変な趣味だな

変な趣味だな

お金の無い子


救零、子供は本日も街を彷徨っていた。

最近は本当にまともな生活が出来ていない。

なので色々な場所に行き色々な方法で集金していた。

寒くて震える手に、はぁと息をかけて擦る。

もっとまともな服を着てくるべきだったかな。と、ペラペラな服の裾を捲って、吹く風に寒い寒いと裾をズボンの中に入れ込む。

看板をまた持ち直して、人に話しかけられるのを待っている。

すると一人の男が刃物を持って話しかけてきた。

その男は「誰の腹でも良いから刺したいんだわ。看板通りなら刺さしてくれるよな?」と迫ってくる。

子供はごちゃごちゃと生死に関わることはしたくはないが嘘もつきたくないし、また客が来るかは正直言って大分怪しい......などと考えて、とりあえずこう答えた。

「変な趣味ですねー......ま、良いですよ。」

「でも、生死に関わりますから代金は高くつきますよ?」

そう答えた後、金はどれくらいにしようか。ぼったくってしまおうか。などと考える暇もなく、その男は良いと言った。

「は?いや、大丈夫ですか?ぼったくられるかもしれないんですよ?な、なんならぼったくりますよ?」

あまりの即答に困惑をしてぼったくりするよと口に出してしまうが、それでもその男は別に良いと言うので、

「じゃあ、10万円くらい......」

と本人的にはぼったくりもぼったくりな価格を提示する。と男は「そんなんで良いのか?ま、何度も刺せるし俺としては嬉しいが......」とか言い出すので、刺すのは二回まででお願いします!と釘を刺した。

「二回か〜......まぁ良いか。んじゃ路地裏とか移動して貰っても良い?」

「良いですよ!10万も下さるんですもんねどこにでも行きますよ!」

可哀想な金の亡者......今の子供は、金の為になら何でもするような人間で。というかしないといけないような状況で。そうしないと生きて行けないから、生きて行けないと母上とも話せないし、人の害を殺すことも出来ない。なので生きなきゃだしその為には金が必要なのだ。今から死ぬかもしれないので少し矛盾が発生しているが。

「あ、でもちょっと待って下さい。先に10万は貰っておきたいです。」

リスク管理というものだろうか、まぁ命が無くなるかもなのだからお金は先に渡しておいて貰おうとするのは変では無い。それに男は「10万で良いの?二回やる予定だけど。」と返す。

「まぁ確定はしてないので……とりあえず10万だけでもう10万は後払いで良いですよ。」

という言葉に、男はぽんと10万円を渡した。子供は「絶対戻ってくるので!!」と言い残して銀行へと向かい、帰ってくると同時にすぐ男と一緒に路地裏へと向かった。

「ここら辺で大丈夫ですかね?」

結構道の奥辺りまで来ただろうと思い質問をすると、「もう少し奥に行こう。そっちの壁の方が白い」と言葉が返ってくる。

壁が白いと何か良いことがあるのだろうかとよくわからないけど、お金は大切なので奥へ奥へと進んで行く。

「よし、ここで良い。」

男の人に静止されて止まった所の壁は、確かに不自然な程に白く綺麗だった。

「真っ白ですね。えっと、刺します?」

異常なほどに白い壁に少し困惑を見せながらも、お金を貰うのであれば引いてはいけないだろう。押していこうと話を進める。……業務内容的にこれしか出なかった。

「あぁ、やらせて貰うよ」

「出来れば心臓と脳は辞めて下さいね」

「はは、気分次第だな」

そうくるくると笑いながら、その男は子供のことを刺す。一発目は腹にいった。

「お腹ですか……」

お腹にナイフを刺されるが、想像よりかは痛くない。ただぼんやりと何かが内臓に入ってくるような感覚と、少し内臓が引っ張られるような感覚を感じて気持ち悪いなと思う。二回目はやるのだろうかとぼんやり考えていると足に二個目が刺さる。あぁ、心臓も脳も、言っていないが首も刺さないでくれたのか。ありがたいなと思っていると、上から金が降ってくる。

「んじゃ、俺もう行くから。なんとかは自分でしな」

その言葉を聞いて、はは、こんな奥まで連れてきて何とかとか、悪趣味な犯罪者だな。と思うが、それを承諾したのは自分自身だ。うごけずに居ると、からだの力も段々と抜け、最後には白い壁の真ん前に横たわるような形になっていた。

これで死ぬのか。折角金が手に入ったのに。とぼんやりと、少し水が抜けてしまったような、血が通っていないような、そんな頭で考える。

「しにたくないな」

そう口にする頃にはもう、瞼は半分閉じかかっていた。

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