受精するところ見ててね♡

受精するところ見ててね♡



「陽一くんの、はいっちゃった…」


艶っぽくもか細い声で、俺の上にゆっくりと腰下ろした彼女は、自分の下腹部を抑えて、先っちょはこの辺かな?と愛おしくなぞっている。


「い、いいんちょ、それは不味いって…」


溶けそうなくらい熱く、柔らかい。

俺は脳を掻き乱す無茶苦茶な快感に抗いながら、頑張って声を出そうと喉を搾りだすが、幸せそうな表情のまま膝立ちでゆっくりと動く彼女の痴態に、理性がぶっ飛びそうになる。


「動いちゃダメだよ?」


旅館特有の薄暗い照明の下、はだけた浴衣から覗くスレンダーな肢体、慎ましいが形の良い乳房の先端が、興奮でいつもより自己主張してるのがわかる。

このシチュエーションもあって、今の彼女はとにかく無茶苦茶エロい。

そのうえ、俺たちの”接触”を阻む筈のそれは、今し方彼女のお口で上手に外されシーツの脇に転がされていた。


「陽一くんの、いつもよりすごくて、わたしの中、ぱんぱんになってるよ…陽一くんもわたしと子作りしたかったのかな?」


だったら嬉しいなぁ…と頬を染めながら腰を弓形にくねらせる彼女の濃密な責め…

俺は人生初めての子作りえっちの猛烈な快楽から逃れるべく、過去の記憶を辿る。

今はまずい、少なくとも“今日”は…


◇◇◇◇◇


俺の恋人、星野 昴(スバル)は所謂「断れない女子」という奴だった。

その性格故に学校でクラス委員に選ばれたり、掃除を頻繁に代わったり、大して仲良くない奴に勉強を教えてあげたり…多分クラスに1人くらいは居るであろう、そんな子だった。

最初は、そんな貧乏くじを引く委員長が気になったとか、そんなご大層なきっかけではなく…急な予定で来れない俺の友人達の代わりに、近場の山へのハイキングに付き合って貰おうと思ったのがきっかけだった。

酷い話だが、当時俺も彼女を断らないと踏んで誘った訳だ。正直、我ながらサイテーな奴だと思う。

でも、委員長は意外にも喜んでついて来てくれて、山の山頂から見える俺たちの街の事を色々教えてくれた。


「伊吹君も、たまには図書館とか行ったら良いよ」


知らない事、たくさん教えてくれるよ。と笑った委員長は最初の地味なイメージとは見違えるくらいに、とても可愛いかった。

その時から俺は、委員長の事が気になってしょうがなくなってしまった。周りの連中からは散々茶化されたが、そんな友人達は皆、俺の恋を心から応援してくれた。

幸運にも委員長も俺のアプローチに満更ではなかったみたいで、俺たちの馬鹿騒ぎには時折顔をだしてくれる様になった。

この頃から委員長は少しづつ、皆の前で笑顔を見せる様になった。


そんなある時、委員長の「断れない癖」を利用して、…とにかく“最悪に酷いこと”をしようとした奴が居て、その時委員長は俺の名前を出して、初めて何かに対してはっきりとNOを突きつけた。

委員長はその後何故か泣き出して、俺に謝ってばかりだったから、


俺はその場で委員長に告白して、俺たちは恋人同士になった。


それから俺たちは、色んなことを教え合った。

楽しいこと、難しい事…そして誰かと触れ合い、愛し合う事。

初めての時は全然上手くいかなかったが、


「あたしは陽一君が初めてで、嬉しいよ」


と、委員長が優しく笑っていたのを覚えている。

彼女が付き合って変わった事と言えば、大事な時にちゃんと自分の意見を言える様になった事だろうか?デートの場所や、旅行の行き先。ささやかだが彼女自分のしたい事をはっきり主張する様になった。

