(※リョナエロ)反転まひ姦(パァン)
虎杖に口づけられる。
「んむ…ぐッ」
舌を舐られ、深く、深く。
ドクンッ
突如襲った感覚に胸が跳ねる。
――なんだ。俺の中の呪力の流れがおかしい。
掻き混ぜられる。呪力が、魂が、気持ち悪い。ぐちゃぐちゃにされ――。
「ゲヘッ」ビチャビチャ
吐血した。喉の奥から絞り出されるように、血液が溢れ出してくる。
「ゼイ…ゼイ…」
息が荒い。何をされた。今、俺は――。
「んっ――」
再び虎杖に口づけられる。口内に溜まった重い血を舐め取られ、また何かが来る。
――ドクンドクンッ
「ンぐッ」
注がれる何かによって肉体が膨張する。顔面が膨れ上がり、顔から零れ落ちそうな目玉、鼻、口、耳からプシと音を立てて血が散る。
こわれる体が、逃れようとして魂の形を変え始める。
ガタガタと勝手に暴れ出し床を打っていた指、やがて腕がぶくぶくと膨らみ肉の塊になり、そして――
「真人……やっぱりこれは苦しいか」
その途中で唇を離されたことで苦痛が止む。ゆっくりと弛緩する魂は元の形へ。
「はぁ…はぁ…」
「何か分かるか?これ」
虎杖が何か言っている。分からない。
虎杖の手が指先で俺の腹をなぞり、
「ひィぎッ」
腹に一瞬、灼けるような感触が走った。
「反転術式だよ。真人は知らなかったんだな、負の呪力でできた呪霊は、正の呪霊で掻き消される」
「……ぅあ、…や…だ…!…やだ…っ」
一瞬だったのに未だちりちりと強い余韻の残る腹部に、これから何をされるのか恐ろしくて首を振る。
虎杖の掌底が俺の腹に当てられ、どう、と強い衝撃が腹の中まで響いた。
「お゛ぐッ」ビクンッビチャッ
血を吐き出す。
腹の痺れが、激しい。
「ヒィ…ッィ…ヒュ…ヒュウ……」
上擦った声で掠れた声を上げるしかできなかった。
虎杖がそれを準備する。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ……や、ぁ…ッ」
しゃくり上げる息が荒くなる。
こんな風に手で体の外からされただけでこうなるというのに、中からされたらどうなるというのだろう。
虎杖のモノが俺に触れ、肉を押し割った。
「――あ゛あ゛ぁ゛ぁああッ!! あ゛づい゛あ゛づいあづいあづい!!」
灼けた棒に体の中を抉られているようだった。
「ゃだいやだぁああ! あづいいだいッヒギッ だずげッ」
体が中から分解される感触に、無意識に助けを求めていた。
「あ゛ッ!? じぬッ、ごぇお゛ッ」
それに対して虎杖が行使したのは、俺の腹に掌を置いての断続的な反転術式の射出。
中と外から叩きつけられる正の呪力に、俺の肉体は耐え切れない。
腹がズタズタに裂かれるのではないかという情景を描きながら、終わりを迎えるのを待つ。
終わ――
「ん……ッ!?」
唇が塞がれる。
「んー!んー! んんンン〜ッ!!」
藻掻いて腕を振り回しても駄目だった。
再び脳から直通、マウストゥマウスで最も濃い正の呪力を注がれる。
「! 〜〜!!!」バタバタビクンビクンガクッガクッ
体が意思と関係なく跳ね上がる。――死ぬ。死ぬ。祓われる。
鼻からダバダバと血が溢れ、目からも流れ落ちる。
死ぬ、死ぬ――。
そのまま……、あ。
爆ぜる呪力の“起こり”を腹の中で感じ取った。
それに恐怖を覚える暇もなく、それは弾けた。
――ばん。
「――げひッ!? び、」
音を立てて腹が破れた。
腹の中心がくり抜かれたように破け、残るのは断面からこぼれる肉塊と、覗く肉棒だけだ。
一応、かろうじて、上半身は下半身と繋がっている。
下腹部は丸ごとないと言った方が近い状態だったが。
「はッ……くはヒッ…ヒュ…は」
呼吸にもならない息をする。
がらんどうの腹に風が通り抜けるようだった。
勝手に眼球がぐるりと上へ向き、そのまま俺の意識は途切れた。