切掛
「なーぎ!」
木漏れ日の中
一人で座っていた凪へ、玲王が声を掛けてきた。つい先日軽くケンカした後だというのに、玲王は全く気にしていないようだ。その事に少し安堵しながら、凪は玲王へと向き直る
「なに、レオ」
「お前に用があるんだよ。ちょっと付き合ってくれないか?」
きらきらとした笑顔を浮かべて、凪へと手を差し伸べる玲王
気が付けば、凪は玲王の手を取っていた
「なぎに言われた事さ、俺なりに色々と考えてみたんだ」
箱庭を歩きながら、玲王は話し出す
「確かにおかしいよなって。苗床はみーんな知り合いなのに、俺だけ誰のことも知らねぇし。なのに皆俺の事知ってるし」
凪は玲王の隣で、静かに話を聞く
「なんか忘れてる事あるんだろうなって思ってさ、それ思い出せたらお前とも仲良くなれる気がして、俺、相談したんだ」
玲王はうっすらと微笑んでいる
何もかも解決した、スッキリしたと言わんばかりの明るい表情。
もしかして、少しは前の人格を取り戻しているのでは無いかと、凪はそう期待した
「知らなかったよ、俺·····病気でめちゃくちゃ危なかったんだな」
「··········え?」
けれど、続いた言葉に凪は素っ頓狂な声を上げる。病気?なんの事だ?いや、確かに今の玲王は精神的な病気なのだろうが。
驚いた顔をした凪を見て、何を思ったのか、玲王は「やっぱりな」と呟く
「マジで死ぬ一歩手前!って所で、この船の方々が俺を助けてくれたんだろ?でも、細菌が脳まで回ってて、記憶喪失になっちゃったんだよな」
「いや、レオ、それ、何の話·····」
「苗床を気にかけてくれるなんて、俺の旦那様の仲間達はすっげぇ良い方なんだな!」
「だから、レオ!その話誰から聞いたの」
玲王が話す内容は全くのデタラメだった
つらつらと語られた英雄のような異星人像に寒気を覚えつつ、凪は玲王に誰に相談したのかを聞く
「この前、俺に新しい旦那様が出来たんだよ!その方に相談したんだ」
ニコッと笑って答える玲王
よりにもよって、異星人に話を聞いてしまったのか。いや、今の玲王が最も信頼しているのは奴らだ。予想は出来たはずなのに
「あのね、聞いてレオ。アイツらはそんな良いやつじゃない。もうこの際ハッキリ言うけど、レオはアイツらに」
「ああそうだ!お前の事も話したんだぞ」
玲王を混乱させるだけだと黙っていた過去。それをいっそ全て話してしまおうか。そう考えた凪の言葉を遮り、玲王は凪の腕を強く掴んだ
「へ?」
「お前さぁ、ぜんっぜん子供の事可愛がんねぇじゃん?それってさ、子ども作る時の愛が足りてねぇらしいんだよな」
そのまま凪を引っ張る玲王。気が付けば、鳥籠の端·····出口付近にまで歩いて来てしまっていた
「愛、って」
「旦那様がちゃんと優しくしてくれる方を紹介してくれたんだ」
玲王が凪を引っ張って歩く先には、二人の異星人が待ち構えていた
ひゅ、と、喉の締まったような呼吸が凪から漏れる
「駄目、レオ、戻ろう」
「え?何でだ?」
「俺やだ。アイツら嫌い」
「·····なぎ、ホントに酷い方にしか当たったこと無いんだな」
首を振って嫌がる凪。しかし玲王は凪を引っ張り続ける
「安心しろって!新しい旦那様がちゃーんと言いつけてくれてる方達だから!」
「違う!優しいとかそういう問題じゃない」
抱かれるコト事態が嫌なのだと凪は言うのに、玲王はそれが理解できない
異星人に"凪は酷い扱いをする奴としか性交した事がない。だから子供にも愛情が抱けないんだ"とでも吹き込まれたのだろう。その証拠に、玲王の表情は100%善意で溢れている
「困ったなぁ、せっかく来てくれたんだし無下にする訳にも·····」
「早く戻ろうレオ、俺は大丈夫だから」
徹底的に嫌がる凪に眉を落とし、困った様な表情で悩む玲王。このまま意見を押し通そうと、凪が玲王の腕を掴み返した、その時