喧嘩もしなかった訳では無いが、俺と委員長は結婚を意識する様な年齢になっても、こうして一緒に居るのだった。

だが最近そのせいで、俺と委員長で意見の相違が生まれ初めていた。

それが…


「わたし陽一君の事、本気で好きだから、もう避妊はしたくないよ…」

「俺は委員長の事、本気で好きだから、結婚するまで避妊は絶対する!!」


「「………駄目?」」


といった具合の『愛の確かめ方』の方向性の違いである。

今更お互いの愛する気持ちを確かめる程の関係でもないし、この先起こる事については、大体もう覚悟を決めているつもりだ。

だが、どうしても、“そういう事”は段取りが大事だと考えてしまう。

だが一方で、彼女の気持ちもなんとなく判る。多分、欲しいと思って出来る訳ではないのが子供という物なのだ。

それに、俺との子供ができても構わないという彼女の想いは、一人の男への最大限の賛辞である、とも思う。

だがなぁ……


◇◇◇◇◇


「よーいちくん、わたしの…気持ちいい?」


…思考が現在に戻ってきた。


「無茶苦茶気持ちいいけどっ、生は結婚するまでダメだって言ったじゃん…」

「大好きなよーいちくんとふたりで温泉に行くなんて、もう子作りえっちしか考えられなくなっちゃうよ?…」


わたし、すごいどきどきしてるよ♡

やや焦点の合わない瞳で見下ろす委員長は、触ってと言って俺の手を自分の胸に寄せる。柔らかくて、無茶苦茶に熱い。無意識のうちに乳房を寄せ、持ち上げ、先端を弄ぶ。

委員長のはふっという吐息と共に内側がきゅんと引き締まった。


「今日までちゃんと我慢できたんだから、もう、いいよね?」


委員長は俺の胸板に手を当て、熱に浮かされた表情で腰の動きを強める。

欲しいよ…よーいちくんのあかちゃん…孕みたいよぉ…

そう呟く委員長の本気のピストンに、お互いの昂りを示す体液が濃密に絡まり、くちゃくちゃとねっとりした水音が部屋に響く。


「よーいちくんのがわたしの赤ちゃんのおへや、こんこんしてるから、もうこんなに降りてきちゃってるよ?」

「ダメだって、いいんちょっ…」


快楽でお互いの早まる吐息がシンクロする中、委員長が耳元に頬を寄せる。


だからわたしが受精するところ、ちゃんと見ててね♡


その囁きに、俺の本能が理性を完全に追い越してしまった。腰がっつりと掴んで、委員長、いや昴を逃さない様にする。

ふえぁっ!?と情けない叫びを上げる彼女を無視し、彼女の一番奥に目一杯突き上げる。俺が知る彼女の肉壁の一番弱いところにごりごりと押し当てると、彼女の悲鳴じみた嬌声と共に肉壁がきゅんと窄まり、子宮の入り口が俺のものをちゅうちゅうと吸い上げ始める。


「いいんちょ、やっぱり駄目なんて言うなよ!?もう遅いからな!!」

「いいよっ、だして、あたしの子宮によーいちくんのを刻んでっ、よーいちくんのでおなか、いっぱいにして♡」

「俺の子を孕め、すばるっ!!」

「っつああっ!!よーいちくんっ!!!」



俺の我慢が限界に達し、すばるの奥目掛けて欲望を解放する。

普段の射精の何十倍もの快楽が俺を襲い、汚れのない昴の子宮を俺の精液がどぷどぷと流れ込み、その肉壷を俺の遺伝子が完全に染める。

今まで体験したことのない”自分の恋人の子宮に精液を注ぎ込む“という快楽に、眩暈がするほどの支配感と充実感が全身を駆け巡る。


「はっ…はぁっ…よーいちくんの熱いのが、私の中で、びゅくびゅくっていってる…」


昴は必死に俺の名を繰り返しながら、子宮の入り口から注ぎ込まれる快楽に耐えている。彼女の肉壁が残りの残滓を吸い上げる様に、俺のも出し切る様にぐにぐにと最後までねじ込み、余韻に浸る。

快楽の大波が引くと、息を荒げる昴はとろっとろにとろけた表情で、俺のものを引き抜く。その結合部はひくひくと俺の形を名残惜しそうに維持したまま、どろりと入り口から残滓が漏れ出る。


「よーいちくん、あたし今、とってもしあわせだよぉ…」


よーいちくんとわたしのあかちゃん、出来るといいなぁ…

汗で浴衣が引っ付いたまま、荒く息をついてくったりとしなだれる彼女と、その内股に絡みついた俺と昴の愛の証明が混ざり合ったらそれがぞっとするほど淫らで、その光景に思わず硬さを取り戻す。

俺はもう彼女を、俺以外の雄が入り込めないくらい完全に染め上げたいという欲望を抑えきれなくなっていた。


「昴、俺、もっかい…」

「…陽一くん、やっと私の名前呼んでくれたね…」

軽く口付け交わし、昴は嬉しそうに微笑むと、ぎゅっと俺を抱きしめる。

「よーいち、今日はたくさん愛してね♡」



そんなこんなで、日付が変わっても、俺と昴は精魂尽き果てるまで交わりあった。

さすがの彼女も体力の限界で、シャワーもそこそこに既に眠りについている。

眠りながらよーいち、と無意識にお腹をさすっている昴の愛しさが本当に堪らない。


「順番が逆になっちまったけど…」


俺は静かにリュックの奥底にしまっておいた、手のひらサイズの小箱を取り出す。

明日は昴をハイキングに誘う予定だった。

場所はあの日、俺がサイテーな理由で誘って、その後の人生が大きく変わった場所だ。

これをそこで渡す予定だったのだが…


「色々前倒し、だな?」


すやすやと吐息を立てて眠る彼女の浴衣をなおしてあげると、並ぶ様に横になる。

明日、彼女がどんな顔をするか、正直楽しみだ。


おしまい

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