回顧「”赤髪”の娘、  」

回顧「”赤髪”の娘、  」


・・・

・・


「私の勝ち~!!」


「くっそォ~!! 卑怯だぞウタァ!!」

「シャンクスの船に隠れるなんて!! おれ見つかったらつまみ出されるのに!!」


「出た。負け惜しみ~」


「ぐぎぎ!! もう一回!! もう一回だ!!」


「はいはい、また今度ね」

「もし次勝てたら、今回の分もアンタの勝ちってことにしてあげてもいいわよ~」


「言ったな!! おれは負けねェぞ!!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「おれも連れてってくれよォ!!」


「勝手に忍び込みやがるとはな……」


「ウタちゃんが見つけてくれたんだってね。ありがとう」


「どういたしまして」



「アンタ、探すだけじゃなくて隠れるのもヘタクソね~」

「そんなんじゃ私に勝つなんてムリに決まってるじゃない」


「ぐぎぎぎぎ~!!」

「おれの夢、応援してくれるんじゃなかったのかよ!!」


「シャンクスがダメって言うんだから、ダメよ」


「この~!!」


「あんたが一番自信があるのは何?」


「おれは強いぞ!!」


「ならもっと強くなるの。今よりずっと強くなったら、私も一緒に頼んであげる」


「え……」


「……な~んて、言うと思った?」

「あっかんべ~!!」


「んぐぐぐ!!」



「シャンクス~!! 次はおれも絶対に乗るからなァ~!!」


「おお~乗れるもんなら乗ってみろ~」


「ウタ~!!」

「あっかんべ~!!」


「!!」

「帰ってきたら、少しは強くなったか試してあげる!! ルフィ~!!」

「……」

「フフッ」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「…………」

「シャンクスとウタ、早く帰ってこねェかなァ……」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ギィィィィギィィィィィ!!


「うォッ!? なんだァ!? 動く人形!?」

「ほォ~……珍しいものもあったもんだな」


ギィィィィギィィィィィ!!


「おっとっと……そんな暴れんな。どうした? 一緒に来たいのか?」


ギ、ギィィィィィ!!


「といってもなァ……うちにはお前みたいな人形欲しがるような子供もいねェしな……」


ギ……ギギィィィィィィィ!!


「わかったわかった。そんなに怒るな……」

「でも、ずっと一緒にはいられねェぞ? 危険な旅だからな」


ギィィィィギィィィィ……



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「…………」

「シャンクス、早く帰ってこねェかなァ……」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「シャンクス~!! お帰り~!!」


「おおルフィ。元気してたか?」


「おう!!」


ギッ……ギィィィィ!!


「うわ!? なんだこいつ!?」


「おおっと……最近は大人しくしてたんだがな……」

「こいつは世にも珍しい生きた人形だ!! 旅先でどうにもなつかれちまってなァ」


「へェ~……流石シャンクス!!」


ギィィィィ!!


「うわァ!?」


「おっと……!? どうしたんだお前、ルフィに飛びついて」


ギィィィギィィィ!!


「はっはっは!! そんなにルフィが気に入ったのか!!」


「シャンクスゥ~助けてくれよォ~」


「そうだなァ……ルフィ、せっかくだからこいつのこと貰ってやってくれねェか?」


「え?」


ギ……


「こいつもおれたちみたいなむさ苦しい船にいるより、この村で暮らした方が幸せだろう」


ギィィィィ!!


「でもよォシャンクス……こいつ嫌がってるぞ」


「参ったな……」


「なあ、頼むよ。おれたちの旅は危険なんだ。お前を気に掛ける余裕もなくなっちまうかもしれない」

「お前が壊れたり、いなくなるとおれたちも悲しいんだ。分かってくれ」


ギィ……


「……わかった!! ならおれが海賊になってシャンクスの船に乗る!!」

「それならこいつも寂しくないだろ!!」


「……だっはっは!! どさくさ紛れに願望通そうとすんなガキ!!」


「んぐぐぐ!!」



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「ルフィ、お帰り……そのお人形は?」


「シャンクスにもらった!! すげェだろ!! 生きてるんだ!!」


「あら、本当……かわいいわね」


ギッ……ギィィィ!!


「どうしたお前? マキノのこと気になるのか?」


「あらあら、こんなかわいいお人形さんに気に入られて私は幸せものね」


ギィィィィ……



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「シャンクスたち、行っちまったなァ……」


…………


「安心しろよ!! 俺はもっともっと強くなって、いつかお前と一緒にシャンクスに会いに行くんだ!!」

「この麦わら帽子の約束もあるからな!!」


…………


「元気だせよォ~……そうだ!!」



♪みなみの~しまは~あったけェ~あたまポカポカ~アホばっか~



ギ……


「お? お前歌が好きなのか? ししし、幾らでも歌ってやるぞ!!」


ギィ……


「う~ん、いい加減「お前」だと呼びづらいよな……」

「名前、名前……」


…………


「そうだ!! お前歌が好きなんだろ? だったら「ウタ」だ!!」


……!!


「お、気に入ったのか!! にしし、ならお前の名前は今日から「ウタ」だ!!」




「よろしくな、ウタ!!」



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