因果はめぐるゴム車・後編
チャルロス聖の死により、市民だけでなく海軍も沸いていた。これであの二人を大手を振って呼び戻せると。更に海賊も、奴隷にしようとしてくる悪名高き天竜人が一人死んだという事で喜んでいた。市民も、海軍も、海賊も、革命軍も世の人々は笑顔を浮かべていた。
ー灯台下の二人を除いてはー
ルフィとウタは号外を見ながら"事故死"の真相について思考を巡らせていた。
「ルフィ…やっぱりチャルロスの言ってた事は」
「ああ、あいつはムカつくし許せねえけど、あの時の様子からウソじゃあなかった。それに…」
二人は思い返す、パンゲア城の帽子の事、ゴムじゃないゴムゴムの実の事、そして…
「このまま"玉座に座ってるヤツ"がいる様じゃ、またチャルロスみたいな奴が出て来るかも知れねえ…」
「そうすると世界は同じままで、みんなは本当に笑い合えねえ!!」
「だからおれは…"新時代"を作る!!!」
改めて決意を表すルフィにウタが尋ねる。
「ルフィ…じゃあ、革命軍に入るの?」
「いや、組織に入るとなるとまたウタを守れないかもしれねえから入らねえ。けどこのままじゃあいけねェとは思ってるぞ。」
「そうだね…私達だけじゃ出来ることは限られてるってのは、何よりこの生活で思い知ったし…」
そう納得しながらウタは様々な事を考えていた。世界を変えるにはどうするべきか、どう動いていくべきか、しかし自分の為に動いてくれた彼が今度は世界の為に動く…
ーこんな時まで彼を想うなんてなんて、世界の皆を混乱に陥れたにも飽き足らずなんて醜い女ー
そんな降りてきた自己嫌悪の闇は彼の発した言葉にかき消された。
「ウタ、おれのモットーは
"大切な人が笑える正義"だ!
だからおれはお前に笑って欲しいから世界を変えるんだぞ!!だからー」
ー世界や世界の皆を考えたりして自分を責めないでくれ、ウタが悲しむ姿は何より悲しいんだー
その言葉にと抱擁にウタは想いを馳せる
ーああ、この人には敵わないー
と。しかし、その一方である疑問が沸いてきた。それはわざわざ自分にそれを言ってきたという事。心配もあるのだろうが"世界の皆を考える"と言ったという事はつまり…
「もしかして…私がルフィ以外の人の事を考えることに嫉妬してたの?」
「なっ…!!?」
途端にルフィの顔が朱に染まる。
「お、おれはウタが沈んでたから…」
「でも、ルフィって感情を読み取るのが得意なんでしょ?つまりはそういう事だよね?!」
「う、うるせえ!と、取り敢えず仲間を探す為に出発だ!!世界の皆の事も考えて!!!」
「出た!負け惜しみィ〜!!」
ー賑やかな喧騒が船上を満たす、長く続いた暗雲がようやく晴れようとしていたー
"二人"の逃亡海兵 END
「ところでルフィ、まずは何人集めるの?」
「んん…そうだな…10人はほしいなァ!!」
To Be Continue…