呪霊との戦い
スレ主好調だった。大して強くもない呪霊、術式無しでやり切れる。ひとつ誤算があるとすれば校舎内に散り散りになっていると思われていた呪霊たちのほとんどが何故か体育館に集まっていたことだが、それすら一気に叩けるという点では好都合だった。
「思ったより早く帰れそうだな、脹相!」
呪霊を殴り飛ばしながら二階部分にいる脹相へ声をかけた。脹相は返事こそしなかったが、赤血操術を駆使して浮遊する弱小呪霊を祓ってくれている。その奥にいる親玉を叩こうとした、その時だった。
「ヒィ!」
背後で男の声がしてハッとして振り返った。呪霊たちから隠れようとマットや機材の奥に隠れている大学生くらいの男を見つけ、咄嗟に脹相を見上げた。
(だめだ、脹相の位置からは完全に死角!)
その上、脹相からすれば東堂が気にした方向は“攻撃し後援すべきもの”という認識である。穿血が男に向かって飛んで行くのを見て、東堂は咄嗟に手を叩いた。
穿血の威力は凄まじい。東堂が術式を使ったこと、東堂自身が居たところに知らない男性が現れたことで脹相は混乱した。東堂は寸でで穿血を避けたが、脹相の位置からは目視出来なかった。
「葵!!」
「避けた!問題無い!!」
すぐに体制を建て直した東堂は一般人を守りながら呪霊を祓い続けた。
最後の一体を祓うまで、脹相は動けなかった。