地上絵×昼夜平分時
気振りエクレア(受)が好きなんですよね……※擬人化
※閲覧注意
☆関係性
🌓→年頃なのでいっぱいイチャイチャしたいしぴょいしたい。筆者の趣味で前髪エクレアの黒髪ロングだと思ってほしい。
🖼→年頃なのでいっぱいイチャイチャしたいしぴょいしたいけどその前に「世界最強!」「2000万!」がチラついてハロン棒の元気がちょっとなくなる。でもやるときはやる。
🛷→後輩の恋路を見守る優しい先輩。
ブォォ、と安めのドライヤーの温風が後ろから当たる中、その風音に紛れて幼馴染の機嫌良さそうな鼻歌が聞こえる。
オレンジ色の照度が低いライトに照らされたピンク色の壁紙の部屋、やたらと広いベッドの上で鼻歌の主に気付かれないよう、ドライヤーの音に紛れてこっそりとため息をついた。
僕イクイノックスとご機嫌に僕の髪を乾かす彼ジオグリフは幼馴染兼恋人同士。幼馴染の期間が非常に長く、恋人になったのは周りから「あんた達とっくに付き合ってたんじゃなかったの?」と言われるくらいには最近の話。
でも、最近と言っても一応キスも体を重ねることも出来たくらいの時間は過ごしている。
問題なのは、そのスピードと回数だ。
この栗毛のイケメンジオは、所謂ニブチンなのか友達と遊んでるのが楽しい年頃なのかわからないけど、幼馴染だった頃と大して変わらない距離感で接してくる。
自分としてはもっと恋人っぽいことをしたい。肌を交えるときは優しくしてくれるけど本当はもっと激しくしてほしいもっといっぱいシたい。天才少年とか言われてたけど、僕だってもうそういう年頃なんです。
そんなこんなでジオから中々手を出してくれないので、自分から色々アピールはしてるけどいつも上手くいかない。
今日だって、恥を忍んで同厩のオーソリティ先輩に現状を相談したら「イイ案あるぜ!」と提案してきた彼のお祖父様が運営している(なぜそんなものを運営しているかは謎)「ラブホテルに誘ってコドモな彼を本気にさせちゃうゾ♡」作戦を実行したのにジオは部屋に入るなり「すげー!」と探索し始めまるで遊園地に来た子どものようにはしゃいでいた。見つけたものは当然コンドームとかオトナのおもちゃでワクワクする要素ゼロなのにキラキラ笑顔で「やべーな!」とか言ってた。
それだけじゃない。お風呂だって一緒に入るかって言われて期待したのに広い浴槽で泡風呂やって喜んでただけだし……!
しかも普通こういうときって髪は洗わないって聞いてたのにジオはきっちり頭の先からつま先まで洗って僕の髪も洗って、冒頭に戻るけどご機嫌に今髪乾かしてくれてるとこだし……。
再び小さくため息をつく。
恋人になれたのは嬉しかったけど、結局そういう想いを抱いていたのは僕だけだったのだろうか。ジオは優しいから、僕の好意に付き合ってくれているだけなのだろうか。
そんなマイナスな感情が湧き出てきて、胸に渦巻くものとは全く正反対な淫靡な雰囲気の部屋から目を逸らすように瞼を閉じた。
もう一度出そうになったため息とともに、ドライヤーの風音が切れた。それに少し驚いて後ろを振り向くと、にっ、と笑う彼と目が合う。
「終わったぞ。……何だぁ?眠くなったのか?」
「ち、違うよ!乾かしてくれて、ありがとう」
「どーいたしまして。相変わらず綺麗な髪だなー」
前向いて、と促され素直に従うと、ブラシが髪を梳く感覚がした。
昔はこんな行為にすら心臓が張り裂けそうなくらいドキドキしたのに、今ではこれくらいでは全然足りなくなってしまっている。我儘に、なったのだろうか。もっと欲しいと思うのは、悪いことなのだろうか。
視線を下に向け、力なく組んだ指を見つめる。ブラシで髪を整える指先は普段の彼からすると意外だと思うほど優しい。
……今ここでねだったら、一回くらいは相手をしてくれるだろうか。
僕が存外諦めが悪い。そう、諦めが悪いからレースで勝てるんだ。そう必死に言い聞かせ今度こそ振り向いて彼の目を見ようとした瞬間だった。
「ジオ、……ひゃっ!」
首筋にぬるりとした感触が走る。驚いて肩を跳ねさせると、そのままぬるぬるとしたものは背中から項をゆっくりとなぞっていく。
「ひ、じ、ジオ……っわ、」
ゾワゾワととした感覚に鳥肌を立てていると、ぬるぬるとしたー……彼の舌が離れる。それと同時にぐるりと視界が回転した。気が付けば目に見えるものはピンク色の天井、照度の低いオレンジ色の照明、そしてジオだけになっていた。
「……はは、何驚いてんだよ」
「だ、だって」
「ここに誘ったの、イクイだろ?」
明るく軽い口調はいつもの彼なのに、己を見下ろす瞳は熱と艶を帯びている。
「……まさかこんなつもりじゃなかった、とか言わないよな?」
入浴の時、彼がふざけてこれ着ようぜと言って少しでも雰囲気が出るならと了承し身に纏っていたバスローブの隙間に、熱い手が入り込んでくる。
「……っ」
「そっか。良かった」
そのあまりの熱さにひくりと体を揺らしつつも首を横に振ると、ジオは嬉しそうに笑った。その笑顔はやはり少年のようなのに奥に潜む雄の欲が透けて見えて、それと共鳴するように自分の中の熱が呼び覚まされる。
「……ジ、ジオ」
「んー?」
彼に言いたいことがあったはずなのに、そんな捕食者の目で見つめながら人差し指で唇を抑えられてしまったら何もかも忘れてしまうじゃないか。
気が付けばどんどん天井が見える範囲が狭くなっていって、もうすぐで視界がジオでいっぱいになる寸でのところで瞼を閉じる。まるでそれが合図とでもいうように、噛みつくように口付けられた。
「おう、オーソか?お前んとこの世界最強サマがここ来たぞ。流石にちっと驚いたわ」
「……は?それじーちゃんマジ?相手誰?栗毛のムキムキアイドル系フェイスだった?」
「顔はよくわかんねぇけど栗毛のムキムキではあったな」
「ッッッ…………!!!…………!!!!!!……じーちゃん今からそいつらの部屋にカメラ仕込めない?それか俺が今からそこ行くわダッシュで」
「どっちもダメに決まってんだろバカ孫」