別の日の五十嵐特等
「五十嵐特等、おはようございます」
「おはようございます」
「おーう、おはよう諸君!
今日も職務に励めよ〜!!」
はぁ〜特等捜査官最っ高〜〜!!!
高卒でCCGに就職して運動神経が優れてるからって捜査官にされちゃって
最初は絶望してたけど俺の実力より劣ってる喰種と遭遇する事が多かったり
昇進してもペアになった奴が強くて格上の喰種のとどめを頂戴したりと今までの運の悪さが嘘のように仕事が上手く行って
俺の人生薔薇色の真っ只中だ〜!!
まあ命がけの仕事だから若いうちに貯金を稼いで30代くらいに辞めようかな〜
と計画を立ててい・た・の・に……
「突然のことで申し訳ないが五十嵐特等」
「元准特等だった我牙丸一等とコンビを組んでほしいんだ」
「…え"っ!?」
「…本当にすまないがこれは決定事項であるため断るのはオススメしない」
「君も知っているだろうが
我牙丸一等はクソ喰種共の運営するレストラン一斉検挙計画
その計画の完了と同時に我々に保護された元解体屋で、どんな仕事だろうとやり遂げる従順な捜査官だった」
「だが彼はあと少しで特等になれるところまで階級を上げたのに、その階級を捨ててまで
S+ランク喰種とその家族を生かして保護するなどというイかれた嘆願書を出すという前代未聞の事件を起こした」
「ドイツにある喰種研究機関の新技術ーー
赫包摘出実験と経過観察のためとはいえ
監禁でなく保護を提案した、考えの読めない男だ、特等の君といえど不安に思う気持ちは分かる」
「だが今までの捜査記録から、我牙丸一等と君がペアを組んだ回数が一番多いと判明したからこその辞令だ…
どうか受けてくれないか?」
「い、いや そこまで買ってくれてありがたいですが〜よく組んだとは言っても
俺も我牙丸のこと多くは知らないし(汗)」
「五十嵐特等…組んでいる間に我牙丸一等から例の喰種の持つ情報
例えば喰場にしていた場所と時間などをそれとなく聞き出してくれないか?
聞き出せたら…君の給料に多少の色を付けることを約束しy」
「この話お受けします、それでは早速我牙丸一等に辞令の件を伝えるついでに見回りに行くのでこれにて失礼!」
ガタッコッコッコッコッガチャバタン!と風の如く退室した後
(〜〜給料アップのチャーンス!絶対モノにしてみせるぅ!!)
などと思いながら我牙丸のシフトを確認する為に受付に向かう五十嵐だった
一方で足早に立ち去った五十嵐が、この部屋に戻ってくる気配がない事を察して
辞令を伝えた男は、独り言を呟いた
「…喰種の情報を上手く引き出せば上々
例え何の情報も得られずとも、CCG離反の危険性を孕んでいる"守護神"の監視と
いざという時の処刑役を
引き受けてくれて本当に良かった
期待しているよ、五十嵐特等」