前スレまでのまとめ1
「お兄ちゃんほら、もっと寄って!」
「お、おい……」
人で賑わうショッピングモール。三人の男女が何やら固まっていた。
一人はカレンチャン――カリスマウマスタグラマーにして、名スプリンター。
一人は神代凌牙――ソードオブロゴスの剣士にして、彼女のトレーナー。
一人は神代玲花――同じく剣士にしてトレーナーであり、凌牙の妹。
以上三名は本日休日ということもあり、カレンチャンの頼みでショッピングに訪れていた。
そこで早速、カレンチャンが凌牙らを巻き込んでスリーショット写真を撮影しようとしていた、という訳である。
かつては剣士一筋の生き方をしていた凌牙は、慣れない写真撮影に困惑しつつ――シャッターが切られた。
さて、と写真を確認するカレンチャン。そこにはばっちりとポーズを決める彼女に玲花と――
「お兄様……その。笑顔がちょっと……」
「う、うるさい!だいたいこういう浮ついたことはだな……」
ぎこちない笑顔を見せる、凌牙の姿。照れ隠しか抗議をする彼だったが――
「ええ~?カレンはカワイイと思うけどなぁ。お兄ちゃんの素がそのまま活きてて」
「カレン!?お前まで……」
「ダメ?」
「ムゥ……」
瞳を輝かせ、上目で彼を見やるカレン。そんな彼女の姿に押され、押し黙る凌牙。
「……お前がいいなら、それで構わん」
「やったぁ!ありがとうお兄ちゃん!」
早速その写真をウマスタグラムにアップするカレンチャン。そんな姿を眺めていた玲花は、以前より俗世に馴染んだ兄の姿に微笑む。しかしそんな中、彼女はある違和感を感じていた。
「……おかしいですね。こんな場所だと、普段ならすぐに騒ぎになっていてもおかしくはないはずですが……」
彼女が感じた違和感――それは、カレンチャンの存在そのものにあった。
『Curren』という名でウマスタグラムの女王と言っても差し支えのない人気を誇る彼女には、とてつもない数のフォロワーがいる。
人の多いショッピングモールであれば、彼女の存在に気が付いたファンが集まってくることが殆どなのだが――今日は誰一人として来ない。
その答えは――すぐに分かった。
「何あれ!?着ぐるみ?」
「すごーい!喋ってる!どうなってるの!?」
遠くの方から聞こえてくる、人々の声。なにやらイベントでも行っているのだろうか?
そう思い、人だかりの中からのぞき込む三人。
その中心にいた人物たちと目が合い、凌牙と玲花は目を丸くする――
そして、一人の青年が叫んだ。
「あーーーっ!もしかして凌牙!?久しぶりゼンカーイ!」
《仮面ライダーデュランダル&サーベラ×ウマ娘プリティーダービー》
《特別章 奇カイな再会、妹の誓い。》
それからしばらくして、おしゃれな雰囲気のカフェテリア。
「それにしても、また凌牙に会えるなんて!あっ!俺、パフェで!」
元気な口調で話すのは、件の青年――名を五色田介人。
そして、喋る着ぐるみとして話題になっていた四人――
「んじゃ俺はコーヒーで」
異世界『キカイトピア』の住人、赤いキカイノイドのジュラン。
「僕ケーキで!」
同じく黄色いライオンのような姿のガオーン。
「私は、うーん……どれも美味しそうで悩みますね!」
眼鏡をかけた青い姿のブルーン。
「ブルーン遅いっすよ!あっ自分は柏餅で!」
桃色の女キカイノイド、マジーヌ。
「ちょ待てよマジーヌ、今柏餅って言わなかった?」
「大丈夫っすよジュラン、今回は柏餅中毒じゃないっすから」
「あらそう?二度あることは三度あるって言うからよ……まぁいいや」
「ねぇねぇ、あなたたちのこと、カレンもっと知りたいな!」
「おっ、聞いちゃう?」
そう言って会話を始めるカレンチャンとジュラン。
そんな二人とは別に、凌牙へガオーンらが話しかける。
「でもでも、耳と尻尾がある人間ちゅわんなんて僕始めて見た!」
「ウマ娘……だっけ?凌牙の世界も、俺たちの世界みたいだね!」
「意識したことは無いが……そういうものか」
「ウマ娘とは何なのですか?人間とはどう違うのですか!?私たちの知るうーー」
