君と私の帰る場所

君と私の帰る場所


ん……

ここは…


ガチャ

!!…誰!?


(…この気配まさか)


……なんで君がいるのさ

…私、死んだんじゃなかったの?


…あの後全力で里に帰って医者に見てもらってなんとか一命を取り留めた?


そう…なんだ…



…ねぇ


なんで…なんで助けたりなんかしたの?私にはもう生きる…生きる気力なんかないんだよ?

行くあてもないし、見ての通り体もボロボロでさ…


それに最後に…君に気持ちも伝えられたし、ほんとに満足なの

今だってなんとか起き上がれてる状態なんだ…私、しばらくは寝たきりじゃないとダメなんでしょ?


はは…だよね…


だからさ、せっかく助けてもらったのに申し訳ないけど……


え、ここに住めばいいって…?


あははは…すっごくありがたい申し出だけど、お断りするよ


今の私の状態、わかるでしょ?

一緒にいたらその…お世話とか大変だよ?

それに君、とっても腕が立つハンターじゃない、この先も色んなとこに行って色んな人を助けると思うんだ

…だから私みたいなのがいたらきっと…いや、絶対迷惑かけちゃうからさ




…生きたいよ


……生きたいに決まってるじゃん!


でも…こんな体で外に出たらすぐ野垂れ死んじゃうし、だからって寝たきりのままお世話になって君に負担なんかかけたくないの!


君に…迷惑かけるくらいならさ、綺麗な場所とかで死んだほうが、私は…




…え、助けたお礼?


そう…だね、ごめん忘れてたよ

だけど、寝たきりの私にできることなんてあるかなぁ

まあいいや、とりあえず言ってみてよ

できそうだったら喜んでやらせてもらうから





『             』





…ほんとずるいよ…君は


そんな…こと、言われたら…さ



…こと゛わ゛れ…ない゛し゛ゃん…!



…グスッほんとに、いいの?それで…


うん…ごめんね、何回も聞いちゃって



私頑張るから…その…よろしく、お願いします…


────────────────












おかえり、今日もお疲れ様

怪我は?

あはは、さすがだね

私もちょっと手当できるようになったから、少しは怪我してきてもいいんだよ?

…冗談、健康が一番だよ


私?

そうだね、壁に寄りかかりながらなら歩けるくらいにはなったよ

普通に歩けるようにはまだかなりかかると思うけどね


…いやだから、目は元から見えないんだってば、確かにちょっと違和感はあるけどさ

でも全然不自由じゃないの、わかった?


全く…毎回聞いてくるよね目の具合、なんで?

一緒に色んなものを見て回りたい…か

確かにそれは私もしたい、けど……もう!今まで見えないこと気にしてなかったのに!


でも大丈夫だよ、君が毎日色んなお話聞かせてくれるからね

それで十分だから……いや歩けるようになったら一緒に出歩いたりしたいけど



あ、お腹鳴った

あははは!帰ってからずっと話してたもんね

うん、行ってらっしゃい…あ、私はもう食べたから、私の分は大丈夫だよ

…一緒に食べたかったの?

じゃあ、明日からなるべく君と一緒に食べるようにするね

…さすがに君が狩りに行ってるときは無理だよ?


ほら、待ってるから早く行って来なよ



ー彼の家、というか部屋?に住まわせてもらってもう四ヶ月ほど

ー彼は毎日…まあ彼の部屋なんだから当然なんだけど、私に話しかけてくれた

ーお医者さんの治療のおかげもあって、心身共にかなり健康になってきた

ー体に異常を感じてから、まるで生きる意味を見出せなかった私だけど…今はもう彼のために生きる、これが私の全て

ー寝たきりなのに何言ってるんだって感じだけど、彼は私を必要としてくれている…だから私は、全力で応えるだけ


まあ、そう決心したのは彼が私に望んだある“お礼”がきっかけなんだけど




ほんと、あんなこと言われたら断れないよね








『俺の帰る場所になってほしい』

”渾沌に呻くゴア・マガラ“


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