執着

執着


人から馬に転生した。

人時代は馬に転生する〜みたいな二次創作が好きだったから俺もそういう風になるぞ!と思っていた折、


『ゃ、やめて、やめて、だれかァっ!!』

『ぁ、おかあさ…たすけ、ぃ、いやぁ゛…!』


牧場のボスに手篭めにされた。

ボスはとても気性が荒い牡馬で、とても恐れられている方だったから、俺が何度助けを求めて叫ぼうが誰も助けてくれなくて。

ボスに手篭めにされた俺はその日から自分より大きな同族が牡馬であれ、牝馬であれ怖くなってしまった。

走ることは好きなのに、周りに自分より大きな同族がいるとピタリと脚が止まってしまう。

そんな俺を人々は「走ると思ったんだけどなぁ」「惜しいなぁ」なんて。


『オラ、準備しやがれ』

『は、はい…』


走れなくなった俺は、ボス専用の相手になった。

本当なら他の牡馬の相手もさせられるはずだったのだろうが、俺が他の馬を怖がるのと、ボスが俺を独り占めするために暴れ回ったから仕方なく。

…俺は気性の荒いボスのための、生贄なのだ。


『…ハハ、ホントにお前はイイ女だなァ』

『ぁ、あ、ゆるして、ゆるして、ください…っ』

『あ゛ァ?許す?許すわけねェだろッ!!』

『ひ、ィっ!?』


苦しいぐらいに強くされる。

だが時期になればいつものようにされていることに体は如実に反応してしまって、ボスを喜ばせてしまい、


『お前、俺がどれだけ他のヤツらに色目使われてるお前を見てたと思ってんだ!』

『ぅ、あ、あ゛…!』

『年々魅力的になっていきやがってよォ…!クソ、クソっ!!』

『ごぇ、ごぇんなしゃ、いぃ〜〜〜っ!!』


聞くに耐えない声をあげる。

こんな声、恥ずかしいのにボスが『声を出せ』って言うから…。


『ぁ、あっ、ゆぅして、ゆぅしてくらさ…っ、ぼすぅ…っぎ!?』

『……"ボス"じゃねェだろォ?教えたよなァ?』

『……っゆるして、××…っ』

『………いい子だ』

『う、う゛〜……っ!』


​───────


ソイツと出会ったのは、ボスになってから数年が経ったころだった。


『……だぁれ?』


俺が取り仕切る場所で、新しく産まれた仔。

まだ助けてくれる相手の存在が無ければ生きていけない相手に、俺は一目惚れした。

ソイツの母親が育児放棄したのもあって、俺はソイツをお優しいボスの仮面を被りながら育てていき、そして、


『ゃ、やめて、やめて、だれかァっ!!』

『ぁ、おかあさ…たすけ、ぃ、いやぁ゛…!』


ヒトに連れていかれる前に手篭めにした。

めいいっぱい手酷く手篭めにしてやった。

そうすればコイツは同族を怖がる。

もちろんこの行為を行った俺も怖がられるだろうが、コイツは…、


『ほォら、おいで?』

『は、い…』


俺無しじゃあ、生きられないんだから。


***


俺:

元ヒトミミ♂現牝馬。実は良血。

母親からはヒトミミの成熟した精神を恐れられて育児放棄され、それからはボスに育てられていた。

人に『これは走るな!』と期待されていたところ、ボスに手篭めにされ自分より大きいウッマに牡牝問わずトラウマを持つようになる。

けれどボスが育ての親なので、ボス=自分を手篭めにした相手だけど離されたら不安で生きていけなくなるくらいには依存してる。可哀想。


ボス:

気性が荒い。俺に一目惚れした。零細血統生まれ。

育児放棄された俺をお優しいボスの仮面を被って育てあげた。

そして人に取られる前に手篭めにして自分の傍に縛り付けた。

俺のことが好き過ぎて、自分以外と話さない・関わらないように思考誘導している。

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