「ア゛ァァァ――ッ!駄目っチュンブルーン!それ以上は禁句っチュン゛ン゛!」
「あーはいはいブルーン、ちょっと頭冷やそうねー」
「ちょっと痛い、痛いんですが!?」
ブルーンの言葉を遮り、叫ぶ鳥型メカセッちゃん。彼はブルーンをつつき、ガオーンと共にいったん店を出てゆく。
「全く、相変わらず騒がしい奴らだなお前たちは」
「でも、面白くていい人たち!お兄ちゃんにこんなお友達がいたなんて、ちょっとビックリ」
「ともっ……ウウム……」
言葉を濁す凌牙。そんな中、介人が二人へと話しかける。
「そうだ、後で写真撮ろうよ!いい?」
「もちろんオッケー!」
「やったぁ!感謝ゼンカイ!」
そうしてカフェテリアを出た後。八人は集まり――
「ハイ、ゼンカイ!」
一枚の写真を撮っていた。
その頃、街中では――
「んだお前!変なカッコしやがって!」
「ここいらはうちらのシマなんだよ!」
不良風のウマ娘たちが、何者かへ突っかかっていた。その相手は――
「ふっふっふっ、威勢のいい小娘どもだレーサー!なら、俺と勝負だレーサー!」
機械の身体をした、謎の怪人であった――
・
「失踪事件……ですか」
「はい。最近頻繁に起こっていまして……」
それから数日後のトレセン学園理事長室。神妙な面持ちで話すのは、理事長代理である樫本理子。彼女もまた、名トレーナーである。
学園上層部として仮面ライダーの存在を知らされている彼女は、凌牙と玲花に相談を持ち掛けていたのだ。
「それに何名か、生徒もいなくなっています。警察にも届をしていますが、中々進まず……貴方たちにもお力を貸していただきたいのです」
「わかりました。我々にできることならば、協力は惜しみません」
「ご協力感謝します」
話を終えた二人は理事長室を後にし、校内を歩いていた。
「それにしても、奇妙な事件ですねお兄様」
「ああ。被害者が失踪したその場にトロフィーのようなものが残されていた、とのことだが……どうもメギドの仕業とは思えん」
「何故ですか?」
「ここ数日、ワンダーワールドの広がる反応は一切なかった。それにメギドの仕業なら、ソードオブロゴスから連絡が入るはずだ」
「……議論をしていても仕方がない、か。レースも近い。ここは一旦、互いにトレーニングと調査を交代していくことにする。」
「はい。それにしても変わりましたね、お兄様も」
「どこがだ」
「昔のお兄様なら、トレーニングのことは一切気にせず調査だけをしようとしていたでしょうから」
「フン……」
そんな会話を交わしながら、トレーナー室へたどり着く二人。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「待たせたわねカレン。今日は……」
会話を交わす玲花とカレン。そんな二人の『妹』を見守りつつ――凌牙は思う。
この日常は、必ず守ってみせると――
一方その頃、どこかのビル。
「……ここね」
この場所に訪れた人影がふたり――ウマ娘の妻と、その夫。
彼らはドアにかけられたプレートを目にし、ノックする。
そこには、こう書かれていた―――
『涼村探偵事務所』――と。
・
「ヨホホイヨホホイ、ヨホホイ、ホイ~俺は界賊、弟探して宇宙から府中へ~」
陽気な唄を歌いながら歩く、派手な衣装に身を包んだ一人の男。
彼の名はゾックス・ゴールドツイカ―。海賊だけが住まう『カイゾクトピア』の出で、当人もまた海賊である。
最も、並行世界を渡り歩く『世界海賊』――略して『界賊』を自称しているのだが。
彼は三男であるリッキー・ゴールドツイカ―が次男カッタナー・ゴールドツイカ―と兄弟喧嘩を起こし出て行ってしまったため――捜索に出ていたのだ。
ちなみに普段から海賊行為に躊躇のない彼であったが、この世界に介人達の世界――『ゼンカイトピア』に似た雰囲気を感じ、今回は大人しくしていることにしたらしい。
「俺は界賊、弟探して府中から……海岸へ」
そんなゾックスがたどり着いたのは、人で賑わうビーチ。彼は顎に手をやり、考える。
「ちょっと遠くに来過ぎたか……?」
「ん?」
