力強き星の大切な今
モテパニ作者はな「また拓海くんと会えなかったー、どうしてなんだろう。ねー拓海くん」
C拓海「そうだなぁ…聞いてる限り野乃に落ち度がある感じでも無いし、あっちの俺がわざわざ野乃を避けてるとも思わないしな…」
エレン「なにこのシュールな会話」
最近たまに加音町に来るようになったはなの話を調べの館でC拓海は聞いていた。
拓海に会えない話を拓海にするという一見訳の分からない行動だが、拓海が二人いて片方に会えず片方に会える訳の分からない状況なのだから仕方ない。
そして当人のはなとC拓海にとっては二人は明確に別人なので当人同士は混乱しないのだ。
はな「あ!そーだ、もうすぐほまれの誕生日があるんだけど拓海くんとエレンちゃんも来る?」
C拓海「輝木の?」
エレン「私たちが行ってもいいの?」
はな「もっちろん!パーティは人数が多い方が盛り上がるしね!でもおいし〜なタウンの子達は呼べないから…」
エレン「そりゃまたなんでよ?」
はな「ほまれが言うには…」
ほまれ『みんなには悪いけどみんなが、ていうか拓海が来るとはなが来れなくなっちゃいそうだからさ、勝手だけど私はなにお祝いしてもらいたいからおいし〜なタウンの子達には遠慮してもらおうと思ってる。はな達の事は考え過ぎって言えないし』
はな「だって」
エレン「もう会えないのは確定で動いてるのね…」
C拓海「ほんとに野乃とあっちの俺ってどうなってんだろうな」
拓海と会えないはな。
普段拓海とはなの様子を目撃していない加音町のみんなからしたら実感が無いのでなんとも奇妙に聞こえてしまう。
いや、当事者からしても奇妙だが。
C拓海「どうするエレン?」
エレン「いいんじゃない?響達も誘っていい?」
はな「もちのろんだよー!さあ!ほまれの誕生日みんなで盛り上げよー!」
〜〜〜
『ほまれ(輝木)(ちゃん)(さん)誕生日おめでとー!』
ほまれ「ありがとみんな」
そして後日、スイートチームも交えてほまれの誕生日が祝われた。
アンリ「おめでとう、ほまれ」
ほまれ「ありがと、アンリもクリスマスといいそんな身体でよく来てくれたよね」
アンリ「もうだいぶいいよ。それにいざという時は頼れる親友がいるしね」
正人「アンリのことは僕に任せてくれ」
えみる「頼もしいのですお兄様」
チャラリート「ウェーイ!盛り上げていちゃっおうぜー!」
ダイガン「私がパーティを5分で盛り上げてみせるわ!」
あきじゅん「「きゃー!チャラ君素敵ー!」」
ダイガン「私は!?」
パップル「はいはいオールドがヤングを僻まない」
さあや「頑張ってくださいね、ダイガンさん」
はぐたん「がんばえー」
ルールー「奏のカップケーキ、とても美味しいです」
響「でしょー!奏のカップケーキは最高なんだから!」
奏「まさか響以外にもこんなに食べる子がいたなんて…多めに作ってきたのにもう無くなりそう…」
トラウム「いいねールールーちゃーん。さいこーの笑顔だ!さあ撮るからこっちに笑顔をちょうだーい!」
ルールー「お断りします」
トラウム「ルールーちゃーん!お父さんから逃げないでー!」
アコ「………」
ことり「調辺さんどうかしたの?」
アコ「ううんなんでも。それからアコでいいから。そっちの方が年上なんだし」
ことり「そう?じゃあアコちゃん」
アコ「…できればちゃん付けも勘弁して」
ひなせ「へえ、加音町に住んでるんだ。なにか楽器もやってるの?」
C拓海「いちおう前にベースやってたけど、加音町に住む前身辺整理して楽器無くしたから今新しいの手に入れるために貯金中。加音町に興味あるってことは阿万野もなんかやってるのか?」
ひなせ「僕は吹奏楽でトランペットをね。…ところで野乃さんと品田くんってどんな関係なのかな?」
C拓海「(あーこいつ野乃を)言っとくが俺彼女いるぞ。もちろん野乃じゃない」
ひなせ「そ、そうなんだ!」
はな「拓海くんとひなせくんなに話してるんだろ?」
エレン「さあね」
各々会話を繰り広げていきパーティは大いに盛り上がりを見せる。
そんな中…
ハリー「よっ、おめでとさん」
ほまれ「ハリー。さっきも聞いたよ」
ハリー「こんな日にはおめでとうなんて何回言ってもええやろ。おめでとうなほまれ」
ほまれ「うん、ありがと。…ハリー達にお祝いしてもらえるなんて思ってなかったなぁ」
ハリー「まあせやろな。本当なら俺らはもう未来に帰っとるはずやったからな」
ほまれ「うん…」
ハリー「ほまれ、俺らはいつか帰らなあかん。いつまでもはおれん。来年はもうおらへんかもな」
ほまれ「……」
あまり考えたく無い未来を告げられほまれは黙るが、ハリーはそんなほまれの頭に手を置く。
ハリー「せやから今日はこの先の一生分の思い出作らんとな。今日だけやのうてこれからな」
ほまれ「…言うじゃん、ねずみのくせに」
ハリー「ねずみちゃうわ!…ったく、ハリーさんけっこうええ事言うた思うで?茶化さんといてや」
ほまれ「(しょうがないじゃん…茶化さなきゃ顔もまともに見れないよ)」
赤くした顔を隠しながらほまれはハリーをこづいた。
響「ほまれー!そんな隅にいないでこっちに…むぐっ!」
奏「響!あれは邪魔しちゃいけないやつ!」
事情をよく知らずほまれに呼びかけようとする響を奏が止める。
こういった場面でものを言うのは恋愛の経験値か…
チャラリート「パーティの主役独占は無しっしょー!」
はな「やめてー!ほまれの大事な時間なのー!」
空気を読まずいつものごとくハリーへ対抗心を持って突撃しようとした者もいたが、なんとか止める。
誰も混じれない二人の空間、かと思われたが、二人は"彼"の存在に気づいた。
ビシン「ハリー…」ギリギリギリギリ
リストル「落ち着け、ビシン」
ほまれ「あ…」
ハリー「ビシンとリストルやないか。いつの間におったんや?」
リストル「つい先程だ。ビシンの踏ん切りがなかなかつかなくてな。ほら、ビシン」
ビシン「………」
リストルに促されビシンは無言のままほまれの前に立つ。
ビシン「……………おめでとう」
ほまれ「!…ありがとね」
ビシン「ふんっ」
その態度はおおよそ誕生日の主役に対して向けるものでは無い。
だが、これでいい。
ほまれとビシンの2人には小さくとも大きな前進だった。
ハリー「よっしゃこっからが本番や!ビシンも盛り上げてや」
ビシン「はぁっ!?なんでボクが!義理は果たしたんだからこのまま…」
リストル「そう言うなビシン。いい機会だからオレ達以外とも仲良くしておけ。なにもオレ達から離れろとは言わん」
ほまれ「そーそー、試しにほまれさんと仲良くなっときなって。前にも言ったけどわたしあんたを嫌いじゃないよ?」
ビシン「うるさい!ハリーの真似してきてんじゃないよ!」
ほまれ「………別にそんなつもり無かったけど」
ハリー「ほまれも俺に影響されてもうたか?罪な男やで俺も」
リストル「…そうだな、お前は極悪人だ」
こうしてほまれはいつまで続くかわからない"今"を楽しむのだった。