初登場の妄想
突如として京都姉妹校交流会を襲撃した未登録の特級呪霊・花御。相対するは東京校1年・虎杖悠仁と京都校3年・東堂葵。実力は互いに拮抗しており、戦いは消耗戦に入りつつあった。
「ブラザー、まだやれるな!?」
「応!」
彼らの戦術は東堂の「不義遊戯」で花御を撹乱し、2人の連携で叩くというもの。これが変わることはないが、しかし東堂は密かに焦りを感じていた。
(彼奴は俺の術式に対応し始めている。このままではジリ貧になるのは此方だ。更にまだ隠し玉──例えば領域展開──を持っていないとも限らん。ブラザーもまだ戦えているが、恐らく呪力の残量は少ない。早急に決着をつけなければいずれ均衡は崩れる。しかし今の俺たちだけでは難しい、というのが痛いな。考えろ東堂葵!今ある手札でこの状況を打開する策を!)
この間僅か0.1秒。東堂は(自称)IQ53万の頭脳をフル回転させる。
だが直後、視界に入った“何か”により、思考は遮られた。
瞬間、轟音が響く。地面には巨大なクレーターが作られ、舞い上がった砂煙の中に立つ人影があった。その場にいた全員が警戒する中、東堂だけは何かに気付いたように「まさか…」と呟く。
砂煙が晴れ視界に飛び込んできたのは、花御と自分たちの間に立つ女性。ウェーブのかかった銀髪にジャケット、ショートズボンにガーターベルト、そしてキャスケット。乱入者の後ろ姿を確認した瞬間、東堂の内にあった焦りは勝利への確信へと変わる。
「彼女は…!」
「あの人は……!」
「ブラザーも知っているのか?」
「ああ、前に1度会ったことがあるんだ」
ならば話は早い、と東堂は言う。
「現代最強の術師・五条悟と史上最悪の呪詛師・夏油傑。その両名のかつての先輩にして、1級術師の中で最も特級に近い術師!!」
女性が口を開く。
「オマエか、クソガキの生徒に手ぇ出してるんは」
彼女の名は───
「『燦然の焔』屋宜紫!!」
「タダでいねると思いなや、存分にいてこましたるわ」