そう呟いた時。彼は小屋のような場所の周囲に騒がしい人だかりを見つけ、近づいてみることにした。
そこには――
「オイオイもう終わりかよ!だれかこのゴルシちゃんに挑む奴はいねぇのか!?」
法被にヘッドセットのようなものをつけた、長い芦毛のウマ娘が腕を組んで立っていた。
周囲の人々は「強い……」やら、「勝てる気がしない……」などと口にしている。
「へぇ、勝負と聞いちゃ黙っていられねぇな」
海賊――もとい界賊の性分か、勝負事となると興味が湧くゾックス。
彼はゴルシちゃんと名乗るウマ娘――ゴールドシップの下へ近づくと、声をかけた。
「よう姉ちゃん。勝負って一体なんのことだ?」
「おっ、聞くかど派手な兄ちゃん!それはな~」
そう言ってゴールドシップが指し示したのは――
「……焼きそばぁ?」
焼きそばを作るための鉄板であった。
「おう!誰が一番うまい焼きそばを作れるかの勝負だ!」
勝負の内容とは、なんと焼きそば作りで勝負あった。ぽかんと口を開け、暫し固まるゾックス。
そして咳払いをし、踵を返す。
「くっだらねぇ。何かと思えばお料理かよ。勝手にやってな。サラバーイ」
そんなゾックスの言葉に――ゴールドシップはにやりと笑った。
「へぇ~、逃げんのか?いかついのは格好だけかよ、兄ちゃん」
「何だと?」
カチンときたのか、振り向くゾックス。そして彼は言う。
「この俺を煽るとはな。面白れぇウマ娘だ、お前名前は?」
「アタシはゴールドシップってんだ!兄ちゃんこそ何て言うんだ?」
「ゾックス。ゾックス・ゴールドツイカ―。その勝負……受けて立つぜ」
「へぇ~あんたもゴールドってのか……奇遇だな!んじゃ審判探さなきゃだな……おっ!」
ゴールドシップは人ごみの中に一人の男を見つけ、近寄ってゆく。
それは濃い茶色の皮ジャケットを纏い、つばの広いハットを被った男。
「おーいそこの兄ちゃん!」
「え?あっ俺か?」
「そうそう、そこのラムネ持ってるあんただよ!ちょっと頼みがあんだけどさ!」
「頼み?」
「そそ、ちーっと勝負の審判役探しててさ!頼まれてくんね?」
「別にいいが……何の勝負だ?」
「焼きそば作り!」
にかりと笑い、そう言うゴールドシップ。
ラムネを持った男は「焼きそばか……」と呟くと目を閉じ、暫し黙る。
そして目をかっと開くと、告げた。
「悪いが俺にはできない」
「え~、何でだよ」
頬を膨らませ、ブーたれるゴールドシップ。男はなぜなら、と続けた。
「焼きそばと聞いちゃ、俺も黙っていられないんでな!宇宙一上手い焼きそばを見せてやるぜ!」
「おっ、まさかの飛び入り参加かよ!いいぜ!三つ巴としゃれこもうじゃねぇか!」
「おっしゃあ!紅に燃えるぜぇぇぇぇ!」
そう言って自由な奴らは、小屋へと駆け出した――
一方トレセン学園。そこに彷徨う、一つの影あり――
「うう、つい勢いで飛び出しちまったけど、ここどこだよ~」
古代文明の遺跡のような装飾の青い鎧を身に纏う、二頭身の何者か――その名をリッキー・ゴールドツイカ―。ゴールドツイカ―一家の末っ子である。
兄のカッタナーと喧嘩をし戦艦、クロコダイオーを飛び出した彼は迷いに迷いて、トレセン学園へたどり着いていたのだ。
家族と離れ離れになってしまったということと、あまりに些細なことで兄に酷いことを言ってしまった罪悪感からすっかり元気をなくしてしまった彼。
もはや飛ぶことすらできなくなり、その辺のベンチへと着地する。そしてしばらく座っていると――
「あれ?こんなところにぬいぐるみ……?にしてはメタリックだけど」
一人のウマ娘が彼に目をかけ、近寄ってきたのだ。髪を両サイドで団子に結った彼女の名は……コパノリッキーである――
・
樫本理子より謎の失踪事件について調査を依頼されてより数日後のトレセン学園。
そこでは、生徒にも行方不明者が出ていることもあり対策室が設けられていた。
「それで、何か進展はありましたか?」
尋ねるのは樫本理子。気が気でないのか、その頬には一筋の汗が伝っている。
玲花は言う。
「ここ最近、立て続けに怪物騒ぎが起きているということは調べが着いたのですが……どれも証言がバラバラで」
