埃の取れない記憶

埃の取れない記憶

オルクス(記憶喪失前)

今考えるとかなり馬鹿らしいものだが……どこにでもクソ野郎は居るもんでな。

…………机がなくなる、物がなくなる、まぁ……それくらいなら良かった。  どーせ授業の時以外は図書館に住んでたからな。            

……一人仲良くなった奴がいた。

今は学校にいないけどな。明るくて……元気で……丁度、操術科のあいつみたいな危機感のない奴だった。      それで、また俺の机に落書きされてた日があってな。いつもの学級裁判。

今考えると内容は馬鹿だの死ねだの……消えちまえだの……幼稚だったな、本当に。

先生が説法を垂れて終わり、結局やった奴がその程度で反省するわけもないし……その後仲のいい奴が慰めてきて……という流れが何日か続いた。 

あいつの暖かくて柔らかい肌を味わいながら、机に伏す日々が続いた。

前友達はいないって言ってなかったかって?居ないんだよ……今、あいつは。

ある寒い寒い晩のことさ、俺が反応しないから飽きてたんだろうな。

……それであいつらはやってはいけない事をやりやがった。

「……お前みたいな馬鹿は、外に立ってな。……水が飲みたいの?かけてあげるからさぁ!」

……んまぁ、本音今でも夢だと思いたいさ。…………こんなこと、現実でやる奴がいるのかってな。

……目の前で仲良いあいつがあんな目に遭わされて……そんで、あいつらが飽きた後に駆け寄った。

そんで……その鋼鉄みたいな冷たい肌に触れて、全てを察しちまった。

……怖かった、怖くて助けられなかった。全部見てた、全部聞いてた。

しかもあいつは俺に恨み言の一つも言わなかった!!行ってくれた方が楽だった、嫌われたで済むから、それがいつも通りだったから!!

はぁ……はぁ…………そんで、まぁ……結局先生が対応することもなかった。 

というか……あいつのことはなかったことにされてた。

あの時の俺が一歩でも動けていたら、変わってたのかもな。     

だからこそ……お前らは後悔はしないようにするんだぞ?

誰にも束縛されない自由って……すげえ良い物だからな。

……うまく使えよ?

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