同棲キタちゃん 1月14日編
「キタサン、今日が何の日か知ってるか?」
「……今日? え〜……何だろう……何かあったかな……?」
「今回のはあんまり馴染みはないから難しいかもだな」
「う~ん……あっ! あれがあったか!」
「おっ……分かったのか」
「左義長……ですね……!」
「えっ……? あ、あっ〜……それもあるのか……」
「あれ? 小正月に行われる火祭りの行事とは違うんですか……?」
「ごめん、今回はそれじゃないんだ。祭り好きのキタサンならそっちが思い浮かぶよな」
「それなら今日は何の日なんです?」
「今日はマンリーデーなんだ」
「まん……りー……?」
「マンリー。男らしいとか勇気のあるって意味らしいぞ」
「なるほど……それでマンリーデーってなんですか?」
「マンリーデーは男たるもの女性よりも先に想いを伝えるべきだって考えから生まれた日……らしいぞ」
「男たるもの……そうなのかな……?」
「まぁこれは1つの考えだろうから、そんなに気にしなくてもいいと思うよ」
「むう……」
「話を戻すよ。さっきも言ったように男からって考えだから、バレンタインよりも早く設定されてるんだ。ほら、バレンタインって多くは女性から男性に告白したりプレゼントしたりするだろう?」
「ああ〜……だから1ヶ月前の1月14日なんですね……」
「みたいだ。それとマンリーには勇気あるって意味もあるだろう? だからバレンタインみたいな義理や友チョコみたいな広い意味じゃなくて、本命に向けて心を込めて物を贈るって意味がある……とのことだ」
「なるほどなぁ……」
「だから俺から君へ贈り物をしたいと思います」
「うえ!? ま、まぁさっきの流れを考えたらそうなのかもですけど……。こ、心の準備が……」
「先ずはこれかな」
「これって……真珠の……?」
「ああ。いつもつけて欲しいって思ってな」
「……し、真珠のアクセサリーを贈る意味を知って――」
「当然だよ。だからこれを贈るんだ」
「……ぁぅぅ」
「それと……」
「ま、まだあるんですか……? も、もう十分ですよ……」
「……」
「わっ! い、いきなり抱きしめ――」
「いつもありがとうキタサン」
「ふぇ……」
「こんな俺と一緒にいてくれて……本当に幸せだよ」
「……」
「これからも一緒にいて欲しい……」
「……ずるい」
「キタサン?」
「こ、こんなに……沢山貰ったら……どう返していいのか……分からないです……」
「キタサンらしいけど返すとかは気にしなくてもいいよ。大切な気持ちを贈る日なんだから」
「だ、駄目です! 返さないとあたしの気持ちが収まりません! だから!」
「だから……?」
「来月! 来月にはしっかりと返します! これ以上のものをしっかりと返すために!」
「……」
「か、覚悟してくださいね! お助け大将のお返しはとんでもないんですから!」
「……あはは。うん、期待してるよ。だけどそうなったら、2ヶ月後は君が覚悟する羽目になると思うけどね」
「むぅ! そこはお返ししないでも良いんです!」
「そうはいかないだろう。なんのためのホワイトデーなんだ」
「そうですけど……むぅぅ……! それならお返しできないくらいのものを用意します! これならどうですか!」
「あ、煽った俺が悪かったよ……そんなに大きなものは用意しないでくれ……」
「そうはいかないです! あたしの想いだって……あなたと同じくらい大きいんですからね♪」