「と、いうと?」
「それが……怪物の姿がどの証言でも一致しないんです」
ある一人は、それは牛のような怪物だと話した。
ある一人は、それは鳥のような姿だと言った。
またある一人は、それは猫のような女のバケモノだったといった。
そしてまたまた一人は、狼のような姿だと言っていた。
そしてまたまたまた一人は、熊のようだと言っていた。
どれもてんでバラバラで、統一性のない証言。しかし皆、冗談を言っている風でもなかったらしいのである。
ますます深まる謎。頭を悩ませる面々――
「たたた、大変っチュン~!」
そんな折、対策室へと何かが飛んできた――セッちゃんである。
どうした、と問う凌牙。
「みんなが……!みんながいなくなっちゃったっチュン!」
「何だと!?何故だ!」
「それが……ワルドの仕業ってことまではわかったんだけど、それ以上のことは……ごめんっチュン」
「くっ……だが、貴重な情報だ……今はそれだけでもありがたい」
「しかしどうしましょう……また容疑者が増えたのでは?」
ううむ、と唸る凌牙。すると――
「ピーガガガ!ピーガガガ!」
「ひっ!?」
セッちゃんが突如奇声を上げ、目から映像を投影し始めたのだ。驚く理子。
そこに映っていたのは、何処かの病室であった。
「あー、聞こえてるか?どうも、ジュランです」
そこに映っていたのは――ジュラン。彼はベッドへと横たわりながら、セッちゃんを通して凌牙達へと通信を行っていたのだ。
「いったい何があった?お前たちがそう簡単に負けるとは……」
「それなんだけどよ……」
悔し気に口を開くジュラン。曰く、こんなことがあったと語る。
「ふっふんふーん♪いやぁ、ゼンカイトピアに負けず劣らずのいい世界だなぁ。平和だし、何よりウマ娘ちゅわんもいるし!ただでさえ素敵な人間ちゅわんに、耳と尻尾がついてるなんて、もう最高だよ!」
「ガオーンお前……だいぶアウトラインスレスレだぞその発言」
あれから数日が経ったが、滞在を続けていたゼンカイジャー一行。
占いを好むウマ娘がいると聞き、会いに行ったマジーヌ。
この世界の歴史を知りたいと図書館へ向かったブルーン。
この世界ならではのお土産を探しに行った介人。
そしてウマ娘をもっと見ていたいとあちこちを散策するガオーン……と、お目付け役のジュラン。
「もー、僕を何だと思ってるのさ!」
「んー、危ない奴?」
「ええ!?どこがだよ!」
「その発言全部」
軽くショックを受け、いじけだすガオーン。
言い過ぎたと謝りつつ、彼の機嫌を取ろうとするジュランであったが――そんな時、悲鳴が響いた。
彼らは顔を見合わせ、すぐに駆け出す。そこにいたのは――
「ワ―ッハッハ!どいつもこいつも大したことないでレーサー!」
ジェットの噴出口を手足に取りつけ、目覚まし時計のような物体を胸に埋め込んだ、ウサギのような怪人であった。
その足元には、トロフィーのような物体が転がっている。
それを見たガオーンが言う。
「あれって……ウサギワルドかな?」
「いやレーサーっつってたからレーサーワルドだろアレ!」
「でも、何でまたワルドが!」
「わかんねぇけど、とりあえずぶっ倒すまでよ!」
飲み込めないながらも、レーサーワルドへと立ち向かう二人。
「「チェンジ全開!」」
彼らは『ギアトリンガー』へ『センタイギア』をセットし、姿を変える。
「恐竜パワー!ゼンカイジュラン!」
十六番目のスーパー戦隊、恐竜戦隊ジュウレンジャーを模した姿のゼンカイジュラン。
「百獣パワー!ゼンカイガオーン!」
二五番目のスーパー戦隊、百獣戦隊ガオレンジャーを模した姿のゼンカイガオーン。
「「二人揃って、機界戦隊!ゼンカイジャー!」」
二人は名乗りも早々に、ギアトリンガーから弾丸をレーサーワルドへと打ち込む。
「いででで!?何するでレーサー!」
「こっちのセリフだ!さっきの悲鳴は何だよ!」
「負け犬の遠吠えでレーサー!せっかくだからトロフィーに変えてやったでレーサー!」
「てめぇ何てことを……!」
