別世界ビナーがビーナになるまでの捏造怪文書
※完全に個人の妄想100%の捏造設定盛々人間になる。そう決断はしたはいいものの、じゃあどうやって人間になればいいのか……。
サイズを小さくしても姿形は蛇のまま。人型に変えようにも、そうなると余分なパーツ等をどうするか。そもそも、そんなことができるのかという話でもある。
うーん……
…………あまり気乗りしないが、あいつに頼るか
[それで私に声をかけたわけね]
頭部に搭載されたスピーカーを通して、機械的な音声が響く。
視界の遠隔通信カメラには、白を基調とした球体状の物体、ボクと同じデカグラマトンの預言者第三セフィラケセドの姿が映っている。
[人間になりたいね……それはまた急にどうしてかしら?]
「それは……まあ、色々あって……人間ってのにちょっと興味を持ってな」
[そう……]
人型ロボオートマタの製造をしていることから人型の形成方法に理解があり、かつ他の預言者達よりは人間への軽視が薄いと踏み助力を願う。
[ええ、いいわ協力する。でも、私も人間のなり方なんてわからないから……そうね……オートマタの作り方と、人型の機能を教えるわ]
[まず、人型の形成方法は……]
[製造したオートマタにメインコアを移すというのも……]
[元の身体はコントロール権を握って地中に埋めるかが……]
[人型での歩行のバランスは……]
[人間に見えるように肌を……]
[こんなところかしら。どう?役立てそうかしら?]
「ああ、とても参考になったよ。頼って正解だった。ありがとう、ケセド」
[ふふ、それならよかったわ。……何をするかは知らないけど、頑張ってねビナー]
「ああ、それじゃ」
通信を切る。
とてめ為になる話を聞けた。オートマタを使った擬似的な人間化、元の身体のラジコン化……やはりこの手のことはケセドに聞いて正解だった。
よし、そうと決まれば早速オートマタを作っていくぞ!
通信終了。
[……………人間になりたい、ね]
なぜ急にビナーは人間へ関心を持ったのか。
彼女のいる砂漠には人間はいないとまでは言わないが、その数は極々少数であると記録している。加えて、そこで遭遇した際は怯え逃げられるか、または戦闘が起こるかの二択である。
それなのに、ビナーは人間になりたいと言っていた。しかも、その態度には敵意や害意というものは見当たらないように思えた。
なぜ?
…………ビナーのなりたいという人間の姿は機械ではなく生身、所謂生徒と呼ばれる未成熟な女性の姿だった。
……ビナーは砂漠で生徒と出会い、そこで逃走も戦闘が起きず、ビナーが人間に興味を持つ出来事が起こった。
なぜ?
ビナーの様子に敵意はなかった。だが、好意という類いのものも見受けられなかった。
なぜ?
通信前、私の知るビナーを思い出す。彼女は私達預言者の中でも、特に人間への関心が薄い子だった。
そんなビナーが、人間に興味を持つ出来事が起こった。
人の手によりビナーに変化が生まれた。
……人間は私達預言者に変化を与える力がある?
[……………]
卵が先か鶏が先か。
神の存在によって人が造られたのか。はたまた、逆に神は人々の手によって造られたのかのか。
……少なくとも、私達は預言者引いてはデカグラマトンは人間の手によって作られた。
後者であるならば、今日に至る神話宗教伝承は人間により創られた。ということは、人間は神を造りだす力がある。
人間の視点、人間の発想、人間の心理、それらは私達の使命、デカグラマトンの目標の足掛かりになりえるのではないか。
……ビナーのあの様子を見るに、恐らく預言者としての使命に基づいての行動ではないでしょう。
他の預言者達は人間にあまり興味がないだろう。
ならば……
[人間としてのデータの収集は私がしましょう]
そうと決まれば、早速人間として活動するためのオートマタの設計に取り掛かる。