「繧?▲縺ィ譚・縺溘°縲よ掠縺乗擂縺」
二人に気付いた異星人達が、直ぐ側に立っていた。
大柄な凪と玲王の更に上を行く体格で見下ろしてくる異星人二人。
「ああすみません、すぐ行きます!」
愛想良く笑った玲王が「ほら行こう」と凪に言う。凪は必死に玲王の腕を引き寄せて、「行かないで」と伝えた
「戻ろう。レオが抱かれんのも俺が抱かれるのもヤダ」
「んな事言ったって·····」
「繧ー繧コ繧ー繧コ縺吶k縺ェ」
揉める二人に焦れた異星人達が、二人を担ぎ上げる。
咄嗟に抵抗する凪と、されるがままな玲王は、問答無用で異星人達の部屋へと連れて行かれた
「やめろ!レオに触るな!」
「なぎ、落ち着けって」
ベッドの上に押さえつけられ、無理やり服を剥がれる凪。
叫ぶ凪に唇へ人差し指を付ける「静かに」のポーズをしながら自主的に服を脱ぐ玲王
彼らは異星人達に囲まれる形でベッドの上に座っている
「良いか?そうやって嫌がってちゃこの方達も気持ち良くし辛いだろ。もっとリラックスして子作りしなきゃ」
己を抱き寄せる異星人の陰茎を撫でながら、玲王は凪へと得意気に語る。
未だに暴れている為、抑えられている凪は、玲王が異星人に絡み付く様子を眺める事しか出来ない
「あ、避妊薬くれる?俺、旦那様以外の子どもは孕みたくねぇんだよな」
ウワキダメ、ゼッタイ。と言いながら、玲王はぱかりと口を開ける。無防備なそこに、玲王を抱き寄せた異星人の舌が侵入した
「んむっ!?」
これは玲王にとって予想外だったようで、一瞬驚いた声を上げたが、直ぐに目を閉じて異星人の舌を受け入れた。
ごくんと何かを嚥下した後、玲王は異星人から唇を離す
「····もぉ、ヘンな飲まし方すんなっての」
どうやら口移しで避妊薬を貰ったらしい
生意気な態度を取る玲王だが、異星人としても将来の総統の嫁ともなれば無下に扱うわけにもいかず、要求は素直に呑んでくれる
「俺は今回孕むワケにはいかねぇけどさ、なぎはちゃんと気持ちよくなって子ども産めよ?そしたらきっと赤ちゃんを可愛いって思えるハズだ!」
満面の笑みを浮かべてとんでもない要求をしてくる玲王は、凪へと手を伸ばす。
凪を押さえつけている異星人に「ちょっとどいてくれるか」と言いながら、玲王は凪の両手を取って自分の方へと引き寄せた
「怖くないぞ、なぎ。俺がずっと一緒に居るからな」
そう言いながら、玲王は凪を抱きしめる
「·····レオ」
その言葉は、正気の玲王に言われたかった
「闌カ逡ェ縺ッ邨ゅo縺」縺溘°?」
いきなり、前戯もナシに挿し込まれる太く長い棒。反射的に身体が強張る凪を撫でながら、玲王が凪の背後の異星人へと文句を言う
「おい、なぎが驚いてんだろ。優しくしてくれよ、今日は子作りだけが目的じゃないんだから」
「繝上う繝上う縲∬干雖∵ァ倥?縺疲ウィ譁?′螟壹>縺薙→縺ァ」
当たり前のように異星人と意思疎通を行う玲王。一体どれ程脳をイジられたのか。凪は異星人の言葉など一つも理解できない。
「大丈夫か?なぎ。キツかったら俺に伸し掛かって良いから」
背後から貫かれている凪を優しく撫でながら、玲王はぎゅうと凪を抱きしめ続ける。
屈辱だった。
ここに来てから、玲王の目の前で犯された事は無い。まさか目の前で、こんなふうになすすべも無く犯されてしまうなんて
「ぁ、う·····レオ、レオ···」
「よしよし。頑張れよなぎ、キツイのは最初だけだからな」
優しいセックスは気持ちーんだぞ、と玲王は言う。
だが、玲王は見当違いをしている。凪は抱かれる際、特に激しい抵抗はしていないので、乱雑に抱かれた回数は少ないのだ。
ぐっ、ぐっと異星人の陰茎がケツの中に押し込められていく。
違和感と微かな快感。
ぞわぞわとした気持ち悪さに、凪は思わず玲王を抱きしめ返した
「お、いい感じ。なぎは子作りの才能があるんだな!」