「羨ましいでレーサー?じゃあそんなものくれてやるでレーサー!俺様は無冠の帝王なんでレーサー!」
そう言ってトロフィー……否、犠牲者を無造作に投げてよこすレーサーワルド。
地面へと落ちる前に受け止める二人。それを受け止め安全なところへと置いてから攻撃を仕掛ける二人であったが、レーサーワルドは力を溜め、叫んだ。
「レーサーパワー、解放でレーサー!」
そうするとなんと周囲の空間が歪み、二人は異空間へと飛ばされてしまったではないか。
困惑しつつ、銃撃を行うジュラン。しかし、それが効いた様子はなかった。
「あークソっ、またこういうパターンかよ!」
吐き捨てるジュラン。
ワルド怪人には、特殊なルールを満たさなければ攻撃が通用しない者がいた。
例えばヤキニクワルドというワルドは、『焼き肉を全て食べきるまで焼き肉屋から出られず、焼き肉屋内での攻撃が一切通用しない』という特性を持っていた。
レーサーワルドもまたそうであると仮定したジュランは言う。
「どうせレースで勝てって言うんだろ!?やってやるよ!」
「話が早いでレーサー!なら、そこの赤いのから俺と勝負でレーサー!」
「やってやろうじゃねーー」
彼が意気揚々と出陣しようとした瞬間――鈍い音が響いた。
「ジュラン!」
その場に崩れ落ちるジュラン。心配して駆け寄るガオーンに、彼は言う。
「こ……腰が……」
ここに来て、持病の腰痛が彼を襲ったのだ。
「んもーこんな時に!じゃあ僕に任せて!サクッと勝ってくるから!やいレーサーワルド!僕が相手になってやる!」
「おっと待つでレーサー!」
そんなガオーンを、レーサーワルドが制止する。
「何だよ!僕じゃだめだって言うのか!」
「いや、そうじゃなくて……」
レーサーワルドはジュランへ近づいていくと、何やら話し込む。そしてフンフン、と頷くと――
「クダックー」
下級兵士であるクダックを呼び出したのだ。彼らは何故か頭にパトランプを装着し、担架を抱えている。そしてジュランをそこへ乗せ、運び去ろうとするではないか。
「待てよ!ジュランをどこへーー」
叫ぶガオーンを、ワルドは抑える。そして彼は言った。
「病院でレーサー」
「……は?」
「だから、病院でレーサー。負けた奴はトロフィーにするけれど、そもそもアイツとは勝負にすらなってないでレーサー。放置はしないでレーサー。ほれ」
ワルドが指をさすと、そこにはいたって普通の病院へ運び込まれるジュランの姿が。
中継が繋がっているらしく、彼はガオーンへ向けて応援の言葉とともに弱々しく手を振っている。
「だから気にせず俺様と勝負するでレーサー!」
「ああもう……!とにかくやってやる!」
「ガンバレー……ヤッテヤレー、ガオーン……」
そうしてガオーンは彼へ挑んだのだが――敗北し、以降消息を絶ったのだという。
「……トロフィーが落ちていた、という状況にも合致します。おそらく犯人はその……レーサーワルドでしたか。その怪物で間違いないかと」
気を取り直し、情報を纏める理子。凌牙達も賛同するが、彼は一つ付け加えた。
まだ腑に落ちない点がある、と。
それは何か、と問う理子。凌牙がその答えを言おうとしたその瞬間――
《ガトリンガトリン、ガトリンガトリン》
ソードオブロゴスの剣士が持つ通信機器、『ガトライクフォン』に連絡が入った。
一言断り、それを受ける凌牙。彼は叫ぶ。
「……怪物が現れた!?場所は!……ああ。了解した、急行する」
「すまない。話の途中だが、俺達は出る。行くぞ玲花」
「はい、お兄様!」
そうして通信を切ると、彼は一言断り部屋を出て言った。
向かった先は――学園近くの広場。
「見つけたぞ……貴様らだな!」
そこにいたのは、怪物の集団――
その者たちは、牛、猫、熊、鳥、狼、そして兎のような出で立ちをしている。
「まさか、証言の怪物が別々だったとは……」
「構わん。全員粛清するまでだ!」
凌牙達はそれぞれ聖剣を構え、ライドブックをセット。そして――
「「変身!」」
そう叫ぶ。しかし、同時にある声が聞こえた――
「燦然!シャンバイザー!」
・
[オーシャンヒストリー!]
[昆虫Chu!大百科!]
