四天王は暇である。
「ヒマなんですの〜〜〜〜〜!!!!!」
「暇やーーーーー!!!!!」
大声で叫び暇を訴えるのはポピーとチリ、うら若き四天王の一角である。
そんな彼女らが暇をしている理由は、ポケモンリーグのシステムにある。
実技試験に進むための、一次試験の面接を通過するのはジムバッチが8個必要となるが、並のトレーナーは4個集めたところで挫折してしまうのだ。
つまり・・・「仕事として戦える場面が少ない」これはただでさえ全力を出せる相手が少ない四天王にとっては「仕事が少ない、暇だ、暇つぶしがしたい」という感情の原因にもなる。
デスクワークに関してもポピーに関しては年齢的に無理があるしチリに関してもアオキとオモダカで十分回ってるのが現状だ。
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「♪」「♪」
そんな二人が暇つぶしにいつも訪れる場所がある。
「おーじゃのみずうみに」「やってきたやで!」
そう、オージャの湖である。
野生ポケモンの強さから、一般トレーナーは立ち入りを制限されているが、他とは一線を画す四天王なら話は別。
「あっ、水着忘れてないか?」「ふくのしたにきてきたですの!」
二人のポケモンたちに交代で見張りを任せながら、浮き輪や水遊びグッズを出す。
ポピーが飛沫を出し、チリが受け止める。そんな和やかさは、一匹により終わりを迎える。
「ぎゃらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
オージャの湖に棲息するギャラドス。そんな、わたしたちのポケモンちゃんが対処できないなんて
おまけに、黄色い光まで放っている。二人は、これが「テラスタルポケモン」だと断定した。
テラスタルポケモンは他のポケモンより強大な力を保つ場合が多い。そりゃあ見張りのポケモンたちでは対処できないわけだ。
「ここら一帯にテラスタルギャラドスなんていなかったよな、ポピーちゃん。」
ポピーは黙ってうなずく。
「新しく来たのか?ひとまずオモダカさんにほうk・・・」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
・・・「いまはそれどころじゃないみたいですの」
二人はライドできるポケモンも持っていない。ならばどうする、どうする?
ギャラドスはポピーのアーマーガアより早く空を飛べる。ここでアーマーガアは使えない!
チリのドオーに乗るというのは?だめだ、ドオーは鈍いポケモンなので追いつかれてしまう!
四天王であり、凶暴なポケモンに対処する多くの術を持っている彼女らが、出した結論は、同じところに逢着した。
「服を身代わりにしよ、ポピーちゃん。」
「そ、それしかないんですの!」
二人は同刻にうなずき、服を投げ捨てる。ギャラドスがそれに気を取られている間に、二人は泳いで近くにあった島に逃亡した。
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「は、はぁー・・・」
「つ、つかれたし・・・さむいし・・・はずかしいんですの・・・///」
「今は恥ずかしがってる場合じゃないで、とにかくオモダカさんに連絡を・・・」
ロトロトロトロト・・・
「はい、チリです。今、ポピーとオージャの湖で水遊びしてたら、テラスタルギャラドスに襲われて、服を身代わりにして逃げました。」
「あらあら、それは・・・困りましたね。アオキさんかハッサクさんをそちらに赴かせたいのは山々なのですが、報告にないテラスタルポケモンの状況がつかめない以上下手に動けません。」
「それは・・・えーと、どないするのでしょうやねん!」
「落ち着いてください、チリさん。陸路、海路が絶たれたなら空路を使いましょう。そらとぶタクシーを使いこちらに服をお届けします。」
チリの柔肌が動く様子が、ポピーの目にはっきりと映る。
「ありがとうございます、オモダカさん。あっでも・・・」
「なんでしょうか」
「え、えっと・・・運転手さんは女性の方だと、あ、ありだたいです///」
「・・・わかりました、そう要請しておきます。」
ピッ
「はずかしがるときじゃないっていってたのに、チリちゃんもはずかしがってたのです」
「い、いや〜これは恥ずかしがってるわけじゃなくて、その、マナーとして・・・」
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
「はずかしーな・・・///」
「はずかしいですの・・・///」
頬を炎ポケモンのように赤くしながら、彼女らは言った。
二人にとっての幸運が、ここは立ち入り制限区域であることであり、尚且つスリーパーが生息している地帯ではないことであった。
なお、湖のポケモンとの全裸修行に出向しているネモや基本的に泳げるブイズたちと広大なお風呂に一糸まとわず一緒に入ろうとしていたボタンやポケモンたちを遊びながら戦わせようとしてるアオイに遭遇するのはまた別の話である。