国殺しの誕生

国殺しの誕生


「号外だァ~~~~!!!ドレスローザが滅びたぞ~~~~!!!」

 スターチスでの大戦争から少し経った頃、どこかの島で大声を張り上げる新聞の売り子がいた。声につられて群がる民衆。見出しには黒地に白抜きの文字で「ドレスローザ滅亡!リク王らは何処に!」と大きく印字されている。どうやら内容からして国王たちは行方不明のようだ。

 「ドレスローザを滅ぼした黒幕は麦わら大船団1番船船長、脅威の二重人格者のキャベンディッシュだァ~~~~!!!」

 新聞の中に入っていた1枚の手配書、そこにはこう書かれてあった。

「『国殺し』 キャベンディッシュ 懸賞金9億2500万ベリー」




 ガシャンと嫌な音が響き、あちこちに鏡の破片が飛び散る。

「何のためにボクは…!」

キャベンディッシュは自分の部屋にある鏡を全て破壊していた。かつては自分の美しさに惚れるために設けた鏡も今は「国殺し」の汚名を着せられた哀れな罪人を映すものにすぎない。

 自分を救ってくれた恩人の仲間の能力を受け継ぎ、もう1人の人格、ハクバを使ってまでドレスローザの滅亡を食い止めようとしたはずだった。しかし、待っていたのは余りにも惨い結果である。

「こんなのあんまりだ…!神様なんていない…!」

 彼の傍にある引き裂かれた新聞、何のために自分は戦ってきたのかが分からなくなった。

 それでもやらなくては行けないことがある。

「ルフィに会わないといけない…」

 今までの自分と別れるため、その美しいブロンドヘアーを持っていた名刀「デュランダル」でバッサリと断ち切る。

「行かなくては」

彼は国殺しのキャベンディッシュとして、ここに誕生したのだ。

Report Page