並び立つ二人の剣士、仮面ライダーデュランダルとサーベラ。そしてその隣には――全身をクリスタルに包まれた、胸のディスクが特徴的な謎の戦士がいた。
「あれ?あんたらどちらさん?」
気の抜けた声で尋ねる彼に、デュランダルは返す。
「貴様こそ誰だ。人に名を聞くならまずはそちらから名乗るのが礼儀だろう」
「お兄さん、お堅いねぇー。アイツみたいだぜ。ま、いいや!」
「俺は涼村暁。んでこれがシャンゼリオンっての。どーよ、イカしてるでしょ?」
ぐるりと回り決めポーズをとる戦士、シャンゼリオン。
人間の生体エネルギー『ラーム』を主食とする闇次元からの侵略者、『ダークザイド』と戦い続けているヒーローである。
「おたくらも事件を追ってきたクチ?悪いけど、手柄はぜーんぶ俺が貰っちゃうぜ!」
「手柄だと……それでも戦士か貴様は」
「こっちにも生活がかかってるんでね!そんじゃ行くぜぇ!」
意気揚々と怪物たちへと向かっていこうとするシャンゼリオン。しかし――
「待てぃ!今我々に戦う意思はない!」
集団のうち一人、鳥のような怪人が手を振り上げ、それを制止した。
思わずずっこけるシャンゼリオン。
「何だよ!ここはビシーっと戦うところでしょうが!」
「貴様は用は無い!黙っておれぃ!」
ごねるシャンゼリオンを尻目に、怪人はデュランダルたちへ向けて言う。
「おいこら!無視すんな!おい!」
「今日は貴様らに宣戦布告をしに来たのだよ。トレセン学園のトレーナー諸君」
「何……?」
「知っての通り、ここ最近の失踪事件を引き起こしているのはこのレーサーワルド。今は亡き我らが友Dr.イオカルの残した改良版トジルギアの設計図を基に我らが作り上げた戦士である!」
「我らの目的は一つ。イオカルを殺めたスーパー戦隊、ひいてはヒーローどもへの復讐である!だが、ただ武力で制圧するのもつまらん。そこで一つ、ゲームを提案しようと思ってな」
「ゲームだと?くだらん。貴様らはここで粛清する!」
動き出すデュランダル。
「おっといいのかな?これを見ろ!」
怪人が空を指差すと、映像が投影される――
「これは……!」
そこに映っていたのは、大量のトロフィー。その中には、ゼンカイザーらの姿を模したものもあるではないか。
「お前達が手を出せば、直ちにこいつらを爆破する。それでもいいなら向かって来い」
「ぐ……!」
「人質って訳か、せこい奴らだぜ」
「だが貴様らに一つ、チャンスをやらんでもない。貴様らの育て上げたウマ娘どもが我々との勝負に勝てば、こいつらを解放してやる。どうだ?悪い条件ではあるまい」
「ふざけるな!そんなふざけたゲームに彼女らを巻き込ませはせん!」
「まぁそう焦らずともよい。じきに正式な声明を出す。答えはその後だ」
「待て!」
そう言い残すと、怪人らはゲートを開きその中へ消えた。
「くっ……勝手な連中め……!」
悔しさをにじませるデュランダル。それを見ていたシャンゼリオンは彼の肩へ手を置き、言う。
「何だか、大変なことになっちまったな?もうここまで来たら、とことんまで付き合うぜ!」
そして数日が経ち――ついに声明は出された。
トウギュウトピアの闘士、ロー。
バードトピアの元軍師、オウル。
クマトピアのボクサー、パンチャム。
オオカミトピアの死刑囚、ワルーフ。
ネコトピアの悪徳財閥令嬢、シャムダン。
タヌキトピアのエンジニア、Dr.ブンプク。
ワルド怪人、レーサーワルド。
以上七名で結成された同盟は、今ここに宣戦布告の声を上げた。
対し、戦士たちもまた集結する。代表として対策室へと集合したのは、以下の面々。
仮面ライダータイクーン、桜井景和。
仮面ライダーリバイ、五十嵐一輝。
仮面ライダーデュランダル、神代凌牙。
仮面ライダージオウ、常盤ソウゴ。
仮面ライダービルド、桐生戦兎。
仮面ライダーエグゼイド、宝生永夢。
そして対ワルドアドバイザーとして招かれたステイシーザーこと、ステイシー。
加えて外部協力者――超光戦士シャンゼリオン、涼村暁。
果たして、この戦いの結末や如何に――?