったっけ?」
🐬「………あれ嘘。あいつさ、俺が靴擦れしたのすぐに気づいておぶってくれたんだよね。しかもさ、俺あんまり心配されたくなかったからさ、それ察して直前になったら降ろしてくれて………」
🌓「えー、めっちゃイケメンじゃん。ドウデュースのくせに←」
そりゃハーツクライさんに似てきたって言われるわけだよ←
🎾「おーい2人とも〜先に花火始めちゃうよ?」
少し向こうの方から、ドウデュースが言った。
🌓「あー、分かった。すぐ行くね」
🎾「OK〜」
敢えてなのかは分からなかったけど、特に詮索するようなこともなくドウデュースは2人の方へ行った。
🌓「___よし、とりあえず応急処置は終わったよ。痛くない?」
🐬「うん、ありがと」
🌓「今日、浴衣なんだね。似合ってるよ」
🐬「………その言葉、行く途中でめっちゃ聞いてきたから」
ドウデュースの方を見ながら、微笑んでベルーガは言った。
✌️「___あ、やっと2人とも来たな!」
もう始めてるぞー、と手持ち花火を軽く振り回しながらビクターが言った。
🖼️「おかえりー!見て見てイクイ、二刀流!!」
🌓「ちょっ、危ないってジオ」
🎾「ベル〜ボクも二刀流!」
🐬「お前も危な………って、線香花火の二刀流?それでいいのか………?」
🖼️「あー、線香花火も綺麗だよな〜」
✌️「オレは断然手持ち花火!やっぱり花火は派手なのが1番だろ!」
🐬「………ぶっちゃけ花火はどれも綺麗だから全部好き←」
🎾「あ、じゃあ今度ロケット花火でもする?前ジャックドールセンパイがパンサラッサセンパイからもらったのくれたんだ〜」
🌓「少なくとも僕の家ではするなよ???←」
🖼️「相変わらず変なもん持ってんなパンサ先輩………」
🌓「………あ、ジオの火僕にもちょうだい」
🖼️「OK〜近づけるよ」
手持ち花火の数も少なくなってきた。新しく火を出すのも少し面倒な気がして、僕と同じ線香花火を持っているジオの火を貰おうとする。線香花火の先は細くてなかなか上手く火がつかない。ジオの火が消えそうになる寸前のところでなんとかついた。
🌓「ん、火ありがとねジオ」
🖼️「いいってことよ」
パチパチと静かに音を立てて花が咲いた。辺りも暗くなり始め、小さな光が地面を、僕らを照らす。
🖼️「………なんかさ、さっきの火つけるやつ、ちょっとだけちゅーしてるみたいじゃなかった?」
ぽそり、とジオが呟いた。
🌓「………そうかもね」
そっとジオの方を見ると、顔を赤くして僕を見つめていた。
🖼️「………イクイ、オレちゅーしたい」
🌓「___いいy」✌️「いや待て待て待て←」
顔が触れ合いそうになる寸前、ビクターの声によってそれは制止された。同時に、火の玉がポトリと音を立てて、地面にぶつかる。
✌️「ラブラブなのはいいけどオレらがいること忘れてない???ちょっとキレちゃいそう←」
🖼️「それはごめんて←」
🎾「別にいいじゃ〜んビクター」
✌️「いやだって………ってお前らもナチュラルにイチャついてんじゃねぇぞビクターくん泣くぞ???←」
ドウデュースはベルーガと一緒に縁側に座っていて、しっかりとベルーガの手を握っていた。そして、もう片方の手にはいつからあったのかスイカがあった。
🌓「………もしかして、お父さん来た?」
🐬「ああ、さっき一瞬だけ来てスイカくれたぞ。お前らのも貰った」
ちょこん、とベルーガの隣に置かれた山盛りのスイカ。なんともまあ、お父さんらしい差し入れだなと思った。
🖼️「ならいただいちゃおっかなーイクイも食べようぜ!」
ポンポンと自分の隣を叩くジオ。隣に座って、僕もスイカを一口齧った。
✌️「あっ、お前らだけずりぃぞ!オレも食ーべよ!」
5人が一斉に縁側に座って、スイカを齧る。なんとも夏らしい光景だ。
今は何時だろう。空は暗い瑠璃色に染まって、点々と星が輝いている。
(………流星は見えるかな)
いつの間にか癖になっていた、空を見上げる時に流星を探すこと。流星なんてそう簡単に見れるものじゃないことは分かっているのに、どうしても探してしまう。
スイカを齧るのも忘れそうになるくらい空を見つめていた。すると、遠くから『あの音』が聞こえた。
______ドオォォーーーーン!!
大きな音とともに、空一面に咲く花火。
🖼️「___えっ、花火!?」
✌️「マジで!?すげぇー!!」
🐬「めっちゃ綺麗………」
🎾「わあ、今日お祭りとかあったっけ?」
どこから上がったのかは分からない、暗い空を幾つもの花火が埋め尽くしていく。
🌓「………なんか、『夏』って感じ」
🖼️「………イクイにしては語彙力低いな!←」
🌓「えっ←」
🐬「いやまあ、言いたいことはなんとなく分かるぞ」
✌️「イクイの語彙力も低くなるぐらいすげぇ花火ってことでFA?←」
🎾「FA〜」
🌓「いや、そうなんだけど………腑に落ちないなあ」
✌️「でもさー、来年の夏もこんな感じでワイワイしてぇよなぁ」
ビクターが、静かに呟いた。普段よりも少し寂しそうに、花火を見上げている。
🎾「………うん、絶対来年も皆で遊ぼう」
🖼️「てか、来年の夏なんて待てねーし正月にでも遊ぶ?」
🐬「あー、なら次は俺の家来るか?イクイの家ばっかり行くのも迷惑かけそうだし」
🌓「えっ、いいの?」
🎾「ベルの家!?絶対行く!!」
🐬「………お前だけ出禁にしてえなあ」
🎾「えっ←」
🖼️「オレの家も全然大丈夫だぜ!父ちゃん皆のこと気になるって前言ってたし、日本のこともっと知りたいって言ってたしさ」
🌓「ジオのお父さんかあ、この間お菓子貰ったから今度お返しするね」
✌️「………うん、また遊ぼうな」
花火は、いつの間にか終わっていて煙だけが空に残っていた。
夏が終わった。
秋は何しよう?ハロウィンがあるしお菓子でも作る?それか仮装しまくる?焼き芋とかもしたいなあ。
冬は、やっぱりクリスマスパーティーしたいな。大晦日は誰かの家に集まって夜更かしして日の出見て、そのまま正月を迎えたいな。雪合戦とかもしたいし、バレンタインには皆でチョコ交換しちゃう?
春は、お花見かな。皆で少しずつお弁当とか作ってきてピクニックしたいなあ。昼だけじゃなくて夜桜も見たいかな。ホワイトデーにはバレンタインのお返しも作ろう。
そしてまた夏になったら、今度は海もいいかな。それかキャンプもいいかも。いっそのこと、海にキャンプしに行っちゃう?
___ううん、全部しちゃおう。皆が揃う青春は今しかないんだから。後悔しないうちにやりたいこと全部やってしまおう。全部やり尽くしたならまた新しくしたいこと見つけて、時間が足りなかったならまた次の季節を待って。
僕たちの『今』は長くない。線香花火みたいに綺麗で儚い。
でも、僕たちの『今』は明るい。打ち上げ花火みたいに力強くてどこまでも輝いている。
今年も夏が終わった。
そして、
また夏がくる。
