欲張り烏は黒くなる
魔女エリス
どうしても忘れきれない記憶。 優しい先生にあって、世界に色がついたとしても捨てられないモノクロ写真。
頑張って生きて、歩んで、それでも振り返ってしまう過去。 魔女と言われたその時から、私の人生は狂ってしまったんだろう。
その時のことは二度も話したくはないから、割愛するけど。
母は最期に、もう二度と嘘はつかないようにと言った。 あの頃の私は本当の事を言えていると思っていたから、
自分の力を分かっていなかったからその言葉の意味もわからなかった。
それからはずっと「覚えている」と
「つらい」と言うようになった。
そうしたら聞いている人には私は忘れていて幸せになっていると伝わるから。
いや、もしかしたら伝わらない本音を言っているだけなのかもしれないけど、 それは自分にもわからない。
先生にも言わない私の唯一の秘密……それは私が本当に嘘つきなことだ。
……今日も、熊野の烏が3羽死んでいるのだろう。