可哀想な方の正実モブ

可哀想な方の正実モブ


「うーん。真っ暗な画面、うちを避ける。……確かにおかしいっすね」

「そ、そうなんです!何も点いてない画面見て、顔真っ青にして何処か行っちゃって!」

「ええ、私に話しかける前にも、何か言いたそうにしていましたし。それだけならまだしも何もない画面を見て出ていくとなると……」

「……わかったっす!ありがとうっす!ちょっと探しに行ってくるっす!」



愛銃に両足首を縛り付けられ、無理やり股を開かされる。後ろ手に手錠を掛けられその鎖は縄で銃と括り付けられており、膝立ちで身体を反らせ後頭部を木箱に押し当て、無防備なお腹を突き出している状態だ。

今の私は射的の景品。上着を咥え、腹部を露出し、ここを撃ってくださいと言わんばかりに強調させたお腹にゴム弾がめり込む。

「ふっ、うゔ……♡」

既に幾度となく懲罰を受けた腹部には満遍なく円形の充血や青痣が広がり、その上から更に重ねて新鮮な罰の印が刻まれる。

発砲音と痛みと振動。教え込まれた、覚えさせられた気持ちのいいこと。心は罰して欲しいのに、身体は痛みに怯えて整合性を保つために快感だと勘違いする。

「んぐっ♡ん゛んっ♡」

興奮した身体は粘性の高い唾液を分泌し咥えた制服が濡れ始め、スカートは既にぐしょぐしょだ。腰が跳ねるたびにお尻と床の間で水音が鳴る。またゴム弾がめり込む。これで20発目。

ガシャリ、とリロードの音が廃工場に響く。私は目を瞑り、衝撃を備える。空になったマガジンが、腹部に投擲された。

「あ゛っうぐ……♡おお゛おっ♡」

マガジンは下腹部を大きく歪ませ一番の弱点を刺激し、迸る快感に視界が真っ白になる。堪えようなんて意思はシャボン玉の方に弾け飛び、ぐるりと白目を剥いて獣のような声で喘ぐ。

身体が痙攣するのに合わせ脚を拘束する銃がガチャつき、ぺちゃりと床にお尻を着けて蹲るようにして溢れ出る快感をなんとかやり過ごす。息をついてまた体勢を戻そうと顔を上げた瞬間。

「あれ、せんぱ……」

見えた。見えてしまった。壊れた壁材の隙間から、頼りになる先輩が、みんなに優しい先輩が、先生と一緒にすぐそこを歩いているのを。

あまりにも唐突で思わず私は制服を口から離してしまう。しまった。

私はおもちゃじゃなきゃ、楽しませなければ、知られてしまう。教えられてしまう。もうたくさんだ。

「ご、ごめんなさい……ごめんなさい!私、まだできます!おもちゃになれます!まだ頑張れます!だから、お願いします!もう一度!もう一度私で遊んでください!」

動けない体で思いの丈を伝えようと拘束をガシャガシャと鳴らし必死に頼み込む。言い終わってから声の残響が消えてしん、とする空間に、はっと我に返る。

隙間から、淡い青の瞳がこちらを覗いている。綺麗な、とても澄んだ、美しい瞳。

ああ、ダメだ。やめて。こんな所を貴女に見せるために生きてきたわけじゃない。突き放さなきゃ。追い返さなきゃ。見ないでと、目を背けてと。こんな汚れた人間に、貴女が時間を割く必要はないと。言え、言うんだ。

絶望と羞恥と、まだ心の底に残る矜持がこれ以上の醜態を晒すなと語りかける。そうして嗚咽に混じって絞り出した微かな声。

「助けて……」

……思ってもいないことを言うな。私は正義の味方だ。誰にも弱いところなんて見せちゃいけないんだ。

「たすけてください……」

弱音なんて吐いちゃいけないのに、泣き言なんて言っちゃいけないのに。

「たずげでイ゛チカせん゛ぱい!!たすけでせん゛せ゛ぇ゛!!」

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