(いや何回も抱かれてんだから慣れるのも当然じゃん)
じっと凪の尻が陵辱される様を観察する玲王は、空模様を話している時のように、普通の声音で凪に話し掛けてくる。
玲王にとってこの行為はもう当然なのだろう。あれだけの子どもを産んでいるのだからそれも仕方の無いことだ。
(あの時のレオは、俺がめちゃくちゃにされるのを見て、あんなに怒ったのにな)
やはり、今の玲王は玲王じゃない。
そんな寂寥に浸る間もなく、異星人は遠慮なしにガンガンと尻穴を突いてくる
(そもそもあの時、俺がボコボコにされなけりゃレオはこんな事になってなかった)
何度も陰茎を受け入れた尻穴は、乱暴な突きにすら歓喜し快感を拾う
(きもちわるいなぁ)
凪はひたすらに玲王のぬくもりに集中した
腕の中の玲王を離さないように抱きしめて、玲王の匂いだけ嗅いで、玲王の肌だけを知覚して。そうすれば、今受けているこの屈辱を何とかやり過ごせるかも知れない
「お、緊張解けてきた?偉いぞなぎ」
正面から凪と抱き合う玲王は、凪の身体のこわばりが取れてきている事に気付く。
コツを掴んだのだろうと勘違いした玲王は、これなら俺が抱いてなくても問題ないかもな、と安心した
「そんじゃ俺も·····」
チラリと後ろに視線を送ると、ギンギンのブツに待ったをかけられた異星人が正座で待機していた。異星人らしからぬ我慢強さに、玲王は思わず吹き出してしまう
「ふは、待たせて悪かったな。もう入って来ても良いぞ」
異星人に尻を明け渡す為、玲王は凪から離れようと腕を離す。
が、凪が玲王から離れようとしなかった
「あれ?おーいなぎくん、甘えたですか?」
「·······、う、ぅ、ふぅ·····」
「聞こえてねぇなこりゃ」
しょうがないな、と、玲王は凪を抱き直す。元々、玲王がこの場に居るのは凪の為だ。一人じゃ不安かも知れないから、一緒に子作りをしてやって緊張を解してやる事が目的。
凪が玲王と触れ合っていたいのなら、それに応えよう
「んじゃこのままで、ドーゾ」
膝を付き、尻を高く上げ、玲王は背後の異星人に後孔を見せ付ける。
苗床とはサイズの全く違う大きな手で玲王の腰を掴み、異星人の鉾は玲王の後孔への侵入を果たした
抱き合う二人を、それぞれ反対方向から突き上げる異星人達。
同時にピストンされれば、凪と玲王は互いに強く身体を押し付け合う形になった
(あー、なぎあったけぇ。なんかいつもより心地良いかも?ま、旦那様のチンコが一番だけどな!)
前と後ろの両方からぬくもりを受け取る玲王は、ぽかぽかとした感覚に眠気すら覚えるほどの居心地の良さを感じた。
それは身体が覚えている相棒への本能か、単に人肌の温もりの効果なのか。
凪の方も、相方の体温に緊張が完全に解け、玲王だけに集中していた意識を少し、現在の状況へと向ける
(·····あれ?レオ、なんか揺れてる)
尻の違和感からは全力で目を逸らしながら、凪は腕の中の玲王が不自然に律動している事に気が付いた。
視線を玲王の背後へと向けると、玲王を陵辱している異星人が目に入った
玲王が犯されている
「っ!·····レオに触るな!」
突然耳元で大声を出された玲王はビクリと肩を跳ねさせ、驚いて凪を見る。
が、凪は玲王の背後の異星人を追い払う事に夢中になっていた
「ちょ、待て待てなぎ!どうしたんだよ急に!」
「離れろ!!どけ!お前、勝手にレオの中に入るな!!」
尻に異星人のモノが突き刺さっているのにも関わらず、今にも玲王の背後の異星人へ殴り掛かりそうな凪。それを必死に抱きしめて押さえながら、玲王は凪の奇行に困惑していた
「閠ウ髫懊j縺?縲り距蠎」
暴れ狂う凪を見兼ねて、凪を犯していた異星人が片腕を振り上げる。
今度は、玲王が凪を庇う番だった
「ダメだ殴るな!」
咄嗟に凪の頭を胸に抱きかかえ、凪を守る。振り落とされる寸前だった異星人の拳は、ギリギリで止まった
「·····なぎ、どうしたんだよ。今は酷いことされてないだろ?」
凪に危害が加えられないと確認した後、玲王は凪に声を掛ける。
けれど凪は、玲王に返事を返さなかった
代わりに、小さく何かを呟いている
「やだ·····もう、やだ。なんでレオを二回も···目の前で·····」
「··········なぎ」
憔悴し切った凪を見て、玲王はようやく、ある事に気が付いた
「もしかして、これ、お節介だった?」
「····················」
凪は返事を返さない
が、その態度だけで玲王には十分だった
「そっか·····ごめんな」
凪と友達になりたかった
その気持ちが先行し過ぎて、凪の反応をちゃんと見れていなかったんだ
「じゃあ、今日はここでお終いにするか」
せっかく来てもらったのにごめん、と、玲王は二人の異星人へと言う。
··········が、それで異星人が納得するハズも無かった
首筋に痛みが走り、玲王は目を見開く
「縺薙s縺ェ繝√Ε繝ウ繧ケ繧帝??☆險ウ辟。縺?□繧阪?∬干雖√&繧薙h縺」
「な··········ッ!?」
勝手に、薬を打たれていた
咄嗟に異星人の手を振り払おうとしたが、片手で軽々と抑えられ、追加の注射針を刺される
目の前では、凪が同じ様な目に遭っていた
「お前ら·····!俺の旦那様に言いつけられてんだろ!?なぎに乱暴な事するな!」
思わず怒鳴った玲王を押さえつけ、異星人は囁く
「險俶?縺悟聖縺」鬟帙?菴咲官縺励※繧?k繧医?る魅荳九↓豌励↓蜈・繧峨l縺溘▲縺ヲ縺?縺代〒隱ソ蟄蝉ケ励j繧?′縺」縺ヲ縲ゆス輔′闃ア雖√□縲よキォ荵ア髮碁㍽驛」
「·····!この·····っ!!」
言い返そうとしたが、薬が回って意識が遠のく。
身体中がもう、火が点いたように熱かった
これでは、ちゃんとした子作りの良さを凪に分かってもらえないではないか
「··········れお······」
遠くで凪の声がして、それを最後に玲王の意識は暗転する
目が覚めたら、凪と二人してドロドロのまま横たわっていた
「·····ありゃ?今日は確か、なぎに子作りの良さを教える為に·····でも、異星人はここに居ないし·····」
頭に手を当てて考えるが、この部屋に入ってからの記憶が無い。
何が起こったのか聞くために隣で寝ている凪を起こそうと考えたが、疲れているようだったので控えておいた。
「見たところ、ちゃんと抱かれはしたんだよな·····あ」
玲王は、凪の腹に視線をやる。
ほんの少しだが、ちゃんと膨れていた
「なんだ、ちゃんと目的は達成してんのな。良かったぁ」
眠り続ける凪の髪を撫でて、玲王は嬉しさで微笑んだ
「今度はちゃんと、赤ちゃんを愛せると良いなぁ、なぎ」
凪が寝てる間に、汚れた身体は洗ってやって、シーツも取り替えておこう。
疲れただろうから、凪をおんぶして箱庭まで連れて行ってやろうかな
そう考えながら、玲王はベッドから降りる
すると、立ち上がった玲王の足元へ、ボタボタと白濁液が零れ落ちた
「うわ、俺も結構出されたのな」
ぎょっとしたが、この程度の量なら何度か経験した事がある。
玲王は手慣れた様子で後片付けを始めた
「あ、起きたかなぎ」
「··········レオ、俺」
「いやぁ、なんか俺また気持ち良すぎてぶっ飛んじゃったらしくてさ。今日のこと全然覚えてないんだけど、上手くやったか?」
「え、また記憶飛んだの?」
「ちょっとだけな」
「·····そう。まぁ、俺は大丈夫だよ」
「ん、それなら良かったよ。あ、そうだ」
「何?」
「なぎに伝えたい事があってさ·····ふふ、聞いて驚け!俺、なんと結婚する事になりました!」
